作家 小林真一のブログ パパゲーノの華麗な生活

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【 メリーウィドウ (3) 】

2008-07-06 12:11:31 | 02 華麗な生活

舞台装置が豪華だったとはすでに述べた。
そこへ輪をかけたのが光の演出であった。
照明担当は澤田祐二という人だが、バックに並ぶパリの街並みの
上空に星を散りばめたり、満月を昇らせたり、光が持つ魅力を
ふんだんに駆使してくれた。
その全体に佐渡裕の目が光っているという感じ。

オペラでもオペレッタでも、多数の出演者による合唱が見所の一つ
であるが、この日のメンバーによる合唱の素晴らしさときたら表現
を超える。つい先だっての、早稲田、慶応、同志社、関学による
東西四大学のグリークラブの合同演奏を、はるかに凌いだ。
当たり前かもしれないが、選りすぐりの百四十名が、プロの三十名
の前では、やはりアマチュアである。

メリーウィドウのウリの一つに、フレンチカンカンがある。
もちろんプロのダンサーが踊るのだが、それにヴァランシェンヌが
参加するのが話題になるのが常。
ところが今回は出演者した女役の全員がカンカンを踊ったのには
驚いた。だからロロ、ドド、ジュジュ、フルフル、クロクロといった
本職たちの目立ち方が少々減った。




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【 メリーウィドウ (2) 】 

2008-07-06 12:04:43 | 02 華麗な生活

主役のハンナに世界の佐藤しのぶを持ってきたから、他の主だった
役割を誰が演じるのかと思ったが、相手役のダニロに大山大輔、もうひと組の男女ペア、カミーユとヴァランシェンヌにジョン健ヌッツオと並河寿美を起用し、その三人がそれぞれ相当な歌い手だから、
佐藤しのぶが一人浮き上がるということが全くなかった。

レハールはクラシックの人と言うには若すぎる。ヒトラー時代の人で
ある。メリーウィドウの初演は1905年にレハール自身が指揮を取った。
その場所がテアター・アンデア。ウイーンで、奇しくもボクが初めて
メリーウィドウの華やかな舞台と音楽に接したのも、同じ劇場だった。
「ウイーン川の畔に立つ劇場」の意味で、夏がオペラ座あたりが休む
時期に、時折夏のフアンのために開場する。1976年のことだった。
そのことで初めてそこに劇場があることも、ウイーンという名の川も
知った。

主だった四人が素晴らしかった上に、脇役たちも見劣りがなかった。
佐渡裕は余程の情熱を注いで、これだけのメンバーを集めた。
架空の国ポンテヴェドロのモデルは語感的にもモンテネグロだろう。
この国のパリにある大使館がメインの舞台として演じられるから、
大使の役も重要だが、歌だけじゃなくセリフも多いこの喜歌劇で、
平野忠彦が立派な存在感を見せた。
感動したのは大使館に勤める参事官や領事役に、それぞれ人材の
配置があったこと。
池田直樹、泉良平のバスと久岡昇のテナーだが、三名とも演技も
歌唱もダンスも、まさに実力者。女役ではオルガに扮した松本純子
が目立っていた。

本舞台には50名を超す人物がおる。その迫力といったらない。
そしてオケボックスの手前の花道が活用される機会が多い。
つまりはボクの目の先1メーター半に、多数の出演者が通るわけ。
こんな機会を得たのは生涯で初のこと。興奮が後に残らぬわけが
ない。




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【 メリーウィドウ 】

2008-07-06 11:51:49 | 02 華麗な生活

今から書くブログは、珍しくカテゴリーのタイトルに
ふさわしい、パパゲーノの華麗な生活に値するもの。

西宮北口にある兵庫県立芸術文化センター。その大ホール
で、佐渡裕芸術監督が自らタクトを振る「メリーウィドウ」。
ヒロインのハンナを演じる佐藤しのぶさんが出演するのは、
今日が最後なんです。彼女はドイツ人と結婚して、
アウグスブルグにお住まいのはず。

県立の悪いとこでしょう。チケットを取るのに必死で電話を
かけまくらないといけない。そうして手に入れた席が、
まさに特等席でした。一階C-27&28.
オケが入っている仕切りのやや右目の二列目だから、
指揮者も舞台上のハンナとダニロも同時に見える最高の場所。

オペレッタで、風変りな演出があることは、珍しくないと聞くが、
今日のは大胆すぎて唖然ともさせられる。
だがそれに違和感があるのじゃなく、この喜歌劇の作者レハール
が見たなら、こっちの方が断然いいとカブトを脱いだことだろう。

非常に変わった幕開けのスピーチがあって、いざ幕が上がるや
そこに豪華なんて言葉じゃ足りない見事な舞台があって、
これまた華麗なんて言葉じゃ言いあらわせない、50名以上の
貴族の皆様のパーティがまさに開演する場面となる。

さして奥行きもないはずの舞台に、傾斜をつける工夫があったり、
オケボックスの手前に花道?をしつらえて、この場所も大いに活用。

曲は全部耳に慣れたものばかり。個々の配役は後で書くが、
せり出した花道に、世界の佐藤しのぶが歩んできて、ボクの目の前
わずか1.5メーターの位置に立つ。立ち上がれば握手ができるところ。
どうですか、凄いでしょう。

本来三幕仕立ての劇を、二幕ものに仕立て直したのが、広渡勲の
大胆な演出。

この感想文は、ボクの表現力では、大量の文字が要る。
今夜はその1で終わります。




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