丘に よっこらしょと 登って
眼下の草原を眺める。
風が吹くと 草たちが なびいて
一瞬だけど 風が目に見える
「あっ 今 風が 通ったぞ。」と…思う。
僕の大好きな瞬間である。
風が吹けば 心も転がる。
風がやめば 心も止まる。
でも また きっと 吹いてくるさ。
そして また 転がり始めるさ。
西部劇のゴーストタウンの描写で
よく 風に吹かれて
コロコロ転がっている草のボールが出てくるでしょ?
あれ… なんて名前だったかなぁ~
一生懸命 思い出そうとしてるんだけど 出てこない。
一度は この目で 見たいのだ。
無邪気に それを 追いかけたいのだ。
さっきまで いろんなことを 考え込んでいた。
急に 風が目に見える瞬間を 見たくなって
自転車を 引っ張り出して 外に出た。
こぎ始めて 気がついた。
手ごろな丘が 近所にないじゃん。
そもそも こんな深夜じゃ なんにも見えないじゃん。
己の馬鹿さ加減にあきれはてながら
しばらく 無目的に 自転車をこいでいたのでした。
本当は とっても 寂しいのです。今…