3年ほど前に札幌郊外の部署に転属になってから,中心部のラーメン屋さんを訪れる機会がめっきりと減ってしまったが,先日札駅近くの本所を(しかも昼前に)訪れるという好機に恵まれた.コレはネラわずに居らりょうか!
新規で訪れたい店もあるのだが,馴染んだ店も捨てがたい.悩んだあげく,2年近くぶりに“爐(いろり)”さんを訪ねることにする.

こちらは,今は札幌センタービルの地下に店を構えているが,私が初訪した頃は今のアスティ45となっている辺り,2~3階建ての古い雑居ビルの1階に入っていた.半ドンの土曜日,昼時を少しずらしてお邪魔するのが常だった.
偶にしか来れない身の弱み,ちょっと贅沢に“スペシャルらーめん(¥1,050-:デフォは醤油味.ノーマルは3味とも¥750-.味噌は挽肉が載る代わりに叉焼レスだったはず)”をお願いする.二代目が,先代と同じ手際でしっかり仕立ててくれる.

久々の,けれど慣れ親しんだまっ黒い顔立ち.
“黒いスープ”といわれるが,それ自体は然程黒いわけではなく,やや白濁した所謂豚骨醤油の色である.黒いのは表面を覆う脂.焦がしラードと言われるが,無精製のものとは言えラードだけではココまで黒くはならない.ワケは具材にある.
トッピングの炒め野菜(もやしと玉葱)・魚介・挽肉は前もって炒められているのだが,炒めた後にザルに上げ,ボウルに受けた汁気(エキスと言うべきかな)をラードとともに中華鍋で一気に(蓋をして)焼きあげるのである.
旧店舗時代,時分を過ぎた昼下り,厨房奥のコンロで一心にラードに“焼き”を入れて居られた先代の背中が思い出される.すっかり二代目夫婦にお任せになったのだろう,今回は(何時も“ちゃーめん”を仕立てていらした奥様も)御見掛けしなかったが,恙無くお過ごしだろうか… 閑話休題.
さて,“黒いスープ”だが,見かけに反して比較的さらりとした飲み口である.勿論“焦がしラード”の風味は独特だが,程好い豚骨のコクと魚介由来の旨味が合わさって美味い.アタリが少し立ち気味なのも変らぬご愛嬌.丼の中で脂の配分を変え,濃いトコ,薄いトコと味わい分けるのも楽しい.麺は近頃の札幌の主流よりはやや細めで黄色みも薄いが,適度な腰と風味があり,スープの持ち上げも良くタレも少ない.


具材は先に挙げたほかに,少し歯応えと豚っぽさを残した叉焼(肩ロース)2枚・穏かな味付けのメンマ.魚介は烏賊(胴&下足)・帆立(柱&紐)・つぶ・日和貝(イガイ≒ムール貝).貝柱を除いて全てスライスまたはカットされ,烏賊に至っては(細かくはないが)隠し包丁さえ施されている.見た目の“押し”に拘らず,其々の食感を残しながら,食べやすく,全体を纏り良く仕上げたい,という意図が伝わってくる.供する前に野菜と魚介を合せて軽く火入れしてからトッピングしてくれる心配りも嬉しい.

ああ,美味しかった.ご馳走様.
今となってみればレトロな味,と言う見方も出来ようが,この味に馴染んでいたからこそ,往年の“蜂屋五条”のあの脂を,何の抵抗もなく受け入れることが出来たのかもしれない.“合わない”方も少なからず居られるだろうが,今はなき“富公”と供に,偏向した“私の札幌ラーメン観”を形作ってくれた,大切にしたい一軒である.
2010/01/15追記:
ホント久しぶり(5年振り位かな),“醤油らーめん”を頂く.
ノーマルも,好いなァ (^^)b
⇒http://tabelog.com/hokkaido/A0101/A010101/1000319/
新規で訪れたい店もあるのだが,馴染んだ店も捨てがたい.悩んだあげく,2年近くぶりに“爐(いろり)”さんを訪ねることにする.

こちらは,今は札幌センタービルの地下に店を構えているが,私が初訪した頃は今のアスティ45となっている辺り,2~3階建ての古い雑居ビルの1階に入っていた.半ドンの土曜日,昼時を少しずらしてお邪魔するのが常だった.
偶にしか来れない身の弱み,ちょっと贅沢に“スペシャルらーめん(¥1,050-:デフォは醤油味.ノーマルは3味とも¥750-.味噌は挽肉が載る代わりに叉焼レスだったはず)”をお願いする.二代目が,先代と同じ手際でしっかり仕立ててくれる.

久々の,けれど慣れ親しんだまっ黒い顔立ち.
“黒いスープ”といわれるが,それ自体は然程黒いわけではなく,やや白濁した所謂豚骨醤油の色である.黒いのは表面を覆う脂.焦がしラードと言われるが,無精製のものとは言えラードだけではココまで黒くはならない.ワケは具材にある.
トッピングの炒め野菜(もやしと玉葱)・魚介・挽肉は前もって炒められているのだが,炒めた後にザルに上げ,ボウルに受けた汁気(エキスと言うべきかな)をラードとともに中華鍋で一気に(蓋をして)焼きあげるのである.
旧店舗時代,時分を過ぎた昼下り,厨房奥のコンロで一心にラードに“焼き”を入れて居られた先代の背中が思い出される.すっかり二代目夫婦にお任せになったのだろう,今回は(何時も“ちゃーめん”を仕立てていらした奥様も)御見掛けしなかったが,恙無くお過ごしだろうか… 閑話休題.
さて,“黒いスープ”だが,見かけに反して比較的さらりとした飲み口である.勿論“焦がしラード”の風味は独特だが,程好い豚骨のコクと魚介由来の旨味が合わさって美味い.アタリが少し立ち気味なのも変らぬご愛嬌.丼の中で脂の配分を変え,濃いトコ,薄いトコと味わい分けるのも楽しい.麺は近頃の札幌の主流よりはやや細めで黄色みも薄いが,適度な腰と風味があり,スープの持ち上げも良くタレも少ない.


具材は先に挙げたほかに,少し歯応えと豚っぽさを残した叉焼(肩ロース)2枚・穏かな味付けのメンマ.魚介は烏賊(胴&下足)・帆立(柱&紐)・つぶ・日和貝(イガイ≒ムール貝).貝柱を除いて全てスライスまたはカットされ,烏賊に至っては(細かくはないが)隠し包丁さえ施されている.見た目の“押し”に拘らず,其々の食感を残しながら,食べやすく,全体を纏り良く仕上げたい,という意図が伝わってくる.供する前に野菜と魚介を合せて軽く火入れしてからトッピングしてくれる心配りも嬉しい.

ああ,美味しかった.ご馳走様.
今となってみればレトロな味,と言う見方も出来ようが,この味に馴染んでいたからこそ,往年の“蜂屋五条”のあの脂を,何の抵抗もなく受け入れることが出来たのかもしれない.“合わない”方も少なからず居られるだろうが,今はなき“富公”と供に,偏向した“私の札幌ラーメン観”を形作ってくれた,大切にしたい一軒である.
2010/01/15追記:
ホント久しぶり(5年振り位かな),“醤油らーめん”を頂く.
ノーマルも,好いなァ (^^)b
⇒http://tabelog.com/hokkaido/A0101/A010101/1000319/