ふむ道,小道,数多く

趣味いろいろ。2014/9に別ブログを合体したので、渾然一体となってしまいました(笑)

One Flew over the Cuckoo's Nest : Part 1

2006-02-19 11:57:47 | BookClub
この本は4つのパートに分かれていますが,本全体の半分を占めているパート1をようやく読み終わりました。

映画を先に観ると,McMurphyが主役です。本の中でもMcMurphyは主役扱いとなりますが,実は物語を語るのは,アメリカ先住民とのhalf-blood,Chief Bromdenさんです。混血とは言え,お父さんは誇り高い本物の酋長,非常に背が高く,高校時代はフットボール選手だったのに,どういうわけか現在は,口をきく勇気もなく,自分より遥かに非力な黒人3少年や看護婦の言いなりになっております。そして彼の周りにはいつも霧が立ちこめています。しかし,新入患者McMurphyがきたその日から,彼の心理状態は早くも微妙な変化を見せ始めますね。パート1の終盤では,彼は「霧」を感じなくなる事もしばしばになってきました。

McMurphyは,ペテン師で喧嘩好きな為,何度かム所にお世話になってます。彼はその結果として課せられた労働が嫌で,精神病院に逃げてきました。でも彼は,リーダーシップがあり,チャレンジャーです。(ここがミソだな(笑)) 健常者の社会では「ろくでなし」でも,病院では,他の患者をイジメたり傷付けたりする事はなく,早くもリーダーシップとチャレンジ精神を発揮しますね。しかも彼は,Miss Ratchedに対して,ただただ単純に楯突くのでなく,セクハラ発言や,タオル一丁でからかったり,社会経験の豊富さ(笑)を十分生かしてドクターを懐柔したりとか,いろいろ柔軟な方法で挑みます。しかし所詮口先だけでしょう,という感じの他の患者達に対し,ある日彼は,口先だけでなく,本当にやる気があるんだぞという事を見せ付けました。浴室(トイレかな?)のパネルを持ち上げるという事に無謀にチャレンジしますね。ここで周りの患者達の態度が変わってきます。

Miss Ratchedは,アメリカ人が選んだ歴代ハリウッド映画の悪役ランキングの中で「5位」に選ばれたそうですね。(ちなみにヒーローランキングの1位は,アラバマ物語のアティクス・フィンチとか)ただ,それは映画の中での事。実は原作にはパート1の中にも彼女の意地の悪さが詳細に説明されております。例えば何故彼女は黒人の少年3人を雇っているか? それは彼らが特に社会に虐げられ,憎しみを持っていて,その憎しみが患者にぶつけられると知っているからとか。原作も熟読した上での順位だったら,もっと上になるかもしれません。
Miss Ratchedタイプの女性悪役と言えば,私の場合,思い出すのは「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」に出てくる,「例のあの先生」(例のあのではありませんよ(笑))アンブリッジ教授ですね。Miss Ratchedが,若い看護婦に,新しい患者McMurphyの感想を訊かれて,彼女はMcMurphyを"manipulator"(操縦者)と言い,
"a manipulator's own ends are simply the actual disruption of the ward for the sake of disruption."
と言い捨てますが,いや~まじ,「例のあの先生」の「就任演説」の中で,ハーマイオニーが目を付けた
"progress for progress's sake must be discouraged."
は,Miss Ratchedのセリフを,わかりやすく言い換え,結論を付けたものでございます。J.K.Rowlingさんは,カッコー読んでますねって言うより,ハーマイオニー,読んでますね。(笑) そして,
"pruning wherever we find practices that ought to be prohibited."
これはまさに,Miss Rathcedの方針でもあります。

‥という事で,今後McMurphyがどのような作戦で挑むか,Chiefの症状はどれだけ回復に向かうか,また他の患者にも回復の兆しはあるのか,などを楽しみに,‥お~っと忘れた(笑),Miss Ratchedはどんな新しい作戦でMcMurphyに挑むか,‥などを楽しみに,パート2を読み進めたいと思います。


Run!Run!Run!