昨年、はじめて生で聴いたカントロフ。
次回は来年6月か、長いな、
と思っておりましたら、もうやってきました。
この日を楽しみに今年は生きてきた、と言っても良いほどです。
今回は東京オペラシティコンサートホール。
広いところで彼の音を聴いてみたいと思っていました。
始まってすぐ、
このホールで聴きたかった音はこれだ!と思いました。
プログラムはこちら。
今回のプログラムは2度音程の多い曲でした。
リストが編曲したバッハの
「泣き、嘆き~」から始まったプログラム。
下行していく2度音程の「嘆きのバス」
彼の音は単音だろうが、オルガンのように鳴ります。
彼の長いフレーズが、広いホールで聴くと
輪郭が見えやすくなります。
静と動、聖と邪が交錯するような世界。
ズンズン推進する時の勢いは凄まじいのですが、
決して音が混濁しない。
混濁しないからその世界に没頭して聴ける。
後半の「別れ」と「焔に向かって」が
特に素晴らしかったです。
世の無常を知りながら、寄り添ってもいる。
しかし、距離を保って。
彼の底知れぬ深い世界に自由に入って行くことはできるけれど、
本当の深さはわからない。
何とも魅力的。
これだけの世界を描いて、分かりやすくとも考えていないと思うのですが、
(子供に分かるように話を砕いて伝えるのではなく、作品の力をその姿のまま伝えるという意味)
分かる分からない、好き嫌いを越えたところにいる。
何を感じさせてくれるのだろう、と
また聴きたくなる。
彼の計画の中にあるかは分かりませんが、
メシアンの「幼子イエスに注ぐ20の眼差し」を
今日の演奏を聴いていて聴きたいと思いました。
アンコールは6曲あったと思います。
たくさん弾いて下さったので、
何曲かわからなくなりました・・
火の鳥、弾いて下さいました。
やはりこれは凄い!もう彼の代名詞のような曲。
アンコールを聴いていて、
プログラムにブラームスがなかったので、
無性に聴きたくなりました。
そうしたら最後の2曲がブラームス。
収まるところに収まった感じ。
彼にとってブラームスは冷静さを与えてくれる存在のような、
構築性がカントロフのロマンを中和してくれる感じがします。
録画されていたので、
その内放送されると思います。
それにしても、客席で物を落とす音が
何度も聞こえてきました。
思い出しただけで6回はあったような・・
短いアンコールの曲1曲の中で2回も
聞こえたものもありました。
カントロフの音で、放心状態になったのでしょうか・・
なんだったんだろうね