科学絵本ではありませんよ。
れっきとした「読み物 絵本」。
津田直美 作・絵
物語は、極めて恣意的とでも言いましょうか…
あるところに美しい「島」がありました。
本当に美しい島で、ここにはお日様が住んでいるぐらいでした。
ある時、島に一羽の「黒い鳥」が飛んできて「種」を落としました。
「種」からは「大きなキノコ」が生えました。
やがて、キノコが枯れた後、あとには大きな「穴」が開きました。
「お日様」はたいそう悲しんで
「もう2度と 種 を 落としてはいけないよ」
といいましたが、黒い鳥は再び飛んできて また「種」を落としました。
種からは再び「キノコ」が生え、そのあとには再び大きな「穴」が開きました。
お日様はたいそう悲しみ、永い眠りについてしまいました。
* * * * *
まだ、肝心の「ひまわり」は現れず。
でも、誰でもわかるよね。
「種」は原子爆弾。
「キノコ」は「原爆のきのこ雲」。
現実の「美しい島 日本」は、その後、すぐに目覚め、「暗い時代」に光が差してきたのですが、絵本の中の「美しい島」は、すっかり暗く、寒い島になってしまいました。
* * * * *
お日様は「永い眠り」に着く前に、動物たちに一粒の「ヒマワリの種」を残していかれました。
そして、こうおっしゃいました。
「これは、普通に育てたら、普通のひまわりが咲くでしょう。
でも、「正しく育てる」ことができたら、
きっと私ぐらい 大きく暖かな花になるでしょう。」
動物たちは、「ひまわりの種」を土に埋め、一生懸命に世話をしました。
でも、咲いたのは、「普通のひまわりの花」でした。
どんなに世話をしても、それ以上大きくなりませんでした。
動物たちは、一人 また一人と肩を落として帰っていきました。
最後に「おんどり」が一人残りました。
おんどりは生まれたばかりの、自分のひよこのことを考えました。
「ひよこ にも、お日様を見せてあげたい」と。
すると、「ひまわり」はぐぐぐっと大きくなりました。
おんどりは、リウマチに苦しむ母親のことを考えました。
すると、「ひまわり」はさらに ぐぐぐっと 大きくなりました。
おんどりは驚きましたが、なんだか「正しいひまわりの育て方」が分かってきたような気がしました。
そこで、いろいろな人の、いろいろなことを考えました。
そのたびに「ひまわり」はどんどん大きくなり、やがて自分の重みに耐えかねたように花が下を向き、輝き始めました。
「ひまわり」は新しいお日様となり、おんどりは誇らしげに声高く鳴きました。
* * * * *
この絵本は、お友達からのプレゼントとしていただいたものです。
日本で大学を卒業してから、仕事をしていた4年間、あるカウンセリング協会の主催する講座に通っていました。
週2回、夕方の6時から夜の9時まで開催される講座。
コーディネイトしていたのは、ある医科大学の心理学の先生で、かなり専門的なカウンセリング実習などもある講座でした。
受講していたのは、医療の仕事に携わっている人、教育関係の人、家庭の主婦、会社の人事関係の方など、実にさまざま。
仕事が終わった後通うのはなかなか大変でしたが、私にとっては それだけの価値がある講座でした。
この絵本を下さったのは、よく同じグループで実習をしていた私より少し年上の看護師の仕事をしていた女性。
ブラジルに来る直前の講座のある日、授業の前にグループの人たちが簡単な送別のお茶会を開いてくださって、そこでいただきました。
ほかの方たちからもいろいろいただいたのですが、なぜか今でもはっきりと覚えているのは、この絵本をいただいたその場面。
この絵本がいつでも、私に「彼女のことを思っていて」と語りかけているのかもしれません。
4年間、いえ、正味3年半ほどでしたが、職場を離れて様々な人たちと学び合い、話し合い、時には考えを戦わせた貴重な時間でした。
この絵本を見るたびに、あの講座で学んだ日のことを思い出します。
れっきとした「読み物 絵本」。
津田直美 作・絵
物語は、極めて恣意的とでも言いましょうか…
あるところに美しい「島」がありました。
本当に美しい島で、ここにはお日様が住んでいるぐらいでした。
ある時、島に一羽の「黒い鳥」が飛んできて「種」を落としました。
「種」からは「大きなキノコ」が生えました。
やがて、キノコが枯れた後、あとには大きな「穴」が開きました。
「お日様」はたいそう悲しんで
「もう2度と 種 を 落としてはいけないよ」
といいましたが、黒い鳥は再び飛んできて また「種」を落としました。
種からは再び「キノコ」が生え、そのあとには再び大きな「穴」が開きました。
お日様はたいそう悲しみ、永い眠りについてしまいました。
* * * * *
まだ、肝心の「ひまわり」は現れず。
でも、誰でもわかるよね。
「種」は原子爆弾。
「キノコ」は「原爆のきのこ雲」。
現実の「美しい島 日本」は、その後、すぐに目覚め、「暗い時代」に光が差してきたのですが、絵本の中の「美しい島」は、すっかり暗く、寒い島になってしまいました。
* * * * *
お日様は「永い眠り」に着く前に、動物たちに一粒の「ヒマワリの種」を残していかれました。
そして、こうおっしゃいました。
「これは、普通に育てたら、普通のひまわりが咲くでしょう。
でも、「正しく育てる」ことができたら、
きっと私ぐらい 大きく暖かな花になるでしょう。」
動物たちは、「ひまわりの種」を土に埋め、一生懸命に世話をしました。
でも、咲いたのは、「普通のひまわりの花」でした。
どんなに世話をしても、それ以上大きくなりませんでした。
動物たちは、一人 また一人と肩を落として帰っていきました。
最後に「おんどり」が一人残りました。
おんどりは生まれたばかりの、自分のひよこのことを考えました。
「ひよこ にも、お日様を見せてあげたい」と。
すると、「ひまわり」はぐぐぐっと大きくなりました。
おんどりは、リウマチに苦しむ母親のことを考えました。
すると、「ひまわり」はさらに ぐぐぐっと 大きくなりました。
おんどりは驚きましたが、なんだか「正しいひまわりの育て方」が分かってきたような気がしました。
そこで、いろいろな人の、いろいろなことを考えました。
そのたびに「ひまわり」はどんどん大きくなり、やがて自分の重みに耐えかねたように花が下を向き、輝き始めました。
「ひまわり」は新しいお日様となり、おんどりは誇らしげに声高く鳴きました。
* * * * *
この絵本は、お友達からのプレゼントとしていただいたものです。
日本で大学を卒業してから、仕事をしていた4年間、あるカウンセリング協会の主催する講座に通っていました。
週2回、夕方の6時から夜の9時まで開催される講座。
コーディネイトしていたのは、ある医科大学の心理学の先生で、かなり専門的なカウンセリング実習などもある講座でした。
受講していたのは、医療の仕事に携わっている人、教育関係の人、家庭の主婦、会社の人事関係の方など、実にさまざま。
仕事が終わった後通うのはなかなか大変でしたが、私にとっては それだけの価値がある講座でした。
この絵本を下さったのは、よく同じグループで実習をしていた私より少し年上の看護師の仕事をしていた女性。
ブラジルに来る直前の講座のある日、授業の前にグループの人たちが簡単な送別のお茶会を開いてくださって、そこでいただきました。
ほかの方たちからもいろいろいただいたのですが、なぜか今でもはっきりと覚えているのは、この絵本をいただいたその場面。
この絵本がいつでも、私に「彼女のことを思っていて」と語りかけているのかもしれません。
4年間、いえ、正味3年半ほどでしたが、職場を離れて様々な人たちと学び合い、話し合い、時には考えを戦わせた貴重な時間でした。
この絵本を見るたびに、あの講座で学んだ日のことを思い出します。