ふむ道,小道,数多く

趣味いろいろ。2014/9に別ブログを合体したので、渾然一体となってしまいました(笑)

One Flew over the Cuckoo's Nest (177-184)

2006-02-28 23:56:39 | BookClub
レントゲン室の向かいにその部屋はある。ドアには何も書いてなくて,中から悲鳴が聞こえる。Hardingは「タダで月旅行ができる。‥いや,脳細胞で金を払う事になるって言った方がいいかな。」と説明する。

(時々Chiefは恐ろしい事を言います。)Miss Ratchedは,人の正気を奪うフォークナー式伝統治療法の支持者だ。Hardingはさらに,これはただ単に刑罰という意味ではなく,ちゃんと治療にも使われるのだ,と説明。彼らは大きなハンマーで家畜が殺されるのを観ていて,そして,患者がけいれんを起こした後は,何故かとても落ち着いて平和になるのだそうだ,と,付け加える。

ここで,Sefeltのセリフ,語呂がいいのでメモ。
Give some of us pills to stop a fit, give the rest shock to start one.

McMurphyは公衆が異議を唱えないのかと言うが,Hardingは「君はこの国の公衆をわかってないようだな。in this country, when something is out of order, then the quickest way to get it fixed is the best way. 」(out of order"には,「故障して」と「常軌を逸して」の二重の意味があります。そう考えると,面白いセリフ) ‥これは痛みを伴わない。しかし,誰ももう1回やりたいとは思わない。物事を忘れちまうんだ。」

全く理解ができん,というMcMurphyに,Hardingは「心配するな,あんたがそんな目に遭う事はないよ。流行じゃないし,他に手がない場合しかやらないよ。」「ロボトミーって,脳みそをぶった切るって事か?」「あんたはいい言葉のセンスしてるな。その通りだよ。前頭葉切断手術だ。If she can't cut below the belt, she'll do it above the eye.,」(あ~,今日はHarding絶好調ですね~。「below the belt」には「反則」という意味が,あるんですよ。だからこのセリフの意味は多分『もし彼女がベルトの下(反則)を無視できなければ,目の上に「それ」をする』かな)

そしてしばらく彼らはMiss Ratchedの噂をしている。McMurphyは,最初の頃,全てのトラブルの原因は彼女にあると思っていたが,この頃はわからないと言う。(Chiefは密かに,悪いのはこの国のCombine全体だという事をMcMurphyは知らない,と,思う。)

McMurphyは,Miss Ratchedと縁を切る事が問題の解決にはならないと言う。McMurphyは「あの年寄りハゲタカが何もしない限りはここにいるつもりだ。」と言う。しかし,彼は皆が自分の身を守る為に自分を利用していたのではないかと言う。

Hardingは突然「あんたは俺よりもっと負けてるよ。」不思議がるMcMurphyに「実はここに『収容』されたヤツは少ないんだよ。」と言う。Billy Bibbitも違うと聞いて慌てるMcMurphy。「お前は女の子を追い掛け回す方がふさわしいじゃんか! 何故ここにいるんだ!?」Sefeltに,「俺にはお前よりもっとキツイ癇癪を起こす叔父がいるんだよ。でもこういう所には逃げ込まなかったぞ。根性があればなんとかやっていけるじゃないか!」するとBillyが泣き出す「そうだ!こ,根性があれば‥! ママはMiss Ratchedの友達なんだ。根性があれば,き,今日にだって表に出れる!」彼はさらに「僕がこここここを出たくないとおもおも思っているのか? おおおお女の子にもてたくないと思っているのか? でででも,あんたは人にわわわわ笑われた事はないのか? あんたは強いからな。僕もHardingもFredericksonもSefeltも,強くないんだよう。」彼は泣き過ぎて,かさぶたが取れて血で赤くなった。

McMurphyは1人でそっとつぶやいた。「なかなかわかんないなぁ」


One Flew over the Cuckoo's Nest (167-176)

2006-02-28 01:24:38 | BookClub
ある日の昼食,Sefeltがトレーをひっくり返した。FredricksonとScanlonが助けようとしたが,黒人達は彼らを捕まえ,引き戻す。黒人は「Sefeltさんは,薬をいらないってよ。」と言う。Miss Ratchedは頷いてニコニコしている。McMurphyはこの光景を見るのは初めてだ。「彼はどうしたんだ?」Miss Rathcedは彼を見ずに「Sefeltさんはてんかんの気があるんですよ。薬を飲まないとこういう事になるっていつも言っているんだけどねえ。」
これに対して,Fredricksonが激怒。「それだけの事で奴を苦しめるのか?」Fredricksonは,Sefeltが,いかに薬の副作用や,彼の外見についてとても心配していた事を説明しようとする。しかしMiss Ratchedは,最初は彼の腕を押さえていたが,やがて「何をそう怒る事があるんですか!」と言い返す。そして,「彼は今日は休んだ方がいいわ。」と言ってFredricksonの肩を叩く。Fredricksonは「俺もDilantinを飲んだほうがいいのかい」

す・る・と・Miss Ratched「もっといい方法があると思わない?」

(このおばはん,ホント,ムカつきなんてレベル超えてますねぇ~。蛙お婆どころじゃないじゃん)

担架が運ばれてきた。Sefeltは既に半分正気を取り戻していた。彼の頭ににたんこぶが,黒人の棒の先には,彼の口に突っ込んだ時についた血糊がついている。Chiefは彼がこれからShock Shopに連れて行かれると察知。「薬は副作用があったとしても,これよりはいいでしょう?」Fredricksonは,下を向いて震えている。McMurphyはそっと彼に近づき,何の薬なのか?と訊く。彼はけいれん防止の薬と言うが,歯茎を見せる。「この薬,歯茎を腐らせるんだよ!」(彼がいつも『歯が抜ける』と気にしているのはその為だったか)
Sefeltは担架で連れて行かれた。

何があっても,彼らはちゃんと修理するんだ‥とChiefは思う。

Chiefは時々図書館に連れていかれるが,彼は図書館を怖がっている。(彼は教育を受けた人らしくない言葉を使っているけど,大学まで行っていたんだ,それなのに,図書館が怖いとは‥)黒人がHardingの奥さんを連れてきた。彼女は黒人に投げキッス,しかしHardingは動じない。Hardingは,マンガを読んでいたMcMurphyを呼び,奥さんを紹介する。彼女の爪は血のように赤い。奥さんはMcMurphyに「Varaって呼んで」と言う。そして彼女は夫が久しぶりに笑っている事に気付く。

彼女は煙草を欲しがる。Hardingは「今切らしてる,制限されているんだ」「あら,あなたに十分って事はないわよね。」McMurphyが煙草を提供する。

彼女が行ってしまうとHardingはMcMurphyに「どう思う?」と聞く。しかしMcMurphyは,突然怒り出し,「邪魔しないでくれ」と言って,マンガを読み始める。皆びっくりして口をぽかんと開ける。(しかし)McMurphyは夕食の時間にHardingに謝る。何がそうさせたのかわからない,と。するとHardingは,彼女のせいだろ,と言う。McMurphyは「俺に悪い夢を見せたのは彼女じゃないさ。」と言う。「どんな夢だ?」「わからないけど,顔の夢なんだ。」

Martiniが古い水治療法用のパネルでパイロット遊びをしている。彼は標的に狙いを付ける。カードゲームをしていた連中は慌ててそれを見ようとするが,何も見えない。MartiniはMcMurphyに「見えないか?!」と訊く。McMurphyは「誰?何も見えないぞ」「ちょっと待って,彼らは君に見て欲しいんだ。」「何も見えないよ!わかったか!」するとMartini,「ああ,‥冗談だよ。」

McMurphyは「そんな冗談,気にしないぞ!」と言って,カードを切る。カードは,彼の震える手の中で,弾けて,散らかった。


One Flew over the Cuckoo's Nest (158-166)

2006-02-27 00:02:09 | BookClub
グループミーティングでは,患者達は,何故週末位朝食後にゆっくり休めないのかと言うようになった。Miss Ratchedは,1人でよからぬ事を考えるより,皆で一緒にいる方が治療上いいからだと言う。

Miss Ratchedは,あなた方がおとなしくしているのなら,ドクターに相談しましょうと言う。Cheswickは,ドクターがそれについて答える前に今度は煙草について話を展開。ドクターは患者が自由に煙草も吸えないのかと驚くが,Miss Ratchedは,McMurphyが来てから,賭けに使われるので1日1箱としている説明。

McMurphyはこんな騒ぎに何かしら手を貸していたが,しかし,不思議とMiss Ratchedもスタッフ達もMcMurphyには怒らない。

水曜はプールの日。Chiefはプールが嫌いだ。黒人達につつかれないよう,彼はMcMurphyの傍へ逃げる。MuMurphyは,ライフガードと,刑務所も病院とどちらが楽か議論していた。ライフガードは年取ったフットボールプレーヤーで,気ままな振る舞い故にDisturbedにいた。彼は腕の怪我が治ったら,帰れると言う。

「それでいつ治るって言われたんだ?」とMcMurphyが聞くと,彼はゆっくり立ち上がり「俺はもうプレーできないよ。でも何かは出来ると思うんだ。」そして椅子に座って「酔っ払って争乱を起こしてここに来て8年と8ヶ月になるよ」と言う。

McMurphyはその後ずっとその事について考えていた。彼は6ヶ月の刑で農場で働いていたが,既に2ヶ月が経過。あと4ヶ月だ。この病院の暮らしは農場よりはよいが,それが長引くのはよくない。ChiefはMiss Rathed達の企みを思い出して恐ろしくなる。

McMurphyは翌朝早起きして,トイレをきれいに掃除してMiss Ratched以外の全員を驚かせた。ミーティングでCheswickはまた煙草の事で騒いでいる。彼は子供扱いされたくないと主張し続ける。その日McMurphyは後ろでトランプのカードをいじっていて,黙っていた。
Cheswickは黒人に連れ去られる。McMurphyは相変わらずカードを切っているだけだった。
患者達は,McMurphyは何かもっとすごい事を企んでいるのかと噂していた。しかし,Chiefは気付いていた。あのライフガードとの会話で,彼は悟ったのだ。ちょうどChiefの父が,結局,ダムを作る事を認め,お金を受け取った方が仲間の為になると悟ったのと同じ事だ。おとなしくしている方が身の為だ。やがて他の患者達も気付いてきた。

Cheswickすらそれを理解したようだ。彼はDisturbedから帰ってきて,彼の行いは賢こかったと言う。しかしプールに着いた時,彼は何かしなきゃと言って,水に飛び込んだ。その時彼は指を格子に挟んでしまった。ライフガードもMcMurphyも黒人達も彼を助けられず,ドライバーでようやく格子をはずした時,Cheswickは格子を持ったまま,溺れていた。


ナルニア国物語/ライオンと魔女 1回目(ネタバレ)

2006-02-25 23:55:06 | 映画
実は昨日,ミュンヘンを観た時,指定席を衝動買いして(笑),生まれて初めて,先行上映なるものに行って参りました。‥と言っても,映画館に行ったら,普通に映画やっているだけなんですね。って,それは当然か(笑)

3週間位したらもう1回観に行く予定だし,先行なので,あんまり詳しい事は申しません。今日は半分程度にしておきます。

まず印象的なのは(ホントはこういう事が印象的では困るんですが),予告編を観た時,ひっでぇ~な~と思っていた字幕が,ほとんど英語に忠実に直ってました。私は翻訳版を全く持ってないので,翻訳版を持っている方が満足できるレベルなのかどうかはわかりません。Turkish Delightは見るからに本物のTurkish Delightだったので,さすがにこれを「プリン」とは訳してはいませんでした。でも,誰が見てもおかしいと思えるような翻訳はありませんでしたよ。

ちなみに字幕翻訳は,いつものあの方ではありませんでした。

原作に忠実,と評価する人もいますが,う~ん,何と言ったらいいんでしょう。まあ,私自身は,原書を1回読み,BBC版を2~3回聴いた程度の原作の知識しかないのですが,イベントはだいたい原作通り,なのですが,所々,ちょっと改変があったと思いますよ。長い話をコンパクトにまとめる為の改変はいいのですが(でもナルニアはそんな長くないはずですけど),原作には全くない冗長な部分もあり,昨日長い長いミュンヘンを見たばかりですが,もっと長いなぁ~と感じました。(汗) 特に冒頭の空襲シーンは,全くいらないと思いましたね。

宗教臭さは割と押さえられていましたが,原作であまり細かく描かれてなかった兄妹の絆がたっぷり強調され,最近のディズニーが得意な味付だな~と思いました。そういうのが嫌いな人は「ちょっと~」と思うかもしれません。

ただ,ある部分(特に「箪笥周り」)では,本当に原作にピッタリ忠実に表現されていて,これはハリポタもLOTRもぶっ飛ぶかも!とすら思った所もありました。気に入らなかったのは,アスランの表情が豊か過ぎで不自然に見えてしまった所。

音楽の使い方は,思っていたより斬新。予告編などからはちょっと想像できなかったです。これはもしかすると,好き嫌いが分かれるかもしれません。かくれんぼでジャズボーカルが使われたりするのですが,私はそれは好きでしたが。

ところで,これは思いっ切りネタバレになってしまいそうですが,去年3月のNZ旅行の写真から,ケア・パラベルのあった場所に大変よく似た物を見つけました。

こちらはちょっと斜めになってしまったので,当時公開しませんでしたが。

2枚とも,ダニーデンという町の近くで撮った物です。

ちなみに,映画の中で,冬から春に変わった瞬間「NZになった」ものですから,私はちょっとウケてしまいました。

これは,クライストチャーチの近くの山ですが,映画では,春になりいきなりこんな感じの景色になったんですよ。

‥という事で,ちょっと去年のNZ旅行まで思い出してしまったのでした。

ミュンヘン,おこぼれ

2006-02-25 09:15:15 | 映画
昨日書き損なったこぼれ話です。
これはちらっとは書きましたが,トロイで鍛えた肉体をキープする長身のエリック・バナ,何を着ても(何も着なくても(笑))カッコよかったです。それを観るのも映画を観る楽しみの1つ,かな(笑) 背広でテロ(汗;→いや,彼らのやってる事は「テロ」ですよね)というのも,おしゃれ,などと言っては不謹慎ですが(汗),舞台の殆どがヨーロッパという事で,ファッション等も,何か洗練されていました。

何か次期ボンド役の方もいたそうですが?金髪の人ね。すみません,あまり印象に残りませんでした。(汗)

イスラエルの町,ローマ,パリ,ロンドン,レバノンの町,ニューヨーク,都会の描写がなかなか素敵でした。また海外旅行に行きたいなあという気にさせます。中でも,キングダム・オブ・ヘブンを観た時も気になったのですが,中東の海は本当に美しいですね。機会があれば,是非行ってみたいなあ。。。

それと,忘れてはいけないのが,おいしそうな料理の数々。何故かアヴナーは料理が得意なんですよね。彼が料理が得意な事は何か特別な意味があるのでしょうか?(映画だとそういう所はわかりにくいんですが)まあそれはいいとして,なかなか目を楽しませてくれました。「パパ」の天然ソーセージもおいしそうです。是非賞味したいなあ。。(笑) ただ,殺人者と料理の関係,というのは,結構古典的だったりとかしますが。。(汗)

HoME7 : The Treason of Isengard 感想

2006-02-25 02:01:55 | Tolkien・HoME
1年かかった6巻とは対照的に,7巻は約半分の5ヶ月で読了。読み易かったという事ではなく,ごく単純に,他に同時に読む必要のある本がなかったからなのですが。

6巻と7巻に何か違いがあるものかと思いましたが,6巻では,主にホビットがどうやってシャイアを出て,どのように話が始まるかが描かれていましたが,7巻はその後の展開,そして指輪棄却に話をどのように持って行くかが描かれていたように思います。

7巻で興味深かった事と言えば,まず「指輪」の定義がはっきり決まった事ですね。指輪は誰でも支配する事ができる最強の道具ですが,その指輪に最も似つかわしくないキャラクタが指輪を持ったからこそ,それを棄てる事が出来る。。。ここは今まで私の理解の弱かった所で,なかなか勉強になりました。

また,6巻ではさんざん楽しませてくれた,並外れたホビットのペレグリン・ボフィンことトロッターですが,7巻では,冒頭でいきなり人間アラゴルンに変わります。そしてこの巻は,そのアラゴルンの成長の巻でしたね。最初は堂々と自分の祖先はミナス・ティリスから追い出されたと言っていたのには驚きました(笑)7巻の終わり頃には,かなり高潔さも出てきましたが,現在の予定では,彼はまだ単にゴンドールに行って王様になるというだけで,どうやって王様になるかも示されてないし,最後にガンダルフと共に黒門まで出掛けて行く予定もなく,最後にちょっとだけ色気話も出てきましたが,また結婚相手も決まっていません。8巻以降も成長が楽しみ?かな。

登場人物が美化されてきたのも7巻の特徴でしょうかね。ホビットの冒険は,美男美女の話とはとても思えませんでしたが,7巻に入って,外見を褒める言葉が随分目立つようになりましたよ。そして登場人物が洗練されるに従い,ガンダルフが洗練されてきたような気もします。元々,6巻時代から,彼は一旦死んで,生き返るという計画ではあったようですが,復活後の姿には,最初は「ぼろぼろの帽子」という言葉が残っていましたが,だんだん衣装も美しくなって参りました。やはり,ホビットの冒険時代の,「7000年も生きているとは思えない大人げない因業ジジイ(笑)」では済まなくなって来たという事でしょうかね。(笑) 余計な事を忘れちゃったという所も何だかウケてしまいました。

面白いなあと思ったのは,ビルボが裂け谷で作った詩のエピソードでした。元々はC.S.ルイスとの言葉遊びだったとか。今まで詩はニガテだったのですが,これでいっぺんに読む気が出てきましたよ。(笑)

そして,衝撃的だったのは,ボロミアの役割が大きく変わった事です。彼は元々はアラゴルンと一緒にミナス・ティリスに帰り,結局はアラゴルンとタイマン勝負?でもさせられかねない予定でした。もしかすると,単純な悪役になったかもしれなかった所ですが,それがアモン・ヘンが近づくにつれ,正式版通りの,「フロドから指輪を奪おうとするが,最後に我に帰る」,という役割になるのですよね。実は,そう,ボロミアのこの役割の変更が,それまでの計画を大きく変えてしまったんですよね。フロドとサムとゴラムに関しては,最初から結構最終形に近い形で計画されているのですが,おそらく,それ以外の登場人物の「その後」を全て変えてしまうほどのインパクトがあったと思います。まるで,トールキンさん自身が,旅の仲間と一緒に旅をしているかのような,ドラマチックな変更でした。

で,8巻も楽しみに読みたいと思います!

ミュンヘン(ネタバレ)

2006-02-24 22:55:51 | 映画
いちおう冒頭でもネタバレとお断りしておきますが,最後のあのネタはさすがに伏字としておきますので,後でテレビででも,ちょっとでも観る気のある方は,そこだけはお読みにならない方が賢明かと思います。(笑)

この映画は,今年のアカデミー賞候補にもなっています。テーマは非常に重く,普段このジャンルはあまり観ないのですが,実は仕事上の関連でイスラエル人の知り合いがいるという事,トロイを観てエリック・バナに興味を持ったという事,監督はスピルバーグであり,音楽はスピルバーグ映画やその他数多くの映画,SWやハリポタの音楽で名高い,ジョン・ウィリアムズ,という辺りから,観てみる事にしました。

ただ,何故かイスラエル人には決して評価高くないんですよね。

まずは,イエメン歌謡で幕開け。う~~んイスラエルだ~という雰囲気がいきなり盛り上がります。(私はイエメン歌謡をルーツに持つ,イスラエルの超美人歌姫だった故オフラ・ハザのファンだったんですよ~)音楽は全般的にとてもよかったです。音楽が印象に残っている映画の多くはジョン・ウィリアムズなのですが,さすがだなあと思いました。

そしてまず,発端となったミュンヘン事件。折りしもトリノオリンピック真っ只中ですが,そもそも国同士の戦争に代わる物という役割を持っているはずのオリンピックで,武装テロリストが丸腰の選手を殺すなんて,ちょっと,単に許しがたいと言うだけでは済まされないほどの怒りを感じますね。

イスラエルのメイア首相,迫力ありました。(汗) 何気ないおばあちゃんのような方なのですが,眼光の鋭さが印象的でした。

主人公のアヴナーは,世界最強の諜報機関と恐れられるモサドのメンバーです。彼は,メイア首相の身辺警護の経験がある事から暗殺団のリーダーに抜擢。でも彼は,そんな恐ろしい組織のメンバーとは思えないような,普通の若い旦那さんです。この奥さんがまた,明るくて逞しい人です。奥さんの強さが,全編通じて救いでしたね。

エリック・バナは,トロイからの肉体をキープしていますね。やたらと服を脱いだシーンが多かったのがちょっとミソ(笑)です。元々はコメディアンだというのが信じられない素晴らしい演技力ですね。でもたまには彼のコメディアンな面も見てみたいなあ。シリアスな物しか観た事ありません。日本でも,コメディアンでありながら,シリアスドラマで抜群の演技力を見せる人は多いですが,笑いはあらゆる表現力を鍛える為には有効なのでしょうか。

舞台は,イスラエルからヨーロッパ。いろいろな言語が飛び交い,英語もいろいろなアクセントが飛び交いました。字幕が英語になったり,英語以外の時には字幕なしだったりとかもしましたねぇ。ちなみに字幕翻訳は例のあの人ではありませんでした。(まあ無理でしょう) エリック・バナはオージー訛りを出さず,少しはイスラエルぽい訛りをしようとしていた,かな。私もホンモノのイスラエルアクセント英語を聞いた事ありますが,俳優さん達の中には,かなりそれっぽい発音をされていた人もいました。

各国の建物を見るのは,この映画の密かな楽しみでした。ヨーロッパの建物は重厚で,レバノンの建物も独特な雰囲気。おかしかったのは,ギリシャのボロアパートです。ここまで汚いアパートがあるかって。しかし「パパ」と呼ばれる謎のレジスタンス組織のリーダーの農場は,中でも1番きれいでした。

さて,話の方ですが。。。
主人公はミュンヘン事件を起こした11人のアラブ人の暗殺を請け負い,その仕事の様子を淡々と進めていきます。仕事は表面的には成功裏に進んでいきますが,主人公はだんだんと心理的に追い詰められていきます。映画が長く,話の奇想天外さはありませんが,意外にも長くて辛いという気にはなりませんでした。それはおそらく,主人公達の誠実さが,そうさせるんでしょうかね。その途上で会う人々,敵方である人達との一瞬の触れ合いが,辛いんですよね。アヴナーと一瞬同じ部屋に同居したPLOのテロリストが,彼に(エルサレムは)何もないのにどこがいいと訊かれて,何もないがそれが全てだという意味の事を言っていました。これはご存知の方も多いと思いますが,キングダム・オブ・ヘブンでサラディンが言ったのと全く同じ。そんなに長い時間を隔てても,この問題は根本的に何も変わっていないという事です。

そして彼らが仕事を進めるその裏では,1970年代に世間を騒がせたアラブ人ゲリラの事件が報じられて行きます。実は,彼らの起こした事件は,アヴナー達がミュンヘン事件の犯人達を暗殺した事による報復だったとしています。(この辺りがイスラエル人を怒らせた原因でしょうか)スピルバーグは,この時イスラエルがした事を,決して正しいとは言いません。そこはさすがだと思いました。

結局アヴナーは,最後にテロリストのリーダーは残したものの,大方仕事は成功し,家族とブルックリンに住む事になったようです。ラストで,公園で彼に次の仕事を依頼しようとするイスラエルの高官との話が物別れに終わり,高官が立ち去る時,私はこの映画最大の恐怖を見ました。カメラが引いてバックに現れたNYの高層ビル群の中に,何とあの世界貿易センタービルが2本,くっきりと見えていたのです。これはもう明らかに,CGを駆使して,わざとそうしたに違いありません。やがてそこへ話が繋がるという事ですか。。。いや~,この映画を観た甲斐があったと思いました。(汗)

本が来るぞ~(笑)

2006-02-24 08:58:14 | 読書
Amazonのアカウントサービスをチェックしたら,

左から,Gulliver's Travels,Pride and Prejudice,Oliver Twist
3冊揃ってまもなく発送。またまた読むのが遅れてしまいそうですが,これらはクラシックなので,ま~,読むのは後でもいいか~。

とにかく,まだ1年越し?いやそれ以上なんですが,The Da Vinci Code

も読んでないし,もちろん,The Sherlock Holmes Mysteries: 22 Stories

も読まなくてはなりません。いやその前に

これ読まなきゃ。「宮崎吾朗監督のゲド戦記」の原作にあたる,The Farthest Shore


という事で,厳しい読書計画は続く‥‥(笑)


FOTR CD: 1-8: Fog On the Barrow Downs

2006-02-24 00:12:57 | Tolkien・LOTR
前の章にも増して,またまたまとめにくい章ですねぇ。(笑)
そして,映画にも出てこないし,HoMEでもあまり解説されないし,この部分は翻訳版も読んだ事がないので,とっても想像しにくい所です。

話のあらすじは。。
ホビット達はトム・ボンバディルの家を出発。フロドは,今度はゴールドベリにうまく挨拶できませんね。秋の風景描写が美しいです。そして,彼らはしばらくポニーで歩いて,大きな石の所で一休み。ところが,ちょっとお休みが長過ぎ。

すっかり遅くなって寒くなってしまいました。霧も出てきて,フロドは仲間達を見失います。しばらくは声がするのですが,やがて「助けて~」とか,どこか遠くから悲鳴が‥。もう1回仲間を呼ぶフロドに返ってきたのは「変な声」。うそー!と思ったフロドも罠?に落ちてしまいます。

彼は部屋の中に捕らえられてしまいます。そこには3人の仲間達が白い服,サークレットと指輪を付けられ,横たわってます。そして短剣が。フロドは思わず,自分の冒険は恐ろしい終末を迎えてしまったと思いますが,ふと,トム・ボンバディルの歌を口ずさむと急に力が沸いてきて,思い切って歌い始めると,‥‥何と,トム本人が助けにやってきました。

何かこの,「歌えば助けてくれる」というような話の展開,助けられたメリー等の喜びよう,まるでトム・ボンバディルが希望の象徴かのような感じで,何か,Tolkienishじゃないなあ,それにどこかで見た事があるなあと思ったら。。。そうだ,こういう話の運び方,なんか,C.S.ルイスっぽいですね。ここのトム・ボンバディルって,何だか,LWWでのFather Christmasみたいです~。プレゼント(短剣)もくれるし。

トムはポニーを連れてきて,そして服も彼らに返します。彼らを捕らえたのは,塚人という恐ろしい人物?(人物なんでしょうか?)昔その辺りにあった王国に関する住人のようですが。(一説によればアングマールの関係者でナズグルにも関連があるとか)トムには王国に関する悲しい話を知っているようですが,それについては語りません。しかし,幾らかの生き残りが,この辺りを敵から守っているそうです。(ホビット達はわかってないようですが,アラゴルンとレンジャーですね)

彼らがもらった短剣には,今日初めて気が付いたのですが,蛇と赤い石が付いているのですね。アラゴルンのバラヒアの指輪は緑の石と蛇,ですから,何か関連商品でしょうか?

後は5人で楽しく話をしながら,ブリー側の出口へ。トムは踊る子馬亭を紹介します。ホビット達は彼と一緒に一杯やりたいようですが,彼はゴールドベリが待っているからと帰っていきます。

ここでまた気が付いたのですが,トムとゴールドベリって,ホビットと身長差がないのでしょうか? 私の記憶が確かなら,どこかでトムは小さいと書いてあったような気もしますし。ゴールドベリが,他の高貴な女性キャラよりぐっと庶民的に見えるのも,その関係なのかもしれないなあ,と思ったのでした。

最後にフロドは作戦(自分はUnderhillだよ)を皆に話します。彼らはこの時噂のレンジャー,馳夫さんが立ち聞きしているとは知る由もありません。(笑)

HoME8 1-I The Destruction of Isengard (1)

2006-02-23 23:18:29 | Tolkien・HoME
まだ7巻の感想も書いていませんが,とりあえず,8巻始めちゃいます。

The King of the Golden Hallから,The Plantirまでにかけての下書きのプロセスは,非常に複雑なのだそうです。とりわけアイゼンガルドの崩壊の話は,なかなかうまく馴染んでこないのだそう。

しかしどうやらその原因は「物事が起きた時間順(=Chronology)」とか。

いやそもそも,追補編とかいろいろな本にも「日単位」(笑)での説明がありますが,確かに,TTTのこの辺り以降~指輪棄却に至るまで,物事の起きた順番は,本当に日単位の微妙さで進んでいるんですよね。

‥という事で,下書き当時のタイムテーブルです。

ピピンとメリーが木の鬚に出会い,水湧き出ずる広間に行ったその同じ日,アラゴルンとレゴラスとギムリはエオメルに出会いました。この日を「Day 1」とします。(当時は1月29日,日曜日とか)

そして「Day 2」,1月30日。この日,「エントの寄合」がありました。その日,アラゴルンの一行は「帰ってきたガンダルフ」(笑)に出会い,Eodorasまでの長い道のりを旅します。そしてその夕刻レゴラスは,ローハン谷の彼方に,煙の上がるのを見ます。あれは何?と訊かれ,ガンダルフは「戦争じゃ」と答えます。彼らは一晩旅をして,

「Day 3」早朝,Eodorasに到着。彼らが黄金館で,セオデン,蛇の舌といろいろ話をしている間,エントの寄合は続いています。この日の午後,セオデンはガンダルフや彼の部下のロヒアリムを伴って西へ向かい,アイゼン川に到着。そしてその頃,エントの寄合が終了。(正式版はもう1日) 彼らはアイゼンガルドに向かい,夜遅く到着。

(ひぇ~忙しいですねぇ。21世紀の今ならともかく,トールキンさんがこれを書いていた20世紀半ばには,こんな忙しい事はなかったと思いますが‥(笑))

ところがここで,時間に大問題が発生。何故ならこれだけのイベントを詰め込まなくてはならないからです。

  1. エントのアイゼンガルド攻撃+アイゼン川の水を溢れさす
  2. アイゼンガルドを大軍が出発
  3. ローハンの騎士達はアイゼン川から退却
  4. ロヒアリム達はアイゼンガルドの方向に闇を見る
  5. ガンダルフは飛蔭で出発
  6. セオデンはアラゴルン,レゴラス,ギムリと一緒に山に避難して戦う(いわゆるヘルム峡谷の戦いですね)
  7. 動く木の話
  8. ガンダルフの帰還
  9. その後皆でアイゼンガルドに行って,メリーとピピンを見つける

そう言えば,ガンダルフがセオデン達を置いて出て行く時「5日目の朝」って言っていましたね。そこに至るまでの間に,時間軸はいろいろ修正されるのですね。

Run!Run!Run!