近事変々

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※表題の「変々」は字面の遊びです。(念のため)

第57回全国民俗芸能大会を観覧、新たな興味も覚えた。

2007-11-25 16:57:42 | 民俗・行事
 きのう、24日(土)は連休の中日だったが、かねてより観覧希望を出していた、第57回全国民俗芸能大会に行ってきた。
会場は千駄ヶ谷の日本青年館ホールである。
この全国民俗芸能大会は、(財)日本青年館と全国民俗芸能保存振興市町村連盟(略称・全民連)が主催し、文化庁の協力のもとに毎年開かれているものである。

 去年行った時には、開場前に長蛇の行列だったのだが、ことしは、なぜかあまり混んでおらず、客席にもかなり空席が目立っていたのは以外だった。

『全民連は、民俗芸能その他の無形民俗文化財の保存振興にあたる市区町村で組織されています。
加盟自治体が協調して民俗芸能等の保存と振興をはかり、わが国の文化の向上に資することを目的としています。』
   全国民俗芸能保存振興市町村連盟
 
 全民連の会長は石塚前板橋区長が務めていたが、今年度も坂本新区長が引き続きその任に当たり、事務局も板橋区教育委員会生涯学習課におかれている。

※ことしの公演は、以下の通りである。  

【八色木(やいろぎ)の獅子踊り】 (山形県鶴岡市 八色木獅子踊保存会)


 山形県庄内地方の一人立ち獅子だが、牡獅子・中獅子・女獅子に友獅子と白鷺と呼ばれる二頭が加わる五頭立ての獅子舞である。
ここの獅子は、腹にくくりつけた太鼓まですっぽりと覆う独特の衣装を着けている。
 興味深かったのは、解説でしか紹介されなかったが、踊りの前の「精入れ」、踊りが終わった後の「精戻し」という儀式である。
いうなれば、神輿の「御霊入れ」と同じようなものだが、厳然とした神事としての形態は、普通の民俗芸能には見られないものである。

【阿万(あま)の大踊小踊り】 (兵庫県南あわじ市 阿万風流踊保存会)


 これは、「風流踊り」と称され、瀬戸内海沿岸部で広く行われている「雨乞い」のための踊りである。動きの大きい「大踊り」と、動きの小さい「小踊り」が別の講組織によって伝承されているというのも興味深かった。

※語りもの三題として、

 【オシラ祭文】 (青森県三戸郡田子町 イタコ・日向けい子)


 「オシラ祭文」とは、「オシラ様」という二体の人形を両手で操りながら、祭文を唱えるものである。

 【阿波のたたら音頭】 (徳島県吉野川市 牛島雲龍組たたら保存会)


 「たたら音頭」は、鉄や銅の精錬作業で使われた「たたら」を踏む動作をしながら歌われた作業歌が、唐傘を手にした踊りとして残され、民俗芸能として伝承されたものだといわれている。
 
 【田原の祭文】 (奈良県奈良市 田原地区伝統芸能保存会)


 江戸時代に山伏が門付けで語った祭文が伝承されたものであるが、法螺貝を吹きながら語る珍しいものである。


※最後に演じられたのは、 
 
【滝坂神楽舞】 (山口県長門市 滝坂神楽保存会)


 ・・・であるが、いわゆる里神楽とは趣きが違い、衣装も紋付に白袴といういでたちで質素である。舞自体も動きは激しいものもあるが、同じ動作の繰り返しで、物語性は薄いような印象を受けた。


 全国民俗芸能大会は、ことしで57回目で、これまで400余もの団体が出演したそうだが、まだまだ全国各地にはたくさんの民俗芸能が残されていることを知り、新たな興味を覚えたところである。
地方の方には申し訳ないが、東京でこうした公演を見られるのも嬉しい限りである。


※関連ホームページ※

八色木獅子踊り・・・鶴岡市観光連盟

阿万の大踊小踊り・・・ひょうご歴史ステーション

オシラサマ

滝坂神楽舞