おとのくに♪♪

生徒さんのピアノレッスンで感じたこと、考えたこと、コンサートの感想などポツポツ綴っています。

ホロデンコ公開レッスン

2018年06月29日 | コンサート情報
ヴァディム・ホロデンコの公開レッスンに行って参りました。

2013年のクライバーンコンクールの優勝者です。

と言っても、それで彼を知ったのではなくマスレエフのFacebookで知りました。
(そのマスレエフが私がロシアン・メソッドを知るきっかけになったのです)



まだ31歳です。
ウクライナのキエフ出身。
モスクワ音楽院でヴェラ·ゴルノスタエヴァ先生に師事しました。(上原彩子さんの先生です)

3人の受講生が50分ずつレッスンを受けました。
休憩が10分ずつ。

以下、印象に残った話。

「J.S.バッハ:平均律第1巻第4番cis-moll」
・バッハの時代の楽器は色彩感がなく、暗い音色。色彩感を抑えることで面白くなる。
・16~17世紀のオランダの画家の絵を思い出してみて下さい。暗い色で描いているがあとの時代のものより表情があると思う。
・リリカルなだけではなく、当時の踊りの動きを思って。
・曲自体が自分で語っているのが魅力なので特別なことをせずに。
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「ブラームス:自作主題による変奏曲op.21-1」
・曲が始まったばかりなので自分を全て見せることはしないで。
・劇場と同じ。重要な時を待って。
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「ショパン:ピアノソナタ第2番」
・最初の4小節に重要なメッセージがある。
・4つの楽章がひとつの息の長いファンタジーになるように。
・葬送行進曲がこの曲の中心なので退屈になることを怖れずに。
・この曲は細部までよくできているので自分で加工しようとしない。
・第1楽章と第2楽章の繋りはマーラーの第6シンフォニーを思い出す。聴いてみて。
・第1楽章はリア王のような悲劇。その他の楽章はそれがもっと濃縮される。
・ワルツのようでワルツではない。そんなワルツを聴いた記憶があるという<ワルツの記憶>

ホロデンコが弾いたある部分がドンと胸に突き刺さりました。
公開レッスンなのにウルウル泣けてきました。
ホロデンコは若いのですが実はとても辛く悲しい経験をした人なのです。
ワルツのようでワルツでないの話の時にチャイコフスキーの第6シンフォニー「悲愴」の第2楽章を弾いてくださいました。
私はショスタコのピアノ協奏曲第1番第2楽章を思い出していました。ワルツのようでワルツでない、つらい楽章です。この曲はギルトブルグの演奏が素晴らしいです。
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「プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番第1楽章」
・油絵ではなく鉛筆で描いたドライな感じ。
・プロコフィエフのスタッカートは本当にスタッカート。スタッカーティッシモ。

プロコはオケ伴をしながらのレッスンでした。
上手でした。モスクワの中央音楽学校の先生方も皆さんそうなのでロシアでは当たり前な光景。
コンチェルトなのでオケとの合わせのポイントをおっしゃっていました。
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その他にも良いお話を伺えました。

暑い中ファツィオリショールームの場所がわからずに迷い、開演直後に到着しました。
辿り着けて良かったです・・

ヴェラ・ゴルノスタエヴァ先生は私の恩師が東ドイツでレッスンを受けたことがあり、百人以上の受講者の中から選ばれ現地のオケとチャイコのコンチェルト第1番を演奏したと聞いたことがあります。

その時のお話が笑えて、そんなことになると思わなかったのでドレスなんて持って行ってなかった。中途半端な丈のワンピースを着て出た。ステージに出るときに転んで、肘から血を流しながらお客さんの前に出て行った。子供が出てきたのかと思って大きな拍手で迎えてくれた。その演奏会は毎年ラジオで生放送され、放送後街の人に「聴いたよー」といろんな人が握手してくれたと。

あまりそのようなお話はなさらない先生なのですが、時折聞く話が驚くようなお話で、学生の頃聞いた時にはそのすごさが全くわからなかったのですが、今思うとスゴすぎます。

因みに恩師は小柄で150センチくらいの女性です。
レッスンの時によく「私の手の上に手をのせて!この方がわかりやすいから」とよく腕の使い方、手首の使い方を教えて下さっていました。

こうやって東ドイツでレッスンを受けた時にやってもらって分かりやすかったからとおっしゃっていたように記憶しています。

上体の位置もちょくちょく修正して下さいました。

その頃の私は同じようにやろうとしても上手くできず、先生は機敏で運動神経が全然違うと思っておりました。
小柄な身体で演奏しているとは思えない音の鳴りようで、弱音もどうしたらそんな音が出せるのかと、いつもスゴイなスゴイなと思いながらレッスンを受けておりました。

結局20年習いましたが、先生の技は習得できませんでした。
しかし、今なら少しはわかると思っています。

根本が違かったのです。
ロシアン・メソッドを知ってそれがわかりました。

今、先生のレッスンを思い出しながら1人で直している所です。
あの時言われたことはこれだったのか!とわかることが出てきて嬉しいです。
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