今日は、おめでたい国王の結婚式ですが、今日の式は首都のティンプーから車で二時間ほど離れた、温暖な冬の都プナカで行われました。明日ティンプーに移動しティンプーでのお披露目は15日になります。BBS・ブータン放送は朝からずっとこの式の模様をライブで流していました。若い国王は気さくな方で式に来ている国民や外国人にずっと話しかけていました。
とはいうものの、一日中TVを見ている訳にも行かず(かなりのブータン人はずっと見ていたようですが...) 朝からティンプーの北部へ仲間と小トレッキングに出かけました。ブータンからバスでデチョンチョリンという村まで行き、そこからタクシーをチャーターしてティンプー谷の最奥にあるチョリ・ゴンパとタンゴ僧院を訪れてきました。この二つは由緒が古く、格式の高いお寺でタクシーを降りて、それぞれ一時間ほど歩いたところにあります。ガイドブックでは、この二つに同時に登るのは困難と書いてありますが、我々は勢いで二つとも登ってきました。とくにタンゴ僧院は学僧が学ぶ大学でもあり規模の大きな僧院です。
明日から三日間、ジグミ・ケサル・ナムゲル・ワンチェク国王の結婚式が行われます。国王は31歳、お后は21歳です。官公庁、銀行等はこの三日間休みで国中がお祝いムードです。
先代のワンチェク四世は4人のお妃をお持ちでしたが、このジグミ5世はどうでしょうか。ブータンの法律では一般男性は3人まで奥さんを持つことが許されています。また、北部のチベット文化の色濃い地方では一妻多夫の風習が残っていて、一人の奥さんを三人兄弟で共有することが許されています。これは、一般にチベット男性は交易に出ることが多く家を空け時々しか帰ってこないので奥さんが主に家を守ることからこういう仕組みになったようです。
結婚の際も田舎では、夜這い:Night hantの風習が残っている様です。これは年頃の男性が夜、目当ての女性の家に忍び込むのですが当然、女性に選ぶ権利があり拒否された場合は諦めて帰るしかありません。OKが出た場合は家人に気づかれないように事を終え夜中のうちに帰るのですが、これを繰り返すうちに村人の噂になり、そのうち両親の知るところとなり徐々に家族および村社会の認知するところとなる、というプロセスを経て夫婦となるのです。この伝統的なアプローチの場合には結婚式は行われません。
ブータンの元々の伝統では、女性が相続を行い男性は妻の家に通う形を取っていたようです。離婚もかなり自由で、日本では許されていない浮気した方からの申し立てで離婚が成立します。ただしこの場合の財産分与は1/4が子供、1/4が浮気した当人、残りが浮気された方となります。これは夫の場合も妻の場合も同じです。また、夫が浮気した場合、妻の承諾があれば第3婦人まで持つことも可能です。ただ、現状では離婚件数が多く子供にしわ寄せが行っているケースが多く見られ問題視されているようです。
ブータンについて2週間になりますが、日本あるいは他のアジアの国々と違う面が色々と見えてきます。例えば外国人でもあまり値段を吹っかけないこと、お寺では本当に真剣にお祈りをあげている事、ゾンなどでは皆非常に礼儀正しい事、着物の乱れがあまり見られない事、街中に野良犬が多いこと、等々。これらの事柄やGNHを理解するには彼等の宗教観を正しく認識しておく必要があると思います。
ブータン人の信ずる所によると、死ぬと魂は輪廻転生する。そこには6層の世界があり一番下は地獄、二番目は飢餓地獄、3番目は畜生界、4番目が人間界、5番目が半神半人界、6番目が天界、とあり人が生きている間に溜めた業・カルマによって魂は次にどの世界に生まれ変わるかが決まる。ちなみに仏陀は悟りを開いたが故にこの輪廻から解脱した唯一の存在である。全ての人は内なる仏陀を秘めており非常に高いカルマを得た場合は解脱することは不可能では無い。
カルマは良い行いをすれば上昇し、悪い行いをすれば下降する。良い行いというのは他人に善行を施すこと、目上を敬うこと、仏を敬い真剣に祈る事、時にタクツアンの高みに苦しみながら参ることなどであり、悪い行いとは生き物を殺す、大食大飲する、嘘をつく、騙す、淫乱にふける等々です。ブータン人は常日頃からこのカルマの蓄積具合を気にしながら生きている。彼等も生身の人間ですから、時に外国人に値段を高く吹っかけてお金を稼いだり、大酒を飲んだり、淫乱にふけったりもします。しかし、もちろん死後畜生道に落ちたり、最悪地獄に行くのは嫌なのでカルマを上向き補正するために、お寺に行って祈ったり、マニ車を回したり、タクツアンの高みに上ったりするわけです。
ちなみに、タクツアンには馬に乗っても登れますが、ブータン人に言わせれば自力で登らないとカルマは上昇しないばかりか、馬をいじめているので却ってカルマは下降する全く馬鹿げた行為だと言うことになります。
彼等の行動規範はカルマの上昇にあり、少々あくどい事をしたとしても死ぬまでにそれを出来るだけポジティブサイドに持っていこうと祈ったり、善行を行ったりします。もちろん余りにも悪いことをすると取り返しがつかなくなるので、なるべく悪行は行わないよう極力努力します。
ここで注意しておきたいのは、自分のために勤勉に働くことにカルマを上昇させる効果は無いということです。彼等の考え方では善行によりカルマが上昇すれば運はついて来て作物は勝手に良く実るようになり皆が幸せになると信じています。我々日本人がブータン人を見て誤解を起こしがちな点がここにあります。我々日本人は自助努力を旨とし勤勉は美徳と信じているので3Kを厭わず働き、5Sを守るようにブータン人に求めます。しかし、彼等にとってそんな事を幾らやっても、カルマは上昇しないので徳には為らないのです。
とにかく、彼等の価値観あるいはGNHという発想は宗教を抜きにしては絶対に理解できないと思います。同時に、今のブータンの有り様の大きな部分は宗教が占めており、ブータンをブータンたらしめているのがチベット仏教なのです。ほとんどの現代日本人は無宗教に近いので宗教の占める規範力というものを見失っていますが、ブータンではそれが生きている。それが日本とブータンの根本的な違いでは無いでしょうか。
ここ数日ブータン政府の教育機関であるRIM(Royal Institute of Management)でオリエンテーションを受けている。これはブータンに来た各国のボランティアが受講するもので今回で33回目との事だが、ほとんどはJOCV向けのようだ。
最初に仏式の厳格な受け入れ儀式があるのだが恙無く終えた。我々日本人は板張りに長時間座る事にあまり違和感は無いが、たまに受講するオーストラリア人やイギリス人のボランティアは大変だろう。この儀式にはJICA所長、調整員も招聘されていたが、JICA所長殿が五体投地礼を行った際に、額を板張りの床にゴンゴン打ち付けて、私も驚いたがブータン人も仰天した事だろう。
ここではブータン政府の担当者が英語でいろいろの分野の事柄をレクチャーしてくれる。そのなかで、幾つか印象に残った話を書き留めておきたい。まず、Home&Culture省というのが有るのだが、名前だけ聞くと文化省かな?と思うが、実際はとんでもなく、警察と内外のゴタゴタを一手に引き受ける統制官庁の様です。ブータン人には戸籍は無いが犯罪履歴をこの部門が管理しており、官公庁への就職やパスポート発行はこれが白で無ければダメとの事。またブータンでは死刑は廃止されていて、刑務所はアムネスティーの査察を受け入れている。ちなみに警察はこの省の所轄だが、軍は国王直轄で文民統制とはなっていない。この部分を見ると国王は最後の鍵を握っている訳で、完全な民主形態とは言えない。
経済の面で見ると、まずこの国の有力な資源として水力発電があげられる。水力資源は30GWのポテンシャルがあるが現状その2%以下しか活用していない。しかし、この2%で政府収入の50%を賄っており、今後開発を進めることにより、打ち出の小槌になり得る。発電した電力はインドに売電しており、50GWの需要があると担当者は胸を張っていた。また、この国は人口密度が低いことも有利に働いている。左隣のネパールが約4倍の面積に2700万人いるのに対して、ブータン人はたったの70万人しかいない。豊かな水力資源と、少ない人口はGNHを支える主要素だろう。
観光も主な収入源でGNPの6%程度を占めている。この国ではユニークな方法を採用しておりツーリストは一日あたり最低200USD(繁忙期250USD)を支払うことで入国ビザが発行される。この金額にはホテル、ガイド、車、食事等が含まれている。近隣のインドやネパールを旅行する場合、一日20$もあれば十分なのに対して割高だが、ブータン人はバックパッカーが大挙して押し寄せてくるのはお好みでは無い様だ。とにかくこの国の人々は優雅に暮らしているので、訪問者も金持ち限定。来るときのフライトに同乗していた皆さんも、アメリカ・リタイヤ組で年寄りばかりだった。
9/23にSERN(欧州原子核研究機構)でこの件に関するセミナーが行われ、詳細が報告されている。http://journal.mycom.co.jp/articles/2011/09/25/neutrino/index.html
ニュートリノ検出器:OPERAはイタリアの山中深くに設置されているので、トンネル入り口をGPSで確定してレーザー測長で検出位置を出したらしい。発生器からの距離は731278.0+-0.2m、時間タイミングはGPS時間をセシウム原子時計で補正して2.3+-0.9nSの精度を確保している。
ただ、私が素人意見として、問題がありそうだと思うのは下記の点です。
”送出されるニュートリノの数やタイミングは直接には測定することはできないので、元になる陽子ビームの波形をBCT(Beam Current Transformer)で取り出してタイムスタンプを付けてデジタルレコーダに記憶する。そして、OPERAでニュートリノを検出した時刻と数と比較する。”
つまり、送出側のタイミングは直接計測していない事になる。また、以下の事実もある。
”小柴先生のノーベル賞となったニュートリノ検出が行われた超新星1987Aは16万8000光年の距離にあり、今回の測定の光とニュートリノの速度比率が正しいとすると、光の方がニュートリノより約4年遅れて届く計算となるが、実際はほぼ同時に届いており、今回の結果とは矛盾する。ただし、この時のニュートリノは10MeV程度と低エネルギーであり、17GeVと同じ速度とは断言できない。”
ここではエネルギーによる差を言及しているが、CERN自身は17GeVと28.1GeVでの差は無かったと言っており矛盾する。
とっぴな仮説だが、陽子衝突の60ns前にニュートリノが発生したとは考えられないのだろうか? これでは、結果が原因に先行することになり因果律を壊すことにはなるが、これであれば小柴データとは矛盾しない。
何れにせよ、日本にもスーパーカミオカンデがあるので筑波からニュートリノを飛ばせば同様の実験は出来る(基線250km)。基線を変えて60ns差が変わらなければ上記仮説が有力に為る。
今日は昼からJICA所長の御呼ばれがあったので、午前中にメモリアル・チョルテンとたまたまお祭りで入れるタシ・チョ・ゾンを回ってきました。チョルテンはホテルから歩いて10分のところに有る大きなもので周りを人々がぐるぐる時計回りに回っています。また、その一角には巨大なマニ車があっておじさんが座り込んで回していました。
タシ・チョ・ゾンは歩いて30分ぐらいのところにあります。因みに、ゾンというのは行政と宗教の中心となる建物で各県にあります。いわばお城のようなもので、タシチョゾンはブータンで最も重要なゾンで、国王の執務室があります。ゾンには普段はゴとカムニ(肩掛)で正装しないと入れないのですが、今日はお祭りなのでポロシャツでも入れてくれました。中はすごい人で、入り口付近は身動きが取れない状態で、奥まで入ると帰れなくなりそうなので早々に退散しました。来週催されるチェチュは年に一度の大祭ですが、今日以上の人出になるのでしょう。
これから一ヶ月ほど、ここで暮らすので食料品を調達してきた。それにしても物価が安い。
パン15Nu(24円)、コーヒー169Nu(270円)、オリーブ135Nu(215円)、チーズ208Nu(331円)、モルトウイスキー119Nu(190円)、マヨネーズ74Nu(118円)、チリソース28Nu(45円)、シャンプー117Nu(186円)
チーズは450g、オリーブは大瓶でこの値段。ウイスキーは本格モルト750mlで190円とは泣かせる、恐らく酒税が掛かっていないのだろうが酒飲みには天国だ。あと、オニオンとトマトがあれば今晩は外食なしでラッソー(OK)。 ソーセージも欲しいところだが真っ黒な血詰ソーセージしか今のところ見かけない。あれでサンドイッチはいくらなんでも遠慮しときます。
今日の昼飯 at AMA Restrant. 間違えてケマダチ(左)とシャクパダチ(右)の二品を頼んでしまった。本当はサラダ(ホゲ)とシャクパダチを頼むつもりがどういう訳かこうなりました。右奥が赤米。これだけで160Nu(250円) 味はトウガラシをいっぱい使っているが旨かった。地元民でいっぱいの人気の店のようです。