騎士は槍を下ろして,王とリオンズ家の令嬢に挨拶。そしてスタート位置へ。
禿頭のお触れ役が,トーナメントの開催を大声で告げます。
「トーナメントの名誉と騎士道を汚す者は,武器を取り上げ,盾を逆さまにして泥をつけ,会場から退場を命じる!」
クランストン「彼はマイケル・リオンズ卿だ。偉大な美女の父君だ。娘を2人の偉大な騎士の"the object of desire"にして楽しんでいるんだ」と説明。
若き王が合図の手を上げると,競技開始。げっぷをするクランストンに恥ずかしがる夫人(笑)いよいよ,2人の騎士は中央に登場。
そしてお互いに交差して駆け抜けます。すると従者達が新しい槍を取り出し,軍馬達はすっかり興奮しきり。ベネディクタにしっかり腕を掴まれて,アセルスタンは超有頂天。
2人の騎士を乗せた蹄が不吉な戦の音を醸します。
その時アセルスタンは人々が叫ぶのを聞きます。ウッドヴィルが酔っぱらいのようにふらふらしていて,槍が落ちそうになっています。しかしル・マルシェはすぐに迫ってきました。ウッドヴィルは防御しようとしたが間に合わず,ル・マルシェの槍に飛ばされ,まるでパチンコに当たった鳥のように地面に落ちてしまいます。彼の鎧が血と泥にまみれていました。彼の兜についていた羽根飾りが雪のように舞っていました。
ル・マルシェが戻ってきました。皆は慌てて駆け寄ります。リオンズ卿が「死んでる!ウッドヴィル卿が死んでる!」と観衆からヤジ。リオンズ卿がル・マルシェに「あなたの槍は尖ってます!」と言うとますますヤジが大きくなります。
ジョン・オブ・ゴーントの合図で兵が入場し,ロバート・ウッドヴィルの遺体は荷台に乗せられ,トーナメントはお開きに。観衆はちょっと落ち着き,お楽しみを求めて三々五々出店に移動。
アセルスタンがロイヤルシートの辺りを見ると,若き王はまるで彫刻のようにぼ~っとしています。ル・マルシェは無実を訴えているようですが,兵に囲まれ武器を下ろします。トーナメントの女王はとてもみじめそうにしています。それを見てCranton「おかわいそうに!」ベネディクタはアセルスタンに近づきます。まるでウッドヴィルの死が彼女の記憶を呼び覚ましたかのように怯えています。
そこへ遣いの少年がクランストンを探しに来ました。「ここだよ」というアセルスタンをまつげで払う(笑)と,クランストンに「ランカスター卿がお呼びです。」クランストンはモードにベネディクタの面倒を見るよう言い,アセルスタンを伴ってロイヤルシートへ。
ジョン・オブ・ゴーントに,クランストンがお目通り。彼はクランストンに何かを耳元で囁きながら,アセルスタンが控えているのを確認。戻ってきたクランストンは「ウッドヴィル卿は,ゴーントの大事な家臣。事実を知りたいのだそうだ。これは殺人と見ているそうだ。私もだ」
自分の行く所に殺人が来るのかと思わず自嘲的になるアセルスタン。席の近くを通ると,ベネディクタが先ほど色目を使っていた若い男と話し込んでいます。クランストンはアセルスタンを引っ張ってウッドヴィルのテントへ。
家来達の中心にユースタス・ハワードという従者がいました。ユースタスは丸顔に赤毛,恐ろしい緑色の目にいかにも怒りっぽそうな口元。
クランストンが質問を始めると,そこへリオンズ卿が入ってきました。赤ら顔に獅子のような髪,青い目と長い口ひげが彼の容貌をさらに迫力のあるものにしています。しかし,リオンズ卿は,ユースタスとアセルスタンを軽蔑の眼差しで追い払います。クランストンには「何故君がここにいるかはわかるがな,わしはトーナメントのまとめ役だ。そしてウッドヴィル卿は殺された」
クランストン「誰に」リオンズ卿「何言うとるか,ル・マルシェ卿に決まってる。丸めなくてはならないのに,彼の槍は尖っていた。キャップがすり替えられていた。他にも見つかった。ウッドヴィル卿はあそこで死ななくても,後で殺されたのだ!」
クランストン「それだけでLe Macheが犯人だと?」
リオンズ卿,クランストンを睨む。怒りで青い目は赤い顔から飛び出しそうだし,髭は皆立ってます(笑)
クランストン「確かに,ル・マルシェは丸めた槍を使うべきだった。その点は認める。しかし,それで彼が殺人犯とは決められない」
ユースタス・ハワードが羊のような声を出します。
しかしリオンズ卿は「あのね,ジョン君」クランストン「あのねマイケルさん」とさえぎり(笑)
「我々は経験豊かな戦士だよ。最初に見えた敵を討つのはやめよう。
ベゲティウスの戦争マニュアル(ローマ版「孫子」ですね!)によれば,まずは根気だ。最初に,地位の高いル・マルシェが何故ウッドヴィルを殺す必要がある? 第2に,もしそうだとしても気違い沙汰だ。尖った槍を使えば簡単に見つかるし,責められる事はわかるだろう」クランストンはさらに「もう1つ,解せない事がある。ル・マルシェとウッドヴィルは対等に戦っていたのかね?」お触れ役「そうだ」クランストン「それなら,彼は何故彼は勝てるとわかる?リチャード獅子心王は壊れたクロスボーを持った男に殺された。しかもフライパンでしか自分を守れなかった。(え,本当?)マイケル君,君も古い軍馬(笑)だろう。戦では何が起こるかわからないんだよ。」
するとリオンズ卿はちょっとにやりとして「ジョン,いつもの事だが君は正しい。しかし,今朝,私はなんて幸運なんだろうと思っていた。娘は2人の男に愛されていた。しかし,2人ともいなくなった。ロバートは死に,オリバーは不名誉に傷付いている。2人のうちのどちらかは100ポンドの賞金と,我が娘との婚姻が許されるはずだったのだ。」
クランストンは額の多さに感心するがリオンズ卿「皆なしになった」そしてユースタスを睨みつけます。ユースタス思わず「私を責めないで下さい!」クランストン「誰が彼を?!」「誰かが値を払わねばならぬ」とマイケル卿。
その時初めてアセルスタンの存在に気付いたマイケル卿「全てトーナメントのルール通りである事を確認した。馬や武器」アセルスタン「そして槍ですか?」「そうだ。2人とも槍を草の上に置いていた。」しかし首を振り「オリバーは槍が尖っていた事に気付くべきだったな」
クランストンはオリバーに会おうと言ってアセルスタンを連れ出す。「気取ったアホめ!奴のせいでゴーントから命令があったのだ。良い戦士なのだが,強欲な奴だ。才能もないくせに,野心だけは持っている。でも,我々は誰もが悪い点を持っているよな,ね,ブラザー」