おとのくに♪♪

生徒さんのピアノレッスンで感じたこと、考えたこと、コンサートの感想などポツポツ綴っています。

日本人の音楽教育 #2「絶対音感」

2019年04月11日 | 書籍紹介
絶対音感の話。

以前、ドイツにいる知り合いが「こっちには絶対音感を持っている人なんていない」と。

あら、そういうものなのかと意外な気がしました。

さて、「日本人の音楽教育」のカヴァイエ先生のお話。

先生:「イギリス(先生はイギリス人)でもヨーロッパでも絶対音感を持っている人はたいへん少なく、私自身も持っていません。ところが、どういうわけか日本では絶対音感を持ち合わせている人が多いのに驚きます。日本では、それをたいへん小さな子供(3歳くらいの子供)に訓練しているからでしょう」

先生:「絶対音感を持つということが、音楽的ハンディキャップすら与えかねない。ご承知のようにピアノのピッチは時代によっても、国によっても変わります。そうすると絶対音感を持っているということは音楽することにとって障害にすらなりかねません」

インタビュアー:『それにもかかわらずわが国では絶対音感を身に付けることがあたかも子供の音楽教育にとって本質的であるかのように考える向きもありますね。音楽学生や職業的な音楽家にとって絶対音感を保持していることは概ね望ましいことだ、という信念は相変わらず根強いようですが』

先生:「これは日本の音楽教育の重大な問題ですのではっきり言っておきましょう。ある人が絶対音感を身に付けているということと、その人が音楽的に大切な素養を身に付けているということは全く無関係です。真に音楽的な聴覚能力というのは、音の色彩、フレージング、リズム、調性、音程などを正しく把握できる能力を持っているということです。ある音の絶対音高を記憶しているということは音楽的な意味で良い耳を有していることにつながりません」

先生:「各調性が持っている独特の性格にとって客観的な絶対音高は大して重要ではない。長い年月をかけて少しずつ標準音高(ピッチ)が変わっても耳は柔軟に適応できる。ハ短調ならハ短調という調性にベートーヴェン自身が付与した特定の色合いは、たとえそれを弾くピアノのピッチが多少変わったところで保持できると思います。」


私は最近特にソルフェージュの指導法が気になっています。
以前から音楽に結びつく方法でできないものかと思っておりましたら、フォルマシオン・ミュジカルに出会いました。

音程や調性、終止形への感覚を早くから身に付ける内容に驚きました。
理論として知ることを求めるのではなく、それを音楽を理解することに結び付けるのです。
理解したことを表現するには音が良くなければなりません。
それで辿り着いたのが、私の場合はロシアンメソッドです。

最近ご紹介したグネーシンも音楽の為のソルフェージュをしています。

ネイガウスが、読む→弾く→聴くでは、弾く前に音を想像する過程が欠落するので音楽性が育たない。そうではなく、読む→聴く→弾くの順番になるようにレッスンを進めるべきである、と言っています。

ピアノで弾く前に想像する。
その手助けになるのがソルフェージュでもあると思います。
どんな音楽がそこあるかを想像できること。

「不思議な音の国」上巻の最初の方は年齢が低い生徒さんは少し時間がかかります。
その間に音程、長・短調の感覚をどんどん付けられるようにしたら良かったと今頃気付きました。
小さい生徒さんがとっつきやすいのはリズムなので、そちらをメインにしていました。
あとは音の方向の聴き取り(上行、下行)です。
たまに時間がある時に長調、短調もしていましたが分からない事が多いのでまだ早いのかと思っていましたが、グネーシンを見てアプローチが不足しているのだと気付きました。

フォルマシオン・ミュジカルに良い課題がたくさんあるので、もう一度見直してレッスンを組み立てたいと思います。

余談ですが、オルガン(パイプオルガン)はピッチや音色(レジスター)が地域によって異なります。
それらはその土地の風土や文化に基づくとオルガンの先生がおっしゃていました。
絶対音感のある方はご自分の記憶のピッチと大きく異なると弾けなくなります。

次回は家庭の音楽的環境作りの話をご紹介します。
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