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趣味いろいろ。2014/9に別ブログを合体したので、渾然一体となってしまいました(笑)

HoME7 V : Bilbo's Song at Rivendell (2)

2005-10-14 23:32:55 | Tolkien・HoME
フロドがビルボと再会した辺りで,この版と正式版との大きな違いは,ビルボがフロドが首から下げている指輪を見て"greedy"な表情をするという場面がまだ入ってないという事。このシーン,映画では,会議の後に移動して,恐ろしく誇張されて表現されておりましたので,覚えている方も多いと思いますが。あとは,ビルボは裂け谷に来る途中で,踊る子馬亭にちょっと立ち寄っていた,というのが入っている事ですね。

さていよいよ問題の,ビルボの詩です。これは,"Errantry"と名付けられています。

トールキンさんによると,
長いと言われるかもしれないが,この詩は三音節(trisyllabic)の近似韻(near-rhymes)による韻文形式(metrical scheme)で,短縮するのは非常に難しい。これはもちろん言葉の妙技(verbal acrobatics),韻文祭り(metrical high-jinks)であり,速度に激しく変化を付けて(with great variations of speed)朗読する為に作られたものである。詩の各区切り(1行空けた所)は速度の区切りで,この区切りの最初は速く,そして次第に速度を落として行く。ただし,最後の区切りだけは例外で,最初ゆっくり,次第に速度を上げる。そこで朗読者は,もちろん,もう1度最初から繰り返す。誰かが「もうたくさんだ」と言わない限り続ける。
だそうです。これは元々,彼やC.S.ルイスが大学の学生達と始めたサークル活動(やがてインクリングスになる)で,こういう遊びをやっていたようです。(そのうち彼とC.S.ルイスと2人だけ残ったとか‥(笑))それにしてもこんな変?な事を大真面目にやるなんて,ホント面白い人達です。

‥と,いう事で,またまた意外な収穫がありました。ビルボの長~い詩の遊び方がわかりましたので,さっそく,各自試してみましょう。(笑)

There was a merry passenger
a messenger, a mariner;
........♪♪♪(汗;)

話の内容はと言うと,正式版ではエルロンドの両親エアレンディルとエルウィングの話ですが,下書き版は何故か,陽気なおじゃま虫?(merry passenger→passengerには足出まといという意味が‥)が,バッタに乗って旅に出て,いろいろな怖い虫(トンボとか蜂とか蜘蛛とか)と戦って,ハチミツを持って帰るという話です。

ところで,その詩をずーっと読んでいたら,驚くべき一節が出て参りました。
He battled with the Dumbledores
the Bumbles and the Honeybees
and won the Golen Honeycomb;
and running on sunny seas
in ship of leaves and gossamer
with blossom for a canopy,
he polished up, and furbished up,
and burnished up his panoply.

えええ~!あの校長先生の名前がこんな所に登場? もともとマルハナバチというハチの種類から来たという噂はきいてましたが,こんなにモロに同じ名前の物があったとは‥。

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2 コメント

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Errantry (ぐら)
2005-10-16 17:35:28
こんにちは! いつも楽しませていただいてますが、またまた面白いお話を教えていただきました!

このErrantryという詩、「トム・ボンパディルの冒険」に収録されていますが、もともとは裂け谷でビルボが読んだ詩だったんですね~! びっくりです。

「トム・ボンパディルの冒険」にはトールキン自身による、「指輪」本編の序文と似たような雰囲気の序文があって、自分が書いた詩を赤表紙本に書き留められていたものだ、なんて真面目に解説していて面白いです。

それによると、この詩はビルボ作で、裂け谷で読んだエアレンディルの詩は、この形式に無理やりエアレンディル伝説を組み合わせて作ったもの、となってます。

でも、「或る伝記」によると、「Earendil is a mariner」で始まる詩の原型はかなり早い時期から作られていたようですから、一旦はエアレンディルの詩をもとにErrantryの詩を作って、やっぱりエアレンディルの詩に戻した、ということなんでしょうか。うーん、面白いですね。

「聴衆が音を上げるまで朗誦し続ける」この形式はホビットが愛してやまない形式だったとも書いてありますが、もともとインクリングスで読んでいたんですね(笑)

この詩、ドナルド・スワン作曲の「The Road Goes Ever on」で曲がつけられてるんですが、内容にあわせて曲調が変わっていたりもして、メロディがつくと一気に親しみ易い印象になりました。

ちなみにダンブルドアは邦訳では「こふきこがね」となってました(笑)
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読めば読むほど面白いHoME (える)
2005-10-16 23:50:56
ぐらさんこんばんは!

いえいえ,こちらこそ,面白い情報ありがとうございます!

実は私も原書で「Tales from the Perilous Realm」を持っているのですが,まだあまり真剣に読んでませんでした。見てみたら,ホントだ,Errantryありますね! HoMEのこの下書き版からは,また微妙に進化していますので,清書してこちらの本に行ったのでしょうかね。で,前書きにも,確かに,ビルボが裂け谷で作った物と書いてあります。でもHoMEを読まなければ「???」ですね。(笑)



実はとっくにお見通しとは思いますが,私は正式版FOTRのこのビルボの詩が,英語で読んだ事もあってニガテで,その上何故クリストファーさんがこの詩をそんなに重視して(HoMEのこの章長いです(笑))いるのかな~,やだな~と思っていたのですが(笑),読んでみたら,やっぱしわざわざ力を入れているだけあって,面白い話だったんですね。



ハリポタにはハニーデュークスなど,ハチに関係あるような名前が出てくるのは,"Dumbledore"の出所のせいでもあるんですね。(爆)
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