おとのくに♪♪

生徒さんのピアノレッスンで感じたこと、考えたこと、コンサートの感想などポツポツ綴っています。

歌手の声と同じ

2021年03月14日 | 重力奏法
上原彩子さんがヴェラ先生に「ピアニストの音は歌手にとっての声と同じなので、とても大切にしなければいけない」と毎回言われていたお話が印象に残っています。

曲について細かく教えていただけることも有難いですが、このようにこれだけは失ってはいけないと思えることを残してくれる教えは宝です。

教える側は何度も口にすることを躊躇する時があるかもしれません。
言わなくとももう分っているだろうとか、何度も言われると嫌になるだろうとか・・

きっと上原さんには受け入れる素直さ、謙虚さが備わっていたのだと思います。

上原さんのお話を聞いてから、生徒さんのレッスンで「ピアノの音は歌う人にとっての声と同じ」とマネさせていただいております。

「きれいな声の方がいいよね」と言うと、大抵の生徒さんは綺麗な音で弾こうとします。

ピアノの音を生徒さんの声と思って聞くと、それがその生徒さんの持つ本当の声なのか、それとも磨くことができるのかどちらなのだろう・・と考えてしまいます。

自分の声ではないデジタル楽器はボーカロイドと同じなのですが、それが好きな人も存在するわけです・・

ダイヤモンドが美しいのは知っているけれど、プラスチックでも綺麗だと感じれば、それが自分に似合っていると思えばそれで良いと話した生徒さんがいます。

音に対してそう考えたことがなかったので、好みや価値観は人によって随分異なるし、時代によっても変わるのだろうと思いました。

ただ、揺らいではその価値を失ってしまうものが古くからの芸術には存在することも確かです。

日本の古典芸能が話を現代のものに合わせたとしても、発声や身のこなしまで変えてしまったらそれは古典芸能ではなくなります。

未来の人たちに残すもの。自分は何を残したいのだろうと考え始めました。
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