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阿川弘之『雲の墓標』(新潮文庫)を読み終えました。
この本を読むことにためらいがありました。
特攻隊の話であることは知っていましたので、1人の学生が死へとむかっていく様を読み続けるのは、苦しかったからです。
思い起こせば、高校生のときにも推薦書としてすすめられていた本でしたが、やはり読みませんでした。
いま、40歳を過ぎようやく読みました。その理由は、戦争というものを余裕をもってとらえることができるようになったからではないと思います。東日本大震災、原発事故などがあり、今読まなければいけないと思ったのかもしれません。
【内容紹介】Amazonより
太平洋戦争末期、南方諸島の日本軍が次々に玉砕し、本土決戦が叫ばれていた頃、海軍予備学生たちは特攻隊員として、空や海の果てに消えていった……。一特攻学徒兵吉野次郎の日記の形をとり、大空に散った彼ら若人たちの、生への執着と死の恐怖に身をもだえる真実の姿を描く。観念的イデオロギー的な従来の戦争小説にはのぞむことのできなかったリアリティを持つ問題作。
【感想】
『永遠のゼロ』のようなドラマチックな話の展開があるわけではありません。堀越二郎『零戦 その誕生と栄光の記録』のようなゼロ戦の華々しい活躍が描かれるわけではありません。
25歳の若者が海軍で訓練をうけ、戦闘機のパイロットになり、特攻するまでが描かれます。もちろん、若者たちの心は国を守らなければならないという気持ちと、死にたくないという気持ちが交錯します。
それはそれは静かに、表面的には静かに話は進みます。静かに描かれているからこそ、この小説の重みがじわりと伝わってきます。
今日も来てくださってありがとうございました。