DIARY yuutu

yuuutunna toki no nikki

井伏鱒二(1898-1993)「紙凧」(1928年、30歳) 

2017-01-08 19:25:49 | 日記
 紙凧

私の心の大空に舞ひあがる
はるかなる紙凧 一つ
舞ひあがれ舞ひあがれ
私の心の大空たかく舞ひあがれ

《感想》
 ひとつの見方では、この詩は、希望を持った心を示す。絶望した心からすれば、うらやましい限り。
 詩人は、若いので希望を持つとも考えられる。しかし、希望を持つか、絶望するかは、年齢と必ずしも関係しない。
別の見方では、この詩人は、失望or絶望の中に、たった一つの希望を持っているだけだとも言える。彼は自分を、希望に向け激励する。
 そもそも、彼の心の中に希望が生れるだけ、救いがある。彼は、救いのない絶望におちいっていない。その限りで、詩人は、健康・健全な精神を持つ。

 A PAPER KITE

In the sky of my heart, one paper kite is flying up distantly.
Fly up! Fly up! Fly up highly in the sky of my heart.
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