ふむ道,小道,数多く

趣味いろいろ。2014/9に別ブログを合体したので、渾然一体となってしまいました(笑)

HoME7 XXIV : The White Rider (1)

2006-02-01 22:19:29 | Tolkien・HoME
この辺りの下書きでは,トールキンさんはある下書きでは○○と言った事を他の下書きでは△△と書き換えていたりするそうです。そしてクリストファーさん曰く,不思議な事に,トールキンさんは,ファンゴルンの端でギムリが見たという変なお爺さんを,ガンダルフと思っているような節があるかと思えば,他の下書きでは全てサルマンを指していたりするそうです。

さて,ガンダルフとの再会は,ほとんどのエッセンスが最初の下書きにだいたい入っているそうですが,最初に「変なおじいさん」が森の中を歩いてくるのを感知した時のギムリの反応は,more murderousだそうです。(笑)「撃ってしまえ! レゴラス! 弓を引け! 撃て! サルマンだ! もしくはもっと悪い奴だ! 喋らせるな,魔法を使わせるな!」 正式版では『弓を用意しろ』に抑えられたそうですが,こっちの方がギムリらしくて好きだなあ。(笑) そしてその過激なセリフに続き,「何を待ってるんだ? お前に何か関係あるのか?」 ちなみに古い下書きでは,魔法使いは「古い帽子」もしくは「ぼろぼろの帽子」を被っていたそうです。

そしてその最初の下書きでの,ガンダルフと彼らの再会の会話の始まりは,こんな感じです。

<本文>
「‥潮の変わり目にな。大きな嵐が来る,しかしこうしている間も潮の流れは変わっている。わしは火の中を通り,酷く燃やされた,良く燃やされたと言うべきかの。しかし,あんた達の事を話しておくれ。別れてからたくさんの物を見た。たくさんの事を忘れてしまった,そして学び直した。『ある物が遠くに見え,近くに見えるが,全ては見えぬ。→この部分は次のように書き換え。』遠くにたくさんの物が見えるが,近くにあっても見えぬものもたくさんある。」

するとアラゴルンは「最初に何を知りたいですか? いろいろあったんですよ。メリーとピピンを見ましたか?」
「いや,わしは危険な出来事で忙しかったからの。鷲が話してくれるまで,彼らが捕まったとは知らなかった。」
するとレゴラスが「鷲ですか! 3日前にサルン・ゲビアの上空にいたのを見ましたよ!」
「そうじゃ,それはGaerwerという風の主じゃ。わしをオルサンクから救ってくれた奴じゃ。わしが彼に頼んでニュースを集めてもらったのじゃ。しかしそれ以外にも自力で見えた物もある。指輪はわしや旅の仲間の助けの届かぬ所に行ってしまったのう。もう少しで敵に知られる所じゃった。わしはMethedrasの下の山に座り,(指輪の事がバレないよう)暗黒の塔の力と戦った。そして影は去った。しかし,わしは疲れた。」
</本文>

これは,ガンダルフが,フロドが指輪をはめてトル・ブランディアのアモン・ヘンにいた時の話なのですが,このアイディアは後に削除されます。どうもこの頃の下書きでは,ガンダルフにバルログとの戦いで何が起きたかは明らかにされてなくて,Gaerwer(グワイヒア)は,ガンダルフがMethedrasの下辺りを歩いていた所を見つけたような感じになっていて,モリアから素っ裸のガンダルフを拾って(笑)ロスロリアンに連れて行くという正式版での話には,まだなってないようです。

下はガンダルフが話そうとしていた内容,その他,の下書きメモだそう。

<メモ>
鷲はオークとホビットを見る。サルマンが森で動いている。オークの戦い,木の鬚。彼らは安全だが,何かが進行中。木々の反乱? しかし我々は南へ行かねば。戦争が始まろうとしている。メリーとピピンは希望と忍耐を持って待たなくてはならない。しかし彼らの友達を捜す努力は報われる。ガンダルフは喜ぶ。彼らは何が起きたのか尋ねるが,彼はまだ言わない。。
</メモ>

ガンダルフの意図,望み,恐れ等,初期の下書きから書かれていますが,少しずつ変化しています。最初の下書きでは,ガンダルフによると,サルマンはのこのこと捕虜を見にきたけれど,戦いは終った,遅い!と言い,さらに「かわいそうな奴じゃ。あんなに賢かったのに。彼は悪くなるには遅過ぎたのじゃ。暗黒の塔の玉座には座れんじゃろう。」

(彼はサルマンが悪に堕ちた事を『否定的』には語ってないのですね)

また,ギムリが「昨日我々が見たのはあなたなのか,サルマンなのか?」と尋ねると,「昨日じゃったらわしじゃない。しかし我々は似てるからの,あんたはわしの帽子に二度と治らんような凹みをつけるじゃろうの。」

HoME7 XXIII : Notes on Various Topics

2006-02-01 22:14:08 | Tolkien・HoME
この章はタイトル通り「いろいろなトピックについて」です。クリストファーさんが見つけた「不思議な」項目についてのお話です。

まず,「Wizards=Angels」というメモについて,です。
一瞬,えっ;と思いましたが,魔法使いすなわちイスタリの起源は,angeloi,つまり,西方の地の主人の「メッセンジャー」「使者」という事なのだそうで,これはUTに書かれているそうです。そうか,そのうち機会があったら読んでみようと思います‥。

またガンダルフの復活については,トールキン父さんの手紙,156番(1954/11/4)に以下のような話があるそうで‥

<手紙>
ガンダルフはどうやって逃れたのか? これはきちんと説明される事はないだろう。彼は火を通り抜け,白の魔法使いになった。「わしは多くを忘れてしまった,そして忘れた事を再度学んできた。」彼はこうして,指輪の幽鬼の,何か恐ろしいパワーを学んだ―彼の体からは邪悪な力が飛び出すのだ。

彼はサルマンと力の勝負をしなくてはならない。バルログが実はサルマンという事はあり得るか? それとも,サルマンはあくまでも物柔らかであるべきか。。。
</手紙>

‥ガンダルフとバルログの戦いには,そういう意味も込められていたんですね。

次のメモは,季節と話の関係についてです。
<メモ>
冬にかける時間が長過ぎる。彼らは裂け谷に長く留まらせなくては。こうする事により,エルロンドの斥候達が黒の乗り手を捜して彼らが居城に帰ってしまった事を確認する時間ができる。
</メモ>

旅の一行は,結局裂け谷に2ヶ月位留まり,出発したのは12月末の事ですが,何故こんなにダラダラしているんだろう(笑)と不思議に思っていました。要は,話の終わり頃には春が来るという設定にしたかったんですね。

最後に,それぞれの種族の言語について。

シャイア:現代英語(共通語)
谷間の国:北方語(ドワーフが使っている言語)
ローハン:古英語

FOTR CD : 1-6: The Old Forest

2006-02-01 00:31:07 | Tolkien・LOTR
前々から思っていたのですが,ひょっとしてトールキンさんは,ハイキング,登山の知識を持っているような気がしますね。森や山,モルドールのような硫黄の山(イギリスにはそういう山はなさそうなのに)まで,とてもよく描写されてますね。‥て言うか,21世紀の便利な世の中で暮らす私達の方が,馬や徒歩での旅を忘れてしまったと言うべきなんでしょうか?

‥で,朝霧の中,4時起きして6時に出発するホビット達です。(ハイキングのタイムテーブルだ(笑)) 朝寝坊したのはフロドと,一緒に行かないフレデガーだけで,ピピンまですすんで早起きしたという所が笑えます。よっぽど,行きたかったのでしょうね。フレデガーはゲートまでお見送り。HoMEの下書きでは,ガンダルフ(笑)や黒の乗り手にさらわれ,裂け谷まで行ってしまう彼ですが,正式版では結局それ以上は行かなかったんですね。

鍵の音が「不吉(ominous)」に響いたとありますが,思えば,このシャイアのゲートから出発した4人のホビットは,二度と同じ状態で戻って来なかったのですね。そう言えば,今気付いたのですが,ホビットの冒険にも,映画LOTRにも,シャイアのゲートの話は出てきませんが,原作LOTRでは,ゲートがホビットの世界と外の世界との境目という意味で,かなり印象的に使われてますね。

シャイアのホビットと古森の関係は,結構厳しいのですね。昔ホビット達が火を放ち,森は"unfriendly"になってしまった,とあります。またホビット達にとっては塚山丘陵はとても恐ろしい所とここで語られるのですが,何があったのでしょうね?

章の真ん中で,DISC4終了。あれれ? 終了の音楽が,お風呂の歌ではないです。シャイアを出発した瞬間に,テーマが変わってしまったという事ですか。

ちょっとした丘に上がった彼らは,方向を確認。北へ向かおうとしますが,目的の方向に全然行けません。(こういうのは鏡の国のアリスにありましたねぇ。。)そのうち,どうやらメリーが1番恐れていた枝垂川に入ってしまいました。柳の木の下はとても暑くて皆眠くなります。「そんなバヤイじゃないだろう」と慌てるフロド。でも彼も眠気と戦います。サムがポニー達の様子を見ていて,気付くとフロドは水の中。しかし,メリーとピピンにはもっと恐ろしい事が起きていました。何と彼らは柳の木に吸い込まれております。

サムとフロドは手斧を持ち出し,燻そうとしましたが,逆効果。大ピンチです。しかしそこへ。。

‥‥このトム・ボンバディルの歌は傑作ですねぇ。思わず口ずさんでしまいますね♪(笑)

妙にカラフルで明るい変なおじいさんが歌いながらやってきました。実写だったら一体どんなビジュアルになるのでしょうね? 見たかったな~。おじいさんの名前はトム・ボンバディル。う~ん,名前も何だかLOTRの他のキャラクタと比べるとちょっと異質ですね。トムはとっても明るく,柳じじいに挟まっていたメリーとピピンを救い出してしまいます。そして今晩家においでと言って,さっさと歩いていきます。一生懸命後を追う4人組‥。

Run!Run!Run!