3月11日の東日本大震災、あれから11年ですね。今朝の東京新聞に『被災地と流山見守る』という記事が紹介されていました。
円東寺の立木観音像を紹介する東京新聞記事。伐採前のイチョウの樹も紹介されています。
以下、紙面から。
東日本大震災11年 被災地と流山見守る 彫刻師・畠山さん 慰霊の立木観音像
東日本大震災の犠牲者を慰霊しようと、流山市の仏像彫刻師・畠山誠之(せいし)さん(78)が同市市野谷の円東寺のイチョウで彫り進めていた十一面観音像が完成した。高さ約5メートルは、根の付いたままの立木仏としては県内最大級という。やさしいまなざしで、被災地と流山の地域を見守っている。(牧田幸夫)
このイチョウは樹齢四百年の巨木。区画整理事業の道路敷設で完全伐採の予定が、計画縮小で幹は道路にかからなかった。「寺の歴史を見守ってきたイチョウが残ったのは奇跡。何とか残したい」と思案していた増田俊康住職(51)に、畠山さんが立木仏の制作を提案。幹を五メートルの高さで切断し、二〇一三年十二月から無償で彫り始めた。
畠山さんは岩手県一関市出身。震災直後、子どものころによく遊んだ宮城県気仙沼市の海岸を訪れ、がれきの山となって変わり果てた光景に言葉を失った。震災で亡くなった人を供養したいと考えていた。
仏像はあらゆる方向を見守り、苦しんでいる人をすぐに見つけるとされる十一面観音像に決まった。増田住職も「震災の起きた二〇一一年三月十一日を忘れないためにも十一面観音がふさわしい」と賛同した。
作業は一六年の終わりごろには全体の粗彫りを終えていたが、区画整理による墓地の移転工事の影響で約四年間中断。昨年三月に再開した。
頂上仏と呼ばれる頭の上の顔は四人の弟子たちが担当した。併せて仏像を納めるお堂を建設。材料のヒノキは畠山さんの親友で、一関市で製材業を営む須藤広志さん(78)が寄付した。
仏像の開眼法要が今月六日に行われた。畠山さんは「根を張った木に彫るのは初めての経験。不安もあったが、震災を風化させてはいけないと、鎮魂の思いを込めて彫った。自分にとっても集大成となる仏像。完成してほっとしている」と足かけ八年半に及んだ制作を振り返った。
増田住職は「無事に開眼法要を迎えることができ、ここからがスタート。この観音様が光り輝くように一層精進していきたい」と話した。