虹色雑談

気ままにダラダラと書き綴るブログ

平成ライダークロニクル2

2009-01-22 00:59:35 | ヒーロー

 さて、前回はクウガ~ブレイドまでを簡潔に紹介しました。今回も出来る限り簡潔に説明していきたいと思います。

 シリーズ6作目は「仮面ライダー響鬼」、2005年に全48話放映された、鬼をモチーフにした珍しいライダーです。実は当初ライダーとは違う和風ヒーローを企画したそうですが、結局ライダーでいくことになったため設定やデザインを流用、そのため平成は勿論全シリーズ中でも異彩を放つ異色中の異色作です。もはやベルト以外ライダーの原型を留めないそのデザインにはまたも驚いてしまいましたが、別の観点から見れば初代ライダーが持っていた「仮面ライダーは異形の存在」というコンセプトに別ベクトルで挑んだとも言える野心作です。前5作とは異なるその独特の作風に徐々に親しみを覚えてきた上、何より他のライダー(鬼)が仕事仲間という設定にすることで、それまで新ライダー登場の話を聞く度「またライバルが増えるのか・・・」と不安だったのが、「新しい仲間が増えるぞ!」という期待感に変わりました。以前のブログでも言いましたがこれは問題だらけと言われる響鬼が成しえた最大の功績だと断言出来ます。しかし、良いものを作ろうとする意気込みは見られたものの、予算とスケジュールという現実にはやはり勝てず、後半はプロデューサーとメインライターが変更、大きく作風が変わってしまったことが非常に残念でなりません。もし最初のままの作風で最終話までいったら、どんなラストになっていたのか、今でも気になります。数々の問題を残したまま終了してしまいましたが、主人公・ヒビキさんは今でも憧れの大人です。

 2006年、仮面ライダー生誕35周年記念作として登場したのが、全49話放映されたシリーズ第七弾「仮面ライダーカブト」です。完全新生を謳った前作響鬼とはうって変わってライダー35周年として昆虫モチーフに原点回帰、しかも最も人気の高いカブト虫をモチーフにし、そして主人公をこれまでのヒーローの型にはまらない俺様系にするなど、原点回帰と新機軸のハイブリッドとして大きな意気込みと期待を背負って登場しました。しかし、いくら35周年だからってライダーをコンスタントに増やしすぎたこと、中盤まで料理場面が多すぎて物語が遅々として進まなかったことなどは、同時期に放映していたウルトラマンメビウスが上手く段取りをこなしていたのとは対称的に、大きな段取りミスと言わざるを得ない失点でしたね。結果大量にばらまいた謎や伏線のしわ寄せが後半に押し寄せたり、活躍の少ない(または出す必要のない)ライダーやキャラが際だつなど、35周年という記念すべき年に多くの問題を残すこととなってしまいました。とはいえ、ザビー~サソードまで初っ端カブトと対立するライダーが続いた中、ガタックは始めからカブトの仲間として登場、後半多少ヘタレたものの、いい意味でも悪い意味でもカブトのパートナーとして、物語の中核を二人で担ったと言える上、終盤の二人の熱い絆、天道がひよりに告げた心からの言葉のシーンなど、評価点も結構多いです。この作品を一言で言い例えるなら、「天道のキャラで一年間乗り切った作品」です。まさに天道総司あってのカブトと言えるほど、天道のキャラは見応えがありました。

 2007年に全49話放映され、放映終了後も映画が2本作られたため皆さんの記憶にも新しい「仮面ライダー電王」。「電車に乗るライダー」というこれまたぶっ飛んだ領域に挑戦、メイン必殺技がキックじゃない、変身前後では人格も声も違う、操縦する電車がタイムマシンなど、これまでのライダーでは考えられなかった新機軸をふんだんに盛り込んだ野心作中の野心作です。最大のポイントは良太郎を演じた佐藤氏と、モモたち仲間のイマジンを演じた声優群の好演ぶりで、それまでやや大人向けでダークな印象のあった平成ライダーを子供受けしやすい明るい作風にしたのが勝因と言えます。視聴率の低下に歯止めをかけることは叶いませんでしたが、ブレイドから不振だった売り上げは大きく回復しました。また、カブトでコンスタントにライダーを増やしすぎた反省から、追加戦士はゼロノス一人にし、さらに彼に変身制限(というよりあれはペナルティですな・・・)を設けることでライダーバトルを一回だけに抑えたのも高評価です。基本的に武器に頼った戦い方なので、バトルシーンは酷評が飛んだものの、総合的に見れば、結果近年稀に見る大ヒット作となり、先にも述べたように放送終了後も映画が2本制作されましたが、逆にこれが後番組のキバの盛り上がりを大きく阻害する要因の一つになってしまった感は否めませんね。

 そして先日終了した2008年のライダーにして平成第九弾、そして石ノ森章太郎先生生誕70周年記念作ともなった「仮面ライダーキバ」。放送前はそのスタイリッシュな格好良さや魅力的な要素を多分に含み、期待されていましたが、電王人気の後引きの影響が盛り上がりを、二時代交互描写が物語の進行と双方の主人公の均衡取りを大きく阻害してしまい、結果これまで以上に賛否両論を巻き起こすことになる問題作に発展・・・。現代編が物語として機能し始め、面白くなり始めたのはサガが登場した辺り、そして本格的に面白くなったのがダークキバ登場辺りなのですが、その時期はもはや終盤で、ファンの興味も新ライダー・ディケイドに移り、もはや手遅れだったとしか言いようがありません。とはいえ終盤の異常な盛り上がりは、通常終盤になると失速すると言われている平成ライダーの妙なジンクスをある意味覆したので高評価でしょう(まぁ詰め込みすぎでしたが)。あと、色々問題が多かった現代と過去を交互に見せる二時代交互描写ですが、生かされた話もありました。第9、10話の大村さんの話が初めて現代と過去が上手くリンクした好例で、そしてそこから繋がる二時代でのブラッディローズ製作と修理が、二時代交互描写が最大限に生かされた話です。それぞれ祈りを込めて演奏し、音也のバイオリンとして完成するブラッディローズと、渡のバイオリンとして生まれ変わるブラッディローズの比較描写がとても印象的で、大村さんが音也と渡それぞれに、いずれ自分にふさわしいバイオリンを持つことになると言っていた所からの伏線だったわけなので、第35話「ニューアレンジ・飛翔のバラ」はキバ最大の評価点の一つと言えます。また、イクサこと名護啓介のボタン収集癖も、始めはどうでもいい、くだらない設定かと思いきや、名護さんが過去に行って真夜にボタンを渡したこと、それが息子・渡に託されたこと、そして渡が過去に行った際母親からお守りとして貰ったと、音也と真夜にボタンを見せたことと、実はこのボタンが現代と過去を繋ぐ重要なキーアイテムとして機能しており、この伏線の繋げ方はかなり上手かったと思いますね。これもまたキバの評価点。ファイズ同様、ヒーロー番組としては問題作ですが、最終話で渡も、名護さんも、大牙も、皆登場当初とは別人のように成長した姿を見せてくれたことから、ライダーたちの成長劇として見た場合、ファイズ以上の面白さを見出すことが出来ます。この作品は1話1話が物語ではなく、全48話通して一つの物語として成立する作品です。

 以上駆け足でクウガ~キバの9作品を紹介してきましたが、皆さんが初めて見た平成ライダーはどれですか?マイベストライダーは誰ですか?そしていよいよ始まるディケイドに、どのような思いを馳せていますか?10作目という大きな節目を迎えた平成ライダーは、次なる進化のために、ヒーローのエンターテイメント的作品になってもらいたいと大いに期待しています。