ウィトゲンシュタイン的日々

日常生活での出来事、登山・本などについての雑感。

慶派仏教彫刻探訪 京都編③

2014-09-14 22:38:48 | 仏教彫刻探訪

9月10日(水)、8時にホテルを出て京阪清水五条駅まで歩き
京阪電鉄で出町柳駅まで出て、出町柳駅で叡山電車に乗り換えて鞍馬駅に向かった。

9時10分、鞍馬駅に到着。

道なりに歩くとすぐ 、鞍馬寺の仁王門に出る。
こちらの仁王尊像は運慶の長男である湛慶作といわれている。
仁王門をくぐると参拝受付があり、愛山料200円を支払う。
仁王門から参道を進むと、由岐神社や川上地蔵堂、義経供養塔などがある。
鞍馬寺は牛若丸(義経の幼名)が兵法修行した場所と伝えられており、義経ゆかりの遺跡も多い。

仁王門から30分ほど歩くと、本殿金堂に到着。
本殿前に敷かれた石の床は「金剛床(こんごうしょう)」といい
宇宙の力を内包する人間が宇宙そのものと一体化するという
鞍馬山の教えの理想を表現しているそうだ。
仁王門や金堂の前方脇に祀られているのは狛犬ではなく、阿吽の虎(あうんのとら)で
虎は御殿に祀られる毘沙門天の使いであるといわれており
毘沙門天の出現が虎の月・虎の日・虎の刻であったことから、鞍馬山では特に大切にされている。

本殿左手脇を進むと、ほどなく鞍馬山霊宝殿(鞍馬山博物館)である。
ここには、この日のお目当てである肥後定慶作の聖観音菩薩立像がいらっしゃる。
3階の仏像奉安室に進むと、国宝の毘沙門天三尊像をはじめ数躯の毘沙門天立像が
威風堂々のお姿で並ぶ様子は圧巻だ。
そして、男性性が溢れんばかりの毘沙門天さんの中にいて
そこだけ優雅な雰囲気を漂わせているのが、肥後定慶作の聖観音菩薩立像なのだ。
そのお顔といい衣のひだといい、同じ作者とはいえ大報恩寺の六観音を彷彿させる。
お顔立ちには異国情緒が漂って、ちょっと異世界の雰囲気を醸し出している。
肥後定慶の仏教彫刻は現時点で判明している物は多くないので
やっと鞍馬に来られて、聖観音菩薩と御対面できたことは、なによりの収穫だった
霊宝殿を後にしてそのまま奥の院魔王殿へと進む。
奥の院魔王殿の手前に義経背比べ石と呼ばれている石があり
仁王門から背比べ石までが登りで、背比べ石からは下りの山道となる。
この拝殿の奥に650万年前に金星より地球の霊王として天降り
地上の創造と破壊を司る護法魔王尊が安置されているお堂がある。
奥の院魔王殿から歩くこと15分弱で、貴船側から鞍馬山への参拝口である西門に着き
そこから右手に貴船街道を進むとすぐ、貴船神社の参道に出る。
赤い燈籠の連なる参道は有名だが、神社としては小規模で拍子抜け。
ところが、この小さな神社にわんさか人が押し寄せてくるのには驚いた。
なんで?
しかも、若い人がほとんどで、そのうち半分がアジア系外国人といった印象だ。
カップルも多く、鞍馬の静けさはいったいどこに?
しかも貴船街道沿いに並ぶ川床料理の店に、次々とマイクロバスが入ってきては停まる。
これが京都の夏の風物詩なのかもしれないが、すごい盛況ぶりだ。
お高い川床料理を一人で食べても面白くないので、出町柳に戻って昼にすることにした。
貴船口駅に着くと、ちょうど2分後に出町柳駅行きの叡山電車が来るところだった。
その電車に乗って出町柳駅に行き、駅の近くの完全禁煙ラファエルガーデンという
西アジア・イスラエル料理のお店でお昼に。
少しゆっくり休んでから、賀茂御祖神社(かもみおやじんじゃ=下鴨神社)に向かう。瀬見の小川が流れる糺の森(ただすのもり)の中を歩いていくと、左手に河合神社がある。
こちらの神社は祭神の玉依姫命が女性の守護神であり美麗の神とされているらしく
若い女性の参拝者が多く見受けられ、女性の顔が描かれている手鏡型の絵馬が
境内の奉納所に所狭しと奉納されていた。
しかも社務所では、「美人水」なるものが売られているらしく、多くの女性が並んでいた。

ぴすけが河合神社に来た目的は、美の追求のためではなく
『方丈記』の著者・鴨長明の晩年の栖であった方丈の庵が、境内に復元されていると聞いたからだ。

河合神社を後にして、参道を歩き下鴨神社へ。
「京の夏の旅キャンペーン」の文化財特別公開が行われており
三井神社前で下鴨神社の成り立ちと三井神社について、ガイドの説明を受けた後
神様の供物を調理していた「大炊殿(おおいどの)」(重文)へと進む。

こちらにもガイドがいて、大炊殿の隣にあるこの小屋の中には、「御井(みい)」と呼ばれる井戸があり
正月の「若水神事」や神饌(神様の供物)調理に、この御井の水が用いられたことや
大炊殿の説明、葵の庭の双葉葵の話などが伺える。

こちらが大炊殿の内部。
神社建築のなかでこの種の社殿が現存するのは稀だそうだ。

賀茂祭(葵祭)の神饌のレプリカ。
大炊殿を見学後は、「神服殿(しんぷくでん)」に上がれる。
ここにもガイドがいて、神服殿は夏と冬の御神服(神様の着物)を奉製する御殿で
天皇行幸の際には御座所となる殿舎であり、「開けずの間」と呼ばれて平常は使用が禁止され
近世は御所が非常の際に臨時の御座所と定められていたことなどを説明してくれた。
今上天皇と皇后の「玉座」も特別公開されている。
下鴨神社を巡り、出町柳駅に戻ったのが14時過ぎ。
さてどうしたものかと思案したが、慶派の仏教彫刻を見るにはあそこしかないと
京阪電車で七条駅へと出て、そのまま七条通を蓮華王院(三十三間堂)へ。

本堂内は、慶派の仏教彫刻の、しかも国宝・重文のオンパレード
旅の締めくくりにふさわしい場所だ。
蓮華王院で丹念に彫刻を見て少々疲れたので
そばにある智積院会館で休もうと、行ったはいいが、営業は16時までだという。
あと20分しかないが、とにかく甘い飲み物が飲みたかったので、クリームソーダを注文。
ほっと一息つく。

少し元気が出たので、智積院の境内を散策。

境内のカエデは、既に紅葉しはじめていた。
帰路の夜行高速バスの時間までは、京都駅周辺で時間を潰す。
もちろん、バスに乗車後は、即爆睡



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