徒然なるまゝによしなしごとを書きつくる

旧タイトル めざせ、ブータン

核融合について

2011年04月20日 | 物理

福島原発事故により原子力発電の脆弱性が露呈し、今後エネルギー政策の大幅な見直しを余儀なくされるだろう。その一方で経済的発展を遂げる発展途上国、特に中国、インドにおけるエネルギー需要は飛躍的に増大し近い将来、石油の枯渇が現実のものとなる可能性は高い。(ちなみに、私自身は温暖化対策を目的としたCO2削減は根拠が薄いと考えています。)核融合炉の実用化、はそれに対する一つの解を与えてくれる。

核融合のメリットは、

1.燃料となる重水は海水中に無尽蔵に存在する。

2.原子炉の連鎖核分裂反応と違い、限定条件下でのみ反応が継続する暴走の無い安全な反応である。

3.一義的な反応生成物はヘリウムだけであり、クリーンで放射能の危険性が少ない。

等々、良い事ずくめである。

とは言うものの、最初のプラズマ閉じ込めが1951年に公表されて以来60年経過しているが未だ実用化には至っていない。しかし、近年、高温超伝導材料の飛躍的進歩により実用化の可能性が高まっている。下図はプラズマ密度・保持時間と温度で決まる臨界条件を示すローソン図と言われるものだが1996年の段階で臨界プラズマ条件は達成されており、今建設中のITERでは自己点火および入力と出力の比であるエネルギー倍増率Q=10を目指している。

実用化には多くの技術課題がある。高温プラズマと接するダイバータの設計、高速中性子に晒されるブランケット素材開発、プラズマを効率よく安定化させるための超伝導コイルの開発等々、人類の知恵が試されている。(下記参照)

http://oasis.muroran-it.ac.jp/FEEMA/pict/event/091127muroran/seki01.pdf

日本も主要国として参加する国際熱核融合実験炉:ITERは現在フランスのカダラッシュに建設中で2015年に稼動を開始する予定になっている。各国の高速増殖炉開発が頓挫している現在、この核融合技術こそ人類のエネルギー問題を解決してくれるものと信じたい。2030年の実証炉稼動を見るまでは死ねないな。



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