道草あつめ

日常思いついた由無し事を、気ままに拾い集めています。

人間万事塞翁が馬馬虎虎式漢作文

2010-06-30 00:38:31 | 趣味愛好
友人が異動先で突きつけられた課題:
先輩の女性五人を、それぞれ結婚したい順位ランキングして下さい。またその理由についてもしっかり述べて下さい。
期限は7月9日。形式は書面。

友人が採った回答方針:
「夜静還未眠,虫吟遂難歇。無那一片心,説向雲間月。」という詩を入れて、その後に文章を続ける。そして、それを毛筆で清書、装丁して提出。

友人からpingへの依頼:
漢作文。


ping案:

夜静獨思服,蟲吟難止歇。
心無彼一片,但愛雲間月。
(詩は平仄を正す必要あり。よって多少改めた。)

古今人同,思服淑女輾轉反側,未見君子憂心忡忡。而亦有異,古人嘆于漢之廣,今人苦於海之狹。兩岸不遠,京邊愈近,驅車登古原,即日到沙丘。我無一片冰心,猶有五指。月有陰晴圓缺,而総相宜。願結情游,相期雲漢。
(女性五人の名前「海野・岸本・京子・上原・理沙」から一文字ずつ取って文中に使用。)



夜は静かで独り思う、虫は鳴き続けて止みそうもない(「静か」と相矛盾?)。
心中には例の一片は無く、ただ雲間の月を愛するのみ。

古今の人間は相も変わらず、彼女を求めてはごろごろと思い悩むし、彼氏がいなければ鬱々と憂う。しかし、また、差異もある。古人は漢水の広くて渡れないこと(恋人に逢えないこと)を嘆いたが、今人は大海が狭くて渡り易すぎること(恋人に恵まれること)に苦しむ。両岸はもはや遠からず、都会と辺境はますます近い。車を駆けて草原に向かえば、その勢いで沙丘にも着いてしまう。私には一片の氷心のような純粋さは無いが、五本の指(五人の女性)という不実さなら有る。月には晴れ・曇り・満ち欠けがあるが、いずれも美しい(どれかを選ぶことなどできない)。願わくば末永くお付き合いして、遥か雲間の彼方でもお会いしましょう。

典故
「思服淑女輾轉反側」――『詩経』国風周南関雎
「未見君子憂心忡忡」――『詩経』国風召南草虫
「漢之廣」――『詩経』国風周南漢広
「驅車登古原」――李商隠「登楽遊原」
「一片冰心」――王昌齢「芙蓉楼送辛漸」
「月有陰晴圓缺」――蘇軾「水調歌頭」
「結情游相期雲漢」――李白「月下独酌」


詩の平仄(○:平声、●:仄声、◎:韻字)。
●●●○●
○○○●◎
○○●●○
●●○○◎



語彙の時代感覚はバラバラだが、しかし、この際、それには目をつぶろう。
人間万事塞翁が馬馬虎虎式漢作文。

それよりも問題なのは、
そもそも、書の作品にしてしまうことで、順位をつけるという問題をうやむやにしてしまおうという魂胆であろうが、果たして、彼女たちに漢作文という冗談が通じるのであろうか。

まぁ、モテる男はつらいねぇ。


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