自転車をこぎながら… 娘が叫ぶ。
「お~ 大きい犬だ。」
また 叫ぶ。
「あ~ 小さい犬だ。」
また 叫ぶ。
「またまた でっかい犬だ。」
ふと パパは 不安になる。
娘の口から 具体的な犬種が出てこない。
ハスキーだのシープドックだのシェパードだのが…
全然 出てこないのである。
パパ… 自転車を止めて 娘に問う。
「今の犬は 何ていう犬だね?」
「きっと ジョンだと 思うよ。」
「はぁ?」
「顔が西洋風だから…」
「はぁ… じゃあ~ あっちの犬は?」
「もちろん ポチ!」
「和風顔だからかい?」
「あったりまえじゃん!」
「犬の名前じゃなくて… 犬の種類を
パパは 知りたいんですけど…
柴犬とブルドックとかさ…」
娘は一瞬困った顔をして、おもむろにこう言った。
「あれはねぇ~ 大型犬 だな。絶対…」
娘の辞書には 細かい犬種は 記載されていない。