小林真 ブログ―カロンタンのいない部屋から since 2006

2006年開設の雑記ブログを2022年1月に市議当選でタイトル更新しました。カロンタンは40歳の時に飼い始めたねこです

阪神・桧山を中心とした9月7日、嵐の後の「嵐の金曜日」

2007-09-10 17:46:07 | スポーツ
月曜ですが、前回記事の訂正もしなければなりませんが、まず書きかけていた金曜日の長い日記を。

午前5時には、台風9号が在住市上空を通過したという金曜日。市内南部、荒川周辺には避難勧告もあったらしいが、こちら利根川方面はそれほどでもなく、風の中といっても家の中で仕事しつつ、その数時間前に疲れて眠りこみ、大嵐は視覚的にも聴覚的にも体験せずの夢の中。といって起きてから後は、年間ベスト5に入る盛りだくさんな一日になりました。
(時間は概数で)

8:00
覚醒。マイミクシィの方からのメッセージで在住市の避難勧告について知り、ほお、そうだったのかと明るくなりつつある空を見ながら、午後からの取材のための資料つくり

11:00
ひとまずシャワーで出撃

12:00
もう晴れてたので油断してたら、湘南新宿ライン運休。しかたなく普通の上野行きに乗るも浦和でストップ~京浜東北に乗換で城西へ

14:00
遅れで時間微妙だったが、チャンス逃すべからずとマイミクシィの方の絵がある野方のギャラリーkaniへ。絵も会場も初めてだが、親切そのものといえる老主人との会話、住宅地の真ん中に置かれたギャラリーのロケーションにも感入。お目当ての作品ほか、岸田劉生のリトグラフなんてあったのかという『餓鬼』に見入る。
何だかんだと時間なくなり、目をつけたラーメンをスルーして駅前立ち食いそばばで冷やしたぬきそばで取材先六本木へ。途中、中井で大江戸線乗換という技があることを知るが、あんな地底では帰って時間かかりそうと高田馬場~恵比寿~日比谷線コースをチョイス

15:20
30分遅れで到着。編集者Oさん、いやあ、台風で電車が走らなかったのもあるんですが、といったところで、ではそういいましょうとアダルトな配慮ありがたし。
正味1時間半の取材はまったく想像を超えた世界の、今書いている原稿の穴を埋める実り多い内容で、その後、ファーストキッチンで次週はベトナム出張のOさんと打ち合わせだの内田樹の話だの

18:00
Oさんと別れ、この時間では間に合わないので保留にしておいた中3M君の塾を中止。時間できたのでこういう時に連絡することになっているテレビ朝日が勤務先の大学の友人K君にメール。しかし、今の時点で返信なし。出張も多いしそんなところだろう。こういう時は野球だと、そういえばこれも本店に大学時代の友人が勤める、アトレ内有隣堂でぴあをみて、なんとドームで巨人:阪神ということを知り水道橋詣でを決意。ここでしばらくぶりに高校の友人I君から、この間別の友人であるKに会ったよというメールがあり、こういうわけでこれからドームだと返信する。

18:30
まずは腹ごしらえ。水道橋といえば愛しの神田・いもやグループがある。
http://ameblo.jp/tonkatu/entry-10004768334.html
http://www.maboroshi-ch.com/cha/kon_34.htm
http://blog.kakua.com/?eid=300418
天ぷら・天丼・とんかつ最強トロイカ体制のうち、数日前に同級生M君夫妻ととんかつを話題にしたので白山通り沿いのとんかつをセレクト。いつもながらのパーフェクトな仕事ぶりに、文庫立花隆を開くすきもない。
揚げ師の三十代風に、ご飯、お茶、しじみ汁、洗い物担当のベテラン、アナザー三十代風の三重奏。たとえばヤクルト古田のように店内すべてを支配する揚げ師が、「とんかつですか」ときくので「はい、お願いします」。メニューは700円のとんかつ定食と900円のひれかつ定食だけだが、お客をみてとんかつ・ひれかつを言い分けているのかその辺はよくわからない。在店中は、なじみなのかの小金持ち風初老の人にだけ「ひれかつですか」ときいていて、ほかは次々来るサラリーマン風には「とんかつですか」ですかだったような気が。この辺はさらに研究価値がありそうだ。
すぐにお茶担当初老が、熱い、お茶というのはこれ以上もこれ以下でもないというようなシンプルなお茶を一杯。地域の集会所の備品のようなシンプルな茶碗も清々しい。
そして夢の5分あまりを待つわけだが、揚げ師のことをヤクルト古田、つまりプレーイングマネージャー・キャッチャーというのは華麗な身のこなしだ。まずは肉に衣をまぶし、しばらく置いて油を確認。3塁ランナーを牽制するように世間話に興じるほかの2人を見やると、ささっと人数分のキャベツを皿に盛る。それがいったい何を意味するのかは不明だが、おそらく彼自身の美意識の表れだろう。キャベツの山のかたちをちゃちゃっと整えている。油の状態をみながら、ふうとばかりに店内を見回すの視線の先をめぐると、立て付けの悪かったガラス戸に難儀する客がいたので、無言のまま手がたなのかたちを心持ち左に平行移動。このサインを理解しためがねの五十代風が彼から見て右側の戸を開けて入るとものの0.3秒、揚げ師の「とんかつですか」の声が店内に響きわかる。クールだし目立ちすぎもしない、コルトレーンのバックを務めるマッコイ・タイナーのような見事なタイミングだ。
そしてこれは天ぷら、天丼に共通するいもやのハイライト、こんな単語があろうか、主役脱油の瞬間を迎える。
揚げ師が何も告げぬまま体勢に入ると、バントシフトのファースト、サードのようにほか2名がご飯としじみ汁を用意してむだのない動きで待ちわびる客の前にすすーっと。この喜びのプレリュードには、誰もが黄色いおしんこをご飯のある者は全面に、私は片隅に少しだけ乗せてプリマの登場を待つ。
すると見る間にプリマとんかつたちは油修行の数分を脱し、しばし油落しの上に。これはおそらく、油を脱したとんかつを酸素となじませ、かつ手で触れる温度まで落ちるのを待っているのだろう。時間にして5秒ほどのその時間を過ぎ、揚げ師の長い包丁が衣と肉を切り裂くのだが、嬉しいのはそのさくっさくっというサウンド。たとえるならエンターテインメントな気持ちよさではフュージョン界でも随一、スタッフ、リチャード・ティーのタッチか。
こうして並べられた、とんかつ、ご飯、しじみ汁にお茶、四つの器が創出する宇宙の至福。すみません、この宇宙を前に携帯カメラのシャッターを切ることは私にはできかねます。
これはもうこれぞからしだというからしを、とんかつの右約80度の方向に。後で加えたりするのは美しい行為ではない。ソースは別で、これはとんかつにさーっと一筋、キャベツにもざーっと。キャベツの方は下にいくと味がなくなるので、付け足していい。
しじみ汁を一口味わうとこれは食後にとっておいて、食中はお茶が私のスタイルだ。からしをのばすといよいよ数年ぶりの再会。さくり、そうだ、これぞ「隙間の芸術」なのだ。
一切れを二、三口で食べてその断面も楽しむ、というのがとんかつの作法と思っているが、ここで衣が脱落するようではすでにとんかつとは名乗れないというのは世のとんかつ好きとしては常識であろう。だからといって硬過ぎず軟らか過ぎず、ちょうどいい空気の隙間が生きているのがとんかつという食べ物の目指すところではないか。
これをもっとも端的に表す音楽はレッド・ツェッペリン『ブラック・ドッグ』のイントロ。変拍子にきこえるけど実は8ビートというが、本当に8ビートなのか未だに疑問のこのイントロの、ギター、ベース、ドラムが編み上げる奇妙でハードなキルト織り、あのたまらなくソリッドでいて、なぜか隙間を感じてこの上なく気持いい数秒間を思い出してもらえればいいだろう。そしてこのキャベツ。キャベツとソースだけでこんなにおいしいのならば、手をかけられた食べ物たちの多くは、きっとわが身を省みて懐疑派への転身を余儀なくされるに違いない。
さくっ、ぱくぱく、しゃくしゃく、ごくり。さくり、ぱくぱく。しゃくしゃく、ごくり。初老お茶担当におかわりももらい、ミュディアムテンポの8ビートが白木づくりの静かな空間をうめる、かけがえのない時間はやがてしじみ汁で終わる。前にほうれん草で書いたと思うが、しょうゆとかソースとかは食べた後の皿に色が残らないのを美しい。足していったソースもからしのキャベツの切れ端も残らないように食べ終えた。ごちそうさまでした。心からいって、水道橋をドーム方向に向かう。

19:00
ここでとんかつを食べた後、所持金が1400円ほどしかないことに気づく。セブンイレブンがあればこの間口座を開いたイーバンクで下ろせるが、ほかのコンビにではいやだな、では面倒だから立見席1000円のほか、ビールはもどきで400円に収めようなどと考えていたら、かんたんにセブンイレブンを発見。こういう時の常として、なんだつまんねえな、と思いながら現金を引き出してビール、キリンのラガー500と、差をつけて麒麟端麗生500を。たまに行くドームではこの作戦を取るがこれには理由がある。
なんといってもドームのビールは800円。これはあの悪名高き読売グループすべてに共通する、恐るべき無法といわざるを得ない。阪神ファンともなれば、読売グループの口車に乗ってあんな宇宙人みたいな格好をしたねえちゃんどもからほいほいとビールを買うことなどもってのほか。第一あの非道の極致たるトレードの資金に組み入れられては世のためにならんではないか、というわけだ。
浪人の頃などは当時流行っていた「BARCLEY」だの「BOAT HOUSE」などの大きなバックを持ってるやつに身長に隠させるようなかわいいことをしていたが、なんと見つかると親切にも紙コップに入れ替えてくれることを知り、近年ではわざとバッグのわかりやすいところに入れ、見つかって、ああ、そうですか知りませんでしたとしらを切って紙コップに入れてもらっている。これなら紙コップ×2=約7円くらいか、にっくき読売グループの懐に小さくはあるがダメージを与えることもでき一石二鳥。2本持っていたので、最初に飲むラガーを左手に2ビールで、今回は、あっ、では自分で注ぎますよといったら、「いえ、でも500だとぎりぎりなので」とやってくれた。

というわけで、紙コップ2つ持ってネット裏へ。野球場の魅力はあのサウンドもある。常連なのかビール、焼き鳥とともに場内テレビに見入るおっさんたち、あまり野球には関係なさそうでも、実は中学の時には野球部だったかも知れない色つき髪の毛に縦じまスーツのどう見てもホスト5人くらい。なんか集団家出少女のような、金色じゃらじゃらかばんを持ったこれも5人くらいの女子中学生集団もいて、席のあるスタンドより安い分だけテキトーな人がいておもしろい。名画『天井桟敷の人々』すら思い出す豪華な人間模様だ。

しかし紙コップ2杯とともに到着した5回表は、そんな観客よりはるかにエキサイティングな時間だった。往路、立花隆で知った「純粋観客」http://www.edita.jp/neo/archive/category10-new.htmlなる概念は今後、自身の思想に大きな影響を与えそうだが、阪神が前にいてはそうもいっていられない。
四球の関本をオーグルソンが送った後、鳥谷、赤星、シーツが3連打。四死球も絡めて一気に逆転する。最初うっかり1塁側に出たので、あわてて縦じまがいっぱいいる3塁側に移動。左翼スタンドから六甲おろしが響く。
そういえば、このあたりで高校の友人I君から続信。せっかくだから終わったら少し飲もうというので、わかったと返信しておいた。
それにしても、来た途端にこれじゃあ、勝利の神様だぜと2杯目の麒麟に移り、さら移動して大型テレビの前にいたら読売が高橋由のHRで逆転。おおと思ってる間に7回は桜井、矢野のタイムリーで逆転、8回には金本のタイムリーで8:6にした。
なんというゲームだ。しかしJFKがいる阪神なら、これでもう大丈夫。だが8回裏、久保田が読売のHR攻勢につかまった。
まず李がこの日3本目。こうしたケースで単調になり、連打されるのが久保田の悪いくせだ。しかし次の二岡に投げた、高めの力の入ったストレートは、私にとって生涯忘れられない1球となるだろう。意志のみなぎる、打てるもんなら打ってみろというこのボールは、精神面に弱点のある久保田の明日を変える1球と思われた。1点なら取られてもいい。2点目を取られなければいいのだ。
しかし結果は、ファンの方ならご存知だろう。決して力があったわけではない二岡の打球は、読売ファンが歓喜する右翼席へ吸い込まれてしまった。スポーツだから結果はしかたない。決意のこもったお前の1球、決して忘れないぞ久保田。

そして運命の9回。読売“今年の守護神”上原がマウンドに登る。次打者久保田の代打は桧山。実は前の回のウィリアムスの打順でウェイティングサークルにいた桧山に、周りのファンに先駆けて声援を送っていたのだ。何しろ神宮での代打満塁弾を打ったひーやんだ。
告白しよう。ランナーのいないこの場面での代打は、もったいないなと思っていた。しかしまたしても予想はすばらしい方向に覆される。
上原の投げたのは何だったのだろう。その数秒後の狂喜のせいで、どんなシーンだったかは忘れてしまっている。
決していい当たりではなかった打球が、ふらふらとではあるが右翼席に吸い込まれた。まさかこんなことが。わけのわからぬ大騒ぎで、近隣のユニフォームたちとタッチしあう。85年優勝決定の神宮にいたのが自慢な私だが、この日の桧山の決勝弾をみたのもこれからどれだけ目撃するかわからない阪神戦の中でもベスト5はくだらないはずだ。
85年当時の佐野、03年の八木と、阪神優勝の年には渋いベテランが代打の切り札と化して活躍する。今年の桧山がそのいすに座ったことは確実だろう。私は1階と2階の間の立見席から一人MVPコールを送った。
そして藤川球児登場。読売は確か2番からの好打順だったが、いつものように冷静なピッチングで3人で切って取り、阪神が3連戦の緒戦を勝利した。
I君が自宅に近い大久保でというので、高校の頃にはよく蹴られたジャイアン体質の暴力ものだけにヒーローインタビューは Youtube でいいやと小走りに水道橋駅へ。早く来たもんだから総武線に座って行けた。
思い出すのは私の世代以上の阪神ファンなら忘れられないであろう48年シーズン。読売・萩原の代打満塁弾も飛び出して9:9で引き分けた後楽園球場の死闘を当時の将・川上哲治は「生涯最高の試合」と振り返った。あれに匹敵するほどのゲームだったのではないか、そして土、日の3ゲームを終わった後でなら、この3連戦の大きさは語るまでもないだろう。

10:20
新大久保着。1年くらいぶりで会うⅠ君は、高校の頃は内容だけがジャイアンだったが、どうやら外見もジャイアンを追いかけ始めたようだ。そういえば、去年最後に会ったのはⅠ君が用意してくれた2階席の切符でみた、福原:上原の投げ合いだったような。
新大久保から歩いていけるところに住むⅠ君が案内してくれたのは、一六八という中華料理店。http://sokosoko62.exblog.jp/4810343最初に出てきたジャガイモが千切りになったサラダ、五目豆腐、なんだったか辛い煮込み、全部うまい。同級生の話などしながらビールを飲み、ラストオーダーというので餃子を食べようというと、「バカ、ここは焼売がすげえうめえんだ」とⅠ君がいうのでそれを。さっそく熱い4個が来たので定石通り2つに割ろうとすると、「何やってんだ。そんなことしたら肉汁がでちゃうじゃねええか」とえらく怒っているので、それもそうだとそのままぱくり、いや、その通り、これを割って食べるのは反則だろう。
よし最終に間に合うと、おろかな昔話しながら駅まで歩き、ジャイアンは家に向かった。

24:00
なぜか時間を間違えておぼえていたらしく、赤羽に行ったら高崎線は終わっていた。一歩のところで池袋で見送った埼京線に乗れば間に合っていたのか。でも、深谷に帰ってもこれだけ飲めば塾泊だとネットカフェ行きを決意。前回はここで魚民に入って赤瀬川原平を読んだが、今回は寒くもないしコンビニで麒麟500を買い、駅周辺の貧弱なライブに耳を傾けつつ飲み干す。それにしても、この寝転がれない棒のようなベンチは何だ。

25:00
駅前に並ぶアジア系ご婦人方のお誘いをかき分けながらネットカフェへ。前のチェックインというのかは若いご婦人で「個室」を取っておられた。こっちはもちろん「オープン」でネットを開いてメールをチェック~Mixiコメントなども書き、Youtubeで桧山のインタビューを探したがまだなく、次回来たらマンガを読もうと意気込んでいたのだが、さすがに嵐の後の嵐の一日は疲れ、モーニングに連載の『ホームスイートホーム』だけ読んで睡眠。

30:00
元気よく、なわけなく起床で高崎線に。座って起きるとまたしても深谷駅を出たところで、隣岡部駅で下車でリターンする。土曜というのに駅にうじゃうじゃ私立女子高生を追い越して車に乗って帰宅。20時間ぶりに会うねこどもがにゃん。

(Phは読売グループから略奪の紙コップ。BGMはWOWOWのネットラジオでキンクスのBBCライブhttp://radio.wowow.co.jp/bbc-rocklegends/。「この世はすべて金しだい」「きざなやつ」って邦題だったのか)
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2 コメント

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Unknown (職人N)
2007-09-10 21:02:48
先日は楽しい時間をいただき有難う御座いました。
カロンタン氏の嵐の一日、面白いです。
私の格闘職人生活とあまりにもかけ離れたカロンタン氏の生活。興味をそそります。すごく楽しそうですね。また美味しいお酒飲みましょう。あっ言い忘れました。私、幼少の頃より生粋の読売ファンです。優勝は読売ですから!
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なんと (カロンタンのエサやり人)
2007-09-11 13:45:33
●職人Nさん
はい、毎日のほとんどは単なる怠け者です。
おお、読売ファンですか。あの夜も、ま○さんが巨人ファンと主張していましたね。いずれにしても、何というのでしたっけポストシーズンで、がっぷり四つの阪神:巨人のぶつかり合いがみたい。できれば、どっちかが中日を破っての優勝決定シリーズで。
酒はまたいずれ。
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