「全ての子供には輝ける無限の可能性がある。子供は全てピーターパンで、念じるなら空さえ飛べるだろう。
それを潰すのが大人や社会である。大人は無意識のうちに子供を自分と同じ大人にしようともくろむ。
大人が子供に語る事なんて自分の自慢話か説教ぐらい。
ようするに、全ての大人は、全ての子供を、自分と同じような大人にしようともくろむ大人である。子供が大人以外の人間に成長しないように、必死で教育という名のもとにおいて子供の可能性をはぎ取る。そして、下らない大人の枠に子供を閉じ込める」
言葉はようやく聞き取れるが、電車の雑音に紛れて考えがまとまらない。死神が何を言いたいのか解らない。
だが、私ら子供の味方気取りでありつつも、子供である私を操ろうとしていることだけはなんとなく解る。
やはり、死神は私の敵であるようだ。
「私は復讐はしないよ」
「子供である事をはぎ取られる喪失感。
自分がよってたかって大人に改造されていく悔しさ。
そして大人になってみて、大人の下らなさ。
望んでもいない大人に無理矢理にされる疑問と怒り。
可能性という翼はもぎ取られ子供は自分の望んでもいなかった者にしかさせてもらえない。それは、共同体の一個の歯車!
部品にされる恐怖。
なりきれば安堵であるが、なりきれなけなければ不安しかない。いつすり潰れて交換されるとも知れない歯車である自分。
いけいけまわせまわせの勢いがある時なら疑問もなく歯車になりきれるだろうが、回して意味があるのかないのか分かんないような世の中の歯車になりきるのはイヤだ。
大人に改造されていくしかない子供達の復讐が、子供達の復讐だ!」