昨日の公演で取材してくださった新聞社さんが、早速31日の朝刊に掲載してくださいました。
8月15日リビングかしわWEB版
白みりん200周年記念高校演劇
草食系男子や肉食系女子なんて言葉が女性ファッション誌を中心に言われ出して4年くらいになるのでしょうか。
地元、流山・野田周辺の若者の間では、みりん系男子だとか、しょうゆ系女子といった耳慣れない言葉があるというので、
早速、調べてみました。
まず、お邪魔したのが、6月21日(土)・22日(日)の両日、流山市文化会館で開催された「高校演劇第一地区春季発表会」。
猛暑の6月末に開催して春季大会かぁ…などと汗を拭きながら鑑賞。いやはや面白い。高校生の若さが舞台いっぱいに弾けていました。
この大会が終わると、3年生は、いよいよ進路に悩みながら入試や就職の準備に入ります。
でも、県立流山おおたかの森高校と野田中央高校の演劇部の若者たちは、「白みりん」と「しょうゆ」を題材に、2話オムニバス劇の稽古のため、いま、夏休み返上で汗を流しています。
みりん系とか、しょうゆ系などという言葉は、この高校演劇から始まっているのでしょうか。
流山を舞台にした野球漫画「球世主!!」などの原作者として活躍されている人気作家・青木健生さんが両校を訪ねて
高校生にヒヤリングをしながらオリジナル脚本を書き下してくださるというのですから、高校演劇とは言え凄いことです。
流山では、市立博物館で、企画展「流山のみりん」を開催するなど、市をあげて白みりん200周年を祝うムードがいっぱい。
地域出版の雄、流山の崙書房からは「流山みりん物語」(川根正教著)が出版され、
7月には、NHK「きょうの料理」の柳原尚之さんを流山市生涯学習センターにお招きして開催した
産官学コラボ「和食とみりん」食文化講座も行われ満席だったとか。
私の世代では、社会科の「特産」で流山のみりんと、野田のしょうゆは教科書に載っていた記憶がありますが、
そもそも「白みりん200周年」とは…。夏休みの自由研究よろしく、ここでちょっと復習してみましょう。
江戸時代中期からの醸造の技を元に、文化11(1814)年に「白みりん」が流山で作り出されました。
色が濃い「赤みりん」を改良。飲んでおいしく、料理を引き立てる澄んだ山吹色の新味は人気を集め、まもなく「みりん」や「本みりん」の言葉は白みりんと同じ意味で使うことが当たり前になっていきます。
白みりんの開発は流山の醸造家、二代目堀切紋次郎と伝えられています。堀切家はしょうゆ醸造で知られるキッコーマン(野田市)の設立に参加。平成18年に分社化された流山キッコーマンでは現在も「マンジョウ本みりん」として製造が続いています。
200年の歴史をかいつまんで1分で語りますと、ざっとこんな感じになります。
まあ、ここまでは郷土の歴史や文化財などを調査研究する博物館や地元出版社などの活動も白みりんの歴史も、
なんとなく解ったのですが、なぜ、高校演劇なのか…が、よく解りません。
そこで、主催者である「白みりん200周年記念演劇公演実行委員会」の事務局をされている
流山市生涯学習センターのスタッフに、なぜ、高校演劇なのかを問い合わせてみました。
ユネスコは昨年末、「和食」を無形文化遺産に登録することを決めました。和食が文化遺産になっていながら、
家庭の味や手づくりの味が食卓から遠のいている感もあります。
そこで、若い世代に食卓を見直してもらおうと企画されたのが白みりん200周年記念高校演劇です。
歴史を再現する固い舞台ではなく、等身大の高校生の青春をそのまま舞台化して、流山の白みりんを流山の高校生が、
野田のしょうゆを野田の高校生が演じることによって、和食文化や手づくりの味の大切さを再認識していこうと企画されたそうです。
フムフム…なるほど!
みりんも、しょうゆも、高校演劇も解りましたが、最初に頭の中が「???」でいっぱいになった「みりん系男子」と「しょうゆ系女子」ってナーニ?
みりんをテーマにした県立流山おおたかの森高演劇部が演じる「白き魔術の継承者」では、
目立つことが苦手な男子が、隠し味のみりんに共感を覚え、将来は、みりんのように、表に出なくても、
なくてはならない存在になりたいと考えていきます。
しょうゆをテーマに県立野田中央高演劇部が演じる「SHOU-TIME」では、元気いっぱいの積極的な女子が、
国内はもちろん海外でも親しまれる野田のしょうゆに憧れ、いつかは自分も世界の舞台で活躍したいと夢みていきます。
そして、進路に悩む夏休み、内気な男子と、元気な女子は…。オムニバスの舞台から一緒の舞台へ!
…と、ここまではお話を伺えたのですが、ここから先は「舞台をご覧ください」と、教えていただけませんでした。
白みりん200周年記念演劇公演実行委員会の石山清貴実行委員長(千葉県立高校演劇連盟事務局次長)は、
「自分の進路について悩む季節に、2人の高校生が不安の中で進路を決めていくストーリーを演じることで、
何かをつかみ取ってくれるものと期待しています」とお話を聞かせてくださいました。
流山にお住いの人気作家・青木健生さんが、両校の演劇部を訪ねて、部員と話しながら登場人物やストーリーを書いたというのも驚きですが、
音楽では、清水義直さんが公演のために作曲してくださったオリジナル曲と聞いてビックリ!さらにパンフレットを見たら、
表紙のイラストが、なんと、人気漫画家の落合ヒロカズさん!なんと贅沢な高校演劇なんでしょう。なんだかワクワクしてきました。
高校生の熱い夏は甲子園だけではないんですね。演劇高校生の熱い夏にエールを送りたいと思います。
私が好きな江戸時代を扱った時代小説を読むと、暑気払いにみりんを飲むシーンがよく登場します。
私も、甘いみりんをいただいて暑い夏を乗り切ろうと思います。
あなたは、みりん系?それともしょうゆ系?
8月31日産経新聞
高校生が魅了 味な舞台
流山「白みりん」、野田「しょうゆ」テーマの青春劇
流山市で200年前に誕生した「白みりん」、野田市特産の「しょうゆ」の味と、高校生の姿を重ねた2つの青春劇が30日、
「白みりん200周年高校演劇公演」(産経新聞社千葉総局後援)として流山市加の市文化会館で上演された。
どちらも食にこだわりを持つ流山市在住のシナリオライター、青木健生さん(39)が書き下ろした地域密着のオリジナル劇で、
約600人がそれぞれ約1時間の2部構成の舞台を楽しんだ。
31日には野田市の「欅のホール」で公開される。(江田隆一)
■2つのストーリー
長い醸造の歴史で結ばれた流山市と野田市。
平成20年創立の流山おおたかの森高校と18年創立の野田中央高校も2つの伝統校が合併して誕生、演劇が盛んなんことなど共通点が多く、
「流山が白みりん、野田がしょうゆをテーマにした合同公演をしてほしい」という流山市教育委員会の提案に両校演劇部のメンバーは大賛成。
世界に誇る2つの醸造調味料が題材のユニークな舞台が実現した。
等身大の高校生が演じるファンタジー風、ミュージカル風になったのはメンバー自身の発案という。
公演前半は流山おおたかの森高校演劇部の「白き魔術の継承者」。アニメの世界そのままの舞台で、市内に実在する飲食店の名も飛び出す
コミカルな会話のテーマは、うな丼のおいしさと白みりんの隠し味。進路に悩む内気な男子高校生が選んだのは料理の道だった。
後半の野田中央高校のミュージカル劇「SHOU-TIME!(ショータイム)」は、世界の食卓で活躍するしょうゆのようなスターを目指す少女と
周囲の人たちとの心温まる物語。
挿入歌の歌詞は野田でつくられている濃口しょうゆと関西風の薄口しょうゆの対比で、しょうゆは舞台でも出演者を引き立てさせる名脇役となった。
野田の町の様子もさりげなく盛り込まれた。
最後は前後半2つのストーリーがひとつになり、オリジナル曲「流れゆくノダ」を出演者が合唱してステージを締めくくった。
流山おおたかの森高校演劇部の井上芹菜部長=2年=は「登場人物の心を伝えたい」、
野田中央高校演劇部の吉村彩部長=2年=は「歌も踊りもしっかり練習した」として臨んだ公演には大きな拍手が上がった。
若さあふれる舞台に、流山おおたかの森高校演劇部を指導する中村槙一郎教諭(28)は
「若者の身近な問題の中に食文化や地域の歴史を組み入れた舞台になった」。
野田中央高校演劇部を指導する石山清貴教諭(53)は「演劇に魅力を感じる若者が増えてる。
こうした公演で演劇を身近に感じる人が増えてほしい」と話している。
■白みりん
江戸後期の文化11(1814)年、流山市内の醸造家・堀切紋次郎が従来の色の濃いみりんを改良して誕生。現在は「本みりん」として引き継がれ、流山市内で製造が続いている。隣接の野田市で製造されるしょうゆとともに日本の食文化を支えている。
■きょう「野田公演」
野田公演は31日午後4時から野田市中野台の「欅のホール・小ホール」(TEL04-7123-7809)。定員は330人。入場無料。
8月31日千葉日報
特産調味料テーマに創作劇
流山みりん 野田しょうゆ地元高校生が舞台熱演
流山のみりん、野田のしょうゆ。地域を代表する調味料を題材にした高校生によるオリジナル演劇の公演が30日、流山市文化会館で開かれ、
市民ら約300人が若さあふれ、ご当地の話題も随所に取り入れた舞台を楽しんだ。
同市発祥の白みりん誕生200年を記念して、県北西部に位置する県立流山おおたかの森高校と県立野田中央高校の演劇部がそれぞれ舞台を創作。同市在住の脚本家、青木健生さんによる書き下ろし新作に夏休み返上で向き合った。
両校で合同合宿も行い、交流を図った。
流山おおたかの森高校は、卒業後の進路に悩む男子高校生が、和食の料理人になることを決意するまでを描く「白き魔術の継承者」を上演。
アニメやゲームの世界観を意識したファンタジーの要素を絡めながら、流山とみりんの関わりを楽しく伝えた。
部長の井上芹菜さん(16)は「お客さんからの反応が嬉しかった」と充実した表情で話した。
野田の名産しょうゆを題材にした野田中央高校は、ミュージカル仕立ての「SHOU-TIME(ショータイム)」を発表。
女優を目指す女子高生が周囲の支えを受けながら夢に向かって歩んでいく物語。歌やダンスを取り入れた華やかな作品で、
ラストの大群舞は圧巻だった。
主人公を演じた部長の吉村彩さん(17)は「動きの多い役でしたが、思いっきりやれました」と話した。