13年前の今日、私達家族は、リオデジャネイロ市内から100kmほどのところ、アングラドスヘイスという山が海岸まで迫る、美しい海岸にいました。
娘は4歳。
娘と同じ年頃のお子さんを持つ夫の同僚家族とそれから同僚ご夫妻と一緒に、アングラドスヘイス湾に浮かぶイーリャグランジ島に一泊の小旅行に行ったのです。
その頃は、まだリオデジャネイロ州でも「黒人の日」が祝日として定着しておらず、夫がお休みになるかならないか、どきどきしながら、この小旅行を娘と楽しみに待っていたのを覚えています。
宿泊したのは「SANKAY」というポウザーダ(小ホテル)。
ミナスジェライス州でレストランを営んでいたオーナーが、レストランをたたみ、海の美しいイーリャグランジにポウザーダを開いたのだそうです。
ポウザーダは山肌に張り付くように立てられていて、海に向かって張り出したテラスからは、透明な美しい海が臨めました。
海の中に、さよりがいるんですよ!
子供たちは、浅瀬の岩場でお水遊び。
夫はデッキから釣りをしたり、オーナーが小船を出してくれて、シュノーケリングのポイントまで連れて行ってくれたりと、のんびりと楽しい休日を過ごしました。
娘、4歳!
眠そうですね~。
このポウザーダのオーナーには、奥さんの連れ子である娘さんがいました。
奥さんはミナス州に住む日本人の方。
娘さんも純日本人だそうで、子煩悩らしいオーナー、「うちの娘はね、うちの娘はね...」としきりに娘さん自慢をしていました。
夜は同僚ご夫妻の奥様のお誕生会。
子供たちと「スープレーザ」(びっくり)パーティーを計画していました。
何にも特別なことはできなかったけれど、みんなで風船を膨らませて、「パラベンス」を歌って、誕生日を祝いました。
今思い返しても、とても楽しい、夢のような休日でした。
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13年が経って、いろいろなことが変わってしまいました。
我が家の娘、同僚家族の娘さんたちはそれぞれ大きくなり、それぞれの道を歩み始めています。
これは本当にありがたいことだと思っています。
年月がたち、同僚ご家族とは昔のようなやり取りはなくなりましたが、元気ですごしていることでしょう。
一緒に旅行に行った同僚家族の愛犬「柴犬 ハナちゃん」は、さすがにもう天国かな?
テンカンもちの子で、毎日薬を飲んでいましたが。
同僚ご夫妻は、ご主人様が一昨年、そして奥様が今年と相次いで旅立たれました。
この旅行のあとも、毎年この日11月20日は、なんだかんだと一緒に食事をしたり、マナウスに来てからは欠かさず電話で「おめでとう」を言っていました。
昨年も電話で奥様と「風邪がやっと治ったのよ。」なんて話していたのに...
あっという間に、天国に旅立ってしまいました。
ポウザーダは2009年の大晦日、大雨が原因で起こった土砂崩れで、ひどい被害を受けました。
夜半過ぎに起きた土砂崩れは、オーナーの娘さんの部屋を直撃。
奇跡的に宿泊客に被害はなかったものの、オーナーの娘さんと大学の友人の二人が亡くなりました。
オーナーは暗闇の中、娘さんの部屋にたどり着き、とにかく娘さんの友人達の救助を第一にと救助活動をしたそうです。
ポウザーダはおそらくその後再開されていないのでは、と思います。
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「10年一昔」と言いますが、13年も経つと本当にいろいろなことが変わりました。
今年、特にそう思うのは、「あの時は本当に楽しかったね」と電話でおしゃべりができる同僚の奥様がいないから。
毎年、毎年、11月20日に電話でこの旅行の話をするのが、私にできる唯一のお誕生日プレゼントでした。
11月20日、この日に縁のある、お亡くなりになった方たちのことを思い出して過ごしています。