シスター・アガサがレディ・エリノアが発見された場所を見せてくれました。修道院長に呼ばれて彼女が駆けつけた時,アガサの印象では,倒れているかのよう,だったそう。
コーベットは,今度は同じ建物内のシスター・エリザベスを訪ねます。
シスター・エリザベスは,いろいろな服を所有しているようで,まだ俗世が忘れられないんだなあと思うコーベット。……ドハティの小説の中に出てくる聖職者って,しばしばこういう人が見受けられますねぇ。‥部屋には豪華な天蓋ベッドも置いてあって,びっくりのコーベット。いや実はいきなり入ってきた男性にもっとびっくりしたのは,当のシスター・エリザベス。しかしここでコーベットが,Queenのようですねとお世辞を言うとすっかりご機嫌。何故かいろいろ意気投合して,健康談義に。それにしても当時の健康法はびっくり(^^;) 馬の血とイタチの毛を混ぜるとリューマチに効くんだって?
シスター・エリザベスによれば,建物は古く,きしむ音やうめき声は聞こえるとの事。
コーベット,次にシスター・マーサの話題に。。
シスター・エリザベスによれば,シスター・マーサは農家の出で,教育もちゃんと受けてなかったので,シスター・エリザベスがよく教えてあげたのだそう。
シスター・マーサは,レディ・エリノアの死について,何か修道院長にお話したかった様子だったので,シスター・エリザベスがその前に沐浴を勧めたそうです。彼女は,何やらラテン語でSinistra non dextra (The lest not the right)としきりにつぶやいていたそうです。
マーサの発見者はシスター・エリザベス自身で,慌てて浴場から出る時に,水のこぼれた跡があり,少し滑ったのだそう。(ふむ,これは後々何か重要な状況証拠になりそだね)
シスターがそろそろ不機嫌になってきたので,コーベットは話題を鹿とイタチに戻しました。
ゲストハウスでは,既にラナルフが荷物を解いていました。コーベット「どう思う?」ラナルフ「皆,嘘ついてますね。修道院長なんか尊大に見えますが,きっと何かを恐れてますよ。シスター・フランシスとシスター・キャサリンはお互いに仲悪いですね。ほとんど目を交わしませんでしたよ。」コーベット「レディ・エリノアは階段から落ちたんじゃないね。どこか別の場所で殺されて,事故に見せかけたんだろう。それにお年寄りのシスター(マーサ)も,(事故じゃなく)殺人だね。きっと何か知っていたんだ。」
翌朝,コーベットは,朝の一般の人々も一緒のお祈りを観察。コーベットの両親は,かつてこの一般の人々と同じく貧しくて,教会の末席で牧師さんの話を聞いていたとか。。
祈祷はレイナード牧師。彼はフランシスコ派の修道僧,だそうですが,女子修道院でも男性の坊さんが祈祷するのね。それにこの修道院,コーベット一行を入れてくれた位だし,ぜんぜん男子禁制じゃなさそう。(^^;) ‥と,みょーな所が気になるのでした。
Queen Mab‥おお
懐かしい,アチラの国,もしくはこの宗教では,誰でも知ってる話なのでしょうかね?
レイナード牧師は贅沢や姦通は悪であるような事を絶好調(笑)でお説教。修道院長はご機嫌斜めですが,一般人達,ラナルフ,シスター・アガサ等は,彼に同意してる感じ。
コーベットはかつての同僚で彼のメンター、クービルの言葉を思い出してます。今もウェストミンスターの記録庫で働いているとか(コーベットの年がよくわからん(爆)けど、よかった,お元気で)
What does it profit a man, Hugh, if a clerk pleases his King but loses his soul?
ひょっとして清貧を説くレイナード牧師が犯人だったりして?等と考えるコーベット,ラナルフに,あの牧師どう思う?と聞くと,ラナルフ,彼の事は知らないが,姿勢の良い歩き方から軍隊経験がありそうな事,指を詰めた跡がある事,また手の様子から相当な剣の使い手であろうという事を見抜いてます。(要は相当ヤクザな坊さんって事ね(笑))
ところで,皆はレディ・エリノアは胸の病を患っていたと噂していますが,コーベットは前日彼女を少し検分して,そんな形跡はなかったなあと思ってます。コーベットが,彼女はどうやって亡くなったんだろうと考えている辺り,こんな文章がありました。
Lady Eleanoe would have chosen some swifter road to oblivion.
oblivionって,通常,忘却という意味なので,これって何かしゃれた言い方だね~と思って,念のために辞書を見てみたら,英和にはやっぱそういう意味の事しか書いてなかったのですが,英英辞書に「a state in which sth has been completely destroyed」とありました。う~ん,やっぱ辞書は見るものね。(笑) でも,いずれにしても,単にroad to dieなんて書くよりは,ずっとおしゃれですね。
コーベットは,誰が彼女を殺したんだろう? 王か? 王子か? 性格悪いガベストンか? はたまた王子の将来の舅美男フランス王か? ライバルドゥ・クラオンの放った刺客か‥? なんて考えていると,突然,修道院長がやってきました。コーベット,この修道院長,高慢さを差し引いたら結構素敵な女性だったという事に気付きました。(^^;)
アメリア修道院長は,Reynard牧師の講話をどう思いますか?と訪ねます。まあいいんじゃないのと適当に答えるコーベットに対し,この修道院は世の中の男から逃れる為に逃げてきたやんごとなき女性(レディ・エリノア含む)も多いので,あの説教は困るんですよと。なるほどね,一理あるわね。それにしても,エリノアと王子の関係は3年続いたそうです! え,王子当時17才位よっ(^o^;) てことは,エリノアも同じ位せいぜい19才位よね。。。それはかわいそうでしたね(汗)
ところで,修道院長の話により,レディ・エリノアは夕刻のお祈りと夕食の後すぐに彼女が見つけたのではなく(最初彼女はそう話していた),夕食の後部屋でエリノアが倒れているのを発見,彼女が亡くなってると言ったのはシスター・フランシスだった,のだそう。で,彼女を階段の下に運んだそうです。
えええ~~?!全然話違うじゃ~~ん!!!あらららら。
‥その後,王子はお遣いを送って,彼女の宝石を全部引き取ったそうです。王子との関係のシンボルだったサファイアの指輪も取られたのがとりわけ寂しかったと。。
と,ここで私,かつてダイアナ妃がまるでシンボルのようにしていた大きなサファイアの指輪を思い出しました。アレ,まさか同一品ではないでしょうかね? プリンセス・オブ・ウェールズでしたよね。
この2年間何か周囲で変わった事はと聞くと,18ヶ月前に若い男女が殺され裸で放置され,身元も何もわかってない事,フランスから王の遣いが来たが,英国王の命令で中に入れなかった事(この2つを同一視するのは厳しくないかい?(^^;))があったそうです。
追記:ダイアナ妃のあの指輪は、ロンドンの宝飾店がチャールズ皇太子との結婚の為に作った婚約指輪だったそうで、全く別物でございました。ただ、英国王室には、昔からブルーサファイアをプレゼントとして贈る習慣があったそうですよ。