お話しようよ/goo

たとえば落ち込んだりした時に、
にやっと微笑むそんなことが、
小さな幸せだったりする。
来てくれてありがとう。

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つる地蔵6

2004年06月20日 22時04分45秒 | ウェブログ
あまりの出来事に庄屋はうなった。考えられんことが起こったんや。「うん、わしが悪かった。こんな事を見せられて、信じんわけにはいかん。詫びの印にここへ地蔵堂を建ててやろう。」
母の手を離れて、元の場所へ収められた地蔵は元の重さに戻った。
村の衆は、その後毎日お祈りに来ると言う。そして願いをかけて、地蔵を抱くと願いの分だけ軽くなると言う。
ただ、誰も知らんことやけど、よさりに地蔵はつるの母親のところへ行き抱いてくれとせがむそうな・・・。そして抱いてやるとポロリと涙を流すそうな。       (終わり)

現在の中河原とは何の関係もありません。文中の話はまったくのフィクションです。津の民話でもありません。

つる地蔵5

2004年06月20日 19時03分09秒 | ウェブログ
堪忍袋の緒も切れた。何しろ力自慢で鳴らした庄屋やさかい、自ら槌を持って殴りかかったんや。 大きな音がして倒れたのは庄屋のほうやった。
騒ぎを聞きつけて、つるの母が飛んできた。
「なにすんのや! いくら庄屋さまかてあんまりやないか!」と
地蔵を抱きしめた。なんと言うことか、地蔵は母親の腕の中にすっぽりと抱かれてしもうた。「そ、そんなあほな! あの重たい地蔵をあっさり抱くなんて、うそやろ・・・」
「これはな、つるや。つるの重さなんや。あんたらに動かせろはずがあらへん。」そういや、村の衆が地蔵を祀るときも誰も難儀しとらんだやないか。つるは、やはり、ひとがたのおかげで地蔵に変身して身を守ったということかいなあ。

つる地蔵4

2004年06月20日 02時44分14秒 | ウェブログ
えらいことや。 村の衆は蒼うなった。 「これはつるや。」「なんでそんな、がいなこと(とんでもないこと)すんのや!」
庄屋は聞く耳もたん。「ええわ!ハヨ放りこめ!オマンラは仕事せえ」 六尺近い大きな相撲取りが地蔵を掴んだ。 「なんや!!」
動かん。三尺三寸の石の地蔵がびくともせん。
「何や、おまんらは! 大飯ばっか喰らいよって、そんな力しかでんのか。ええい!馬と牛をもってこい。」
動かん。馬と牛が、大男が、引っ張っても動かん。
村の衆は遠巻きに眺めながら、ほくそえむもの、驚きで口をあけているもの、涙さえ浮かべて手を合わすもの様々じゃッたが、
「それ見い。つるはここのおまもりさんじゃぞ。」と言う声にますます庄屋は怒り狂った。

つる地蔵3

2004年06月20日 01時55分49秒 | ウェブログ
母は泣いた。 七日七晩泣きつづけた。 泣いて泣いて涙が切れても泣きつづけた。いとおしいつるやった。村の衆は、言葉を失い、ただその土まみれの地蔵を石切り場の隅に祀るしかなかった。
そんな時、この村の庄屋がやってきた。
ただでさえ工事が遅れとったのに、薄汚い地蔵に手を合わせる村の衆を見て庄屋は怒った。「仕事もせんと、何しとるんや!早よ段取りつけて、そんな地蔵なんか割り石にせんか!」
 せやけど村の衆は誰もそんなことは出来ん。なんぼゆうてもきかんさかい業を煮やした庄屋は、相撲取りを連れてきてこの地蔵をどけようとした。槌で叩き割ろうとしてもちょっとも割れへんだ。
汗を吹き出して叩いても、傷も付かん。「そんなら安濃の川へ放り込め!」 

つる地蔵2

2004年06月06日 22時44分34秒 | ウェブログ
それはもうえらい地響きを立てて岩が落ってきた。小さなつるの体は、それこそひとたまりもなかった。
そのつるは、はたで見とった若い衆によるとなんやら変な石を見つけて遊んでたらしい。
それは。人形(ひとかた)であったと言うものがおった。
せやけど、母親にとってはどうでもええことやった。若い衆らの手を借りてつるを掘り出そうとするその顔は閻魔さんみたいやった。
みんなは、ひしゃげたつるのなきがらを想像して重い気分で懸命に掘り出そうとした。
もう出て来てもいい頃なのに、つるの姿は消えとった。
そこには、三尺三寸の石の地蔵様の形をした石が土まみれになって
ころがっとるだけやった。

つる地蔵

2004年06月06日 22時13分00秒 | ウェブログ
むかしむかあしのことやった.
中の河原と言う所につるという、せやなア,3歳ぐらいかなあ、若い母親と二人暮しの娘がおった。
父親は遠くの昔にいんでもて、母親と二人で、河原の普請にその日暮しを続けて居たんだと。
ある日のことやった。石切り場で働いとる母親が、昼やというんで粗末な握り飯を石積み場にあそばせておったつるのはたへ持って行った時やった。、
母の顔を見たつるが喜んで立ち上がったとき、石をささえとったつっぱりが突然折れてしもうた。
えらい音がして10尺の岩山が崩れてきた。