烏合庵奇譚

Welcome to Raven's roost
渡烏の戯言など… お聞き流し下さい.

ウグイを食べる #01

2008-11-30 15:03:49 | 烏合庵の食卓
3連休の最終日,久々にロッドを取り出し,いそいそと石狩(親船町旧渡船場)に向う.ターゲットはウグイ.イソメ餌のチョイ投げで尺落ち4尾をゲット.
ウグイとは書いたが,正確には2種.上がウグイ,下はマルタである.マルタのほうが吻(鼻先)が尖っており,鱗がやや細かい.産卵期(両種とも,札幌近辺では6月ころ;豊平川など川の中流の浅瀬に群がって産卵する)には体側に赤い婚姻色(ウグイは3本,マルタは1本)が現れるので,あかはらと呼ばれることが多い.ウグイは海に降りるものと川に留まるものがあり,マルタは海に下る.


北海道では(全国的にも?)一般の食卓に上ることは少ない(そもそも,売っていない)し,釣り人も大概は捨ててしまうが,個人的には(時期は選ぶけれど)美味い魚だと思っている.今回は,マルタ3尾を“松鼠雅羅魚(sung shu ya luo yu)”に仕立ててみよう.調理法は,つれあいが短大時代に教科書として使っていた“系統 中国料理(黒田キミ子著・家政教育社;絶版)”に倣ったが,溜は醤汁から糖醋に変更した.

マルタは3枚に卸して腹骨を剥き,身のほうから皮に向けて1cmほどの間隔で斜め格子の包丁目を入れる.酒と醤油を振って,薄く下味をつけておく(本のレシピでは黒鯛を用いており,特に下味はつけていない).




小麦粉・溶き卵・水・塩少々で薄い衣を作り,水気を切った魚の身の方だけに衣を着けて,狐色に揚げる.皮目が縮んで,身が松毬のように開けば成功だ.




酢・醤油・砂糖・水・片栗粉・胡椒少々・昆布で合せ調味料を作っておく.千切りの人参・ピーマン・椎茸,繊維に沿ってスライスした玉葱を胡麻油でしゃきっと炒め,昆布を引揚げた合せ調味料を加えて糖醋溜を仕上げ,揚げた魚に掛ければ“松鼠雅羅魚”の出来上がり.因みに,松鼠はくるりと丸まった身の形をリスに見立てた料理名だそうである.






揚げ物ついで,ウグイに混じって釣れた良型のマハゼは腹開きにして軽く塩胡椒,小麦粉をはたいて唐揚げに.たいそう豪華な夕餉となった.




揚げてあんを掛けてしまえばどんな魚も同じでは?と仰る向きも居られるだろうが,私はこの手法にはウグイも含めてコイ科の魚が最適なのではないかと思っている.糖醋鯉魚(鯉の丸揚げ甘酢あんかけ;実は私は食べたことがない)が有名だが,新婚旅行で訪れた桂林;漓江下りの船上で供された草魚のそれは実に美味だった.今回のマルタも,身が締り,コイ科特有の甘味があって,同じ手法ならば少なくとも鯵・鯖には勝るとも劣らない.以前,沙流川で釣ったウグイを丸揚げであんかけにしたことがあるが,マルタとの味の違いは殆どわからなかった.

親父の故郷,松本ではあかうお(この場合はウグイ)と言って,昔は祝儀の尾頭付きにも用いられたという.千曲川の“つけば料理”の主役としても有名だ.釣りでは餌盗りの外道として,また体表の粘液(ごく薄いのだが)が生臭いため敬遠されがちなウグイだが,冬場のものは臭いも少なく,鱗を引いてしまえば決して生臭くはない.小骨がやや多いのが難点だが,そこそこ身の量も取れるので,もっと評価されても良い魚だと思う.

残りのウグイ1尾については,次回…

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« “かすべのぬた”を作る | トップ | “フォレスト”@遠軽町丸瀬布... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

烏合庵の食卓」カテゴリの最新記事