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授業紹介;「地理と歴史を融合した授業(その2)」(2015.11.7)

2015-12-03 13:46:08 | 日記


こんにちは、11月7日に行われた授業の紹介(W大)です。

地理と歴史を融合した授業(その2)です。

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授業名「諏訪地方の産業の変化」
目標「諏訪地方では、地域の特性と時代の要請に応じて養蚕業、精密機械工業、電気機械工業を主軸とした産業が展開していたことを理解する」

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t:先生  s:生徒(大学生)

ーーーー16:35ーーーー
t「まず映画をみてもらいます(場所・産業・時代はいつか?)ただ見るだけではなく、注意しながらみてください」
t「この映画の場所はどこでしょうか?」
s「寒い山の奥」
t「どこだと思う?」
s「長野・・・」
t「正解です」
t「工場がでてきましたが、何をつくっていると思いますか」
s「糸」
t「これはカイコから糸をつくる養蚕です」
t「時代はいつごろでしょうか?」
s「明治時代」
t「正解です」

ーーーー16:43ーーーー
t「今日は『製糸業の発達と明治期の殖産興業政策』について学びます。とくに、信州、特にどうして諏訪地方で製糸業が発展したのかについて考えていきたいと思います。理由がわかる人いますか?」
s(答えられず)
t「正解は、絹織物生産できる環境だったのです。気候的にはどうですか?」
s「雨が少ないです」
t「そう、水を多く使うコメができないので、桑を作っていますね」
t「また、諏訪は中山道と合流する甲州街道の終点でもあったのです」
t「明治期以降の殖産興業政策を支えたのです」
t「しかし・・・世界恐慌が起こってしまい、その影響もあって、製糸業が衰退していってしまいます」
ーーーー16:54ーーーー
t「ではこの後、製糸業がどのような産業に変化していくのか?についてみていきたいと思います」
t「電車も通って物流が盛んになってきます。資料をみてわかるように、生糸の生産量が多いことがわかります。生糸の生産量のピークは?」
s「1935年」
t「そうだね。1945年から比べるとすごかったことがよくわかります。これは1929年におきた世界恐慌の影響があって日本経済に影響を与えました。なかでも製糸業にどんな影響があったでしょう」
s「世界中が不況なので、外国で日本の生糸が売れなくなってしまいました。」
t「そうですね」
t「もうひとつ、化学繊維が使われるようになってきたので、養蚕業が衰退していきます」
t「その後諏訪では多くの工場がきます。どうしてなのでしょうか?時代背景も含めて考えてみて下さい」
t「さきほど雨が少ないということがでましたが・・・これもヒントになります」
(グループ活動のあと)
s「・・・」
t「1943年からどんどん増えていきます。何がありましたか?」
s「第二次世界大戦」
t「そうですね、戦争ですから空襲があって、都心部に工場をかまえているとやられてしまう。それで諏訪に疎開してきました。どうして諏訪だったのでしょうか?」
s「湿気がないから、さびない」
t「いいですね。他には?」
s「きれいな水があるから」
t「他には、寒いと熱膨張などを考えなくてもすむみたいです。しかも、手先が器用な養蚕業で働いていた人たちがここに残っていたのも理由です」

ーーーーー17:09ーーーーー
t「右側の黒板を消しますね」
t「次に、戦後の諏訪地方の工業の変化をみたいと思います。諏訪地方は東洋のスイスといわれていて、スイスと非情によく似た環境なのです。教科書をみると、1960年代から精密機械工業のしめる割合が高いのですが、あるときから他の産業が伸びています。なんでしょう?」
s「電気機械工業」
t「そうですね。すこし板書しますね」(文字見えますか?)
t「1980年頃から盛んになってきます。電気機械工業とは、IC、電子部品などをつくる工業です。1980年になにがあったのかというと・・・中央自動車道が開通しました」
t「これらの部品は小さいですよね。それで重化学工業と比べて輸送コストがかからず、付加価値が高いため、道路交通網の整備によって、諏訪に広がっていきました」

ーーーー17:19ーーーーー
t「今回の授業では諏訪地方の産業についてみてきました。明治から現代にかけて3つの産業がありました。時代順にいうと、明治では繊維、戦後は精密機械工業(時計・カメラ)、1980年代以降は電気機械工業(ICなど)でした。そのときの政策、自然条件であったり、自動車道が整備されたりなどがからみあって変化してきたといえます」(終了)



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この授業は諏訪地方の工業の変遷を考えさせる内容でした。
本当は、「どうして諏訪に疎開してきた工業が、終戦後にどうして東京に戻らなかったのか」を考えさせる予定でした。しかし、時間がなくてカットしました。
授業自体の流れは明確でわかりやすいものになっています。
導入の野麦峠の映画もよかったと思います。


今日もきてくださってありがとうございました。