おとのくに♪♪

生徒さんのピアノレッスンで感じたこと、考えたこと、コンサートの感想などポツポツ綴っています。

遠回りは・・

2019年04月09日 | 重力奏法
現役を引退したイチロー。

NHKで「イチロー最後の闘い」という番組を放送していました。
そこでイチローが語っていた言葉。

『最終形がない。後退することももちろんあります。ずっと前に進みたいけどなかなかそうはいかない。はっきりしていることは近道はない。あとで考えると、遠回りだったなぁ、省けたらよかったなぁということは確かにあります。でもそれが一番近い。
自分のぼんやりとした理想に近付く一番の方法は、遠回りをすることと、今は思います。』

あのイチローさんがこのように思うことに勇気づけられます。

ノンレガートからやらなくとも大丈夫なんじゃない?はないのです。

私は生徒のレッスンで「はっきり弾いて」と言ったことはありません。
そのように言うと力むに決まっているからです。

カチカチ弾かれることが嫌でしたので腕の向きを音の動きに合わせること、手首をどう回転させるかといったことはどの生徒にもやってきました。打鍵の方向も教えてきました。

しかし、音の鳴りが十分ではなく客席に飛んでこない。
何故だろうと思っていました。
耳障りな音はしません。でも表現していることが良く聞こえてこない・・
ステージの奥の方でちんまり弾いているようでした。

私自身は逆に客席に音が飛んでくると言われていたので、生徒もいずれ音が飛ぶようになるだろうと思っていました。

それがロシアンメソッドを知って原因が分かりました。

重さです。
Hangingです。

それを最初から諦めずに教えていくと小さな生徒さんであろうと音は鳴るのです。

省いてはいけないノンレガート。
遠回りだと感じるのは最初の半年くらいです。

そのあとは従来の奏法より急速に弾ける曲が増えていきます。
そして音楽を奏でられるようになります。

というのが1年間このメソッドでレッスンをした結果です。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

重さを伝える

2019年04月09日 | 重力奏法
ロシアンメソッドでレッスンをしていて私が一番伝え辛い事は、「重さを掛ける」事です。

初めからこのメソッドでレッスンを受けている生徒さんはノンレガートから始めますので、私の生徒の場合は短くとも5カ月間はリラックスさせた腕で深く鍵盤に沈めて音を鳴らすことをします。というより、それしかやらないと言ってよいほどです。
なのでこの感覚は自然に養われていきます。

ところが途中で奏法を変える、というより直す(本来ピアノはガンガン弾きません)生徒さんにこの感覚を知ってもらうのは骨が折れます。

重さと言うと押す事と勘違いされることがあるので私はあまりこの言葉は使いません。

よく言うのは「寄りかかる様に」です。
それでも伝わり辛く、最近は「椅子に座るのと同じ。椅子を取って座っている格好をするのはつらい」と言います。

海外ではこの感覚をHangingと言っているようです。
ツィメルマンの公開レッスンでも実際にそう言っています。
おー!ツィメルマンも教えています!
昨年見つけたこちらの先生の動画、ドミソの弾き方を教えるのに10分以上かけています。

その中で何度もHanging downとおっしゃっています。



モロゾワ先生の演奏です。
Irina Morozova - Bortkiewicz Etude Opus 15 No 9

スライムを鍵盤にのせて弾いてもらうことも有効です。
ただ、ブスブス突き刺す生徒さんもいるので色々伝え方を編み出しておく必要があります。
人間の感覚は人それぞれですので。
その中で正確に伝える技術を指導者は持つ必要があります。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする