文楽 秋の地方巡業・昼の部 @ 仙台
【文楽解説=幸助さん】
文楽の公演で、この方が舞台に登場するたびに「ああ、この人に似ているNHKのアナウンサーがいたよなぁ。なんて名前だっけ?」と思っていました。というわけで、勝手に「NHKの人」と心の中であだ名を付けていました。普段は無言の人形遣いさんだけに、お声を聞いたのは、今日が初めてでしたが、しゃべっても、やっぱり、「NHKの人」っぽかった!
幸助さん、祖父、父から続く3代目のわりに、イントネーションまで完璧な標準語。住師匠、さすがに人形遣いにまで大阪言葉を強要しないでしょうが、「訛っている」と嫌味ぐらいはいいそうだなぁ。
地方公演の文楽解説は、無言のうちに「ウケをとってなんぼ」というプレッシャーがかかっているそうです。幸助さんもNHKの人らしい折り目正しいお話の中に、笑いどころを織り交ぜて、名解説でした。
ただ、恐らく、「ここはドッと沸く」とお考えだったのに、不発だったところが1つ。人形遣いの仕事について「かつては、足10年、左10年などと申しましたが、今はそれどころではありません。足20年、左15年。なんで、そんなに頑張るんでしょうねぇ。忍耐強いんだか、Mなんだか微妙ですねぇ?」……。定期公演よりも、さらに、年齢層がグッとアップしている地方巡業、おばあちゃま、おじいちゃま方には、イマイチ、「M」が通じてませんでした。
【卅三間堂棟由来】
後白河上皇の頭痛の原因となっていた髑髏をまつるため、柳の大木を切って、棟木として三十三元堂を建立することになった。柳の木は、「お柳」という女に化身して、かつて伐り倒されそうになったところを助けてくれた平太郎と夫婦となり、子どもも設けていたが、今度こそ、伐られることは避けられず、永久の別れ…。
悲しいけれど、美しい物語。初めて見ましたが、とってもファンタジックでステキでした。しかし、「床はお年を召している人の方が楽しいですなぁ」と、実感。中は吉穂さん、奥は呂勢さんがそれぞれ一人語りだったのですが、「聞きとらなきゃ!」と必至になってしまい、ちょっと疲れました。(でも、清治さんの三味線には泣けました!)まぁ、会場が国立劇場より2倍か3倍ぐらいの広さで声が拡散してしまう分、一段と過酷だったとは思いますが…。
私、吉穂さんの声が、本当に、大好きなのですが、やはり、まだ、一人で語るにはキツいなぁという感じ(今回も、夜の部の日高川はすごく楽しかった!)。決済日30年後の先物で買っておきます。たぶん、その頃、「切り場は吉穂!」の時代になっていると信じてます。
【本朝廿四孝】
めちゃめちゃ楽しかった~! こういう素晴らしいものに出会えたことに、本当に感謝したくなります。
地方の人にも「口上」を見せようという企画で、廿四孝に先立って、今さらながら清十郎さんの襲名披露。呂勢さん、勘十郎さま、簑師匠、清十郎さんと、ごくごく小規模ではありましたが、おごそかな雰囲気でよかったです。
そして、清十郎・八重垣姫は、本当に可憐で、一途。昨年の本公演で遣われた時よりも、グッと可愛らしさが増した印象でした。簑助師匠の腰元濡衣、勘十郎さまの勝頼と、子弟トリオは息も合っていて素晴らしかったです。それに、床には嶋師匠が登場して、肩の力を抜いて、聴きいることができました。(我がままを言えば、簑師匠、もっと、出番いっぱいあってほしかった!)
でも、やっぱり、見どころは、最終盤、八重垣姫が狐憑きになる場面です。
勝頼を終えた勘十郎さまが、今度は、出遣いで清十郎さんの左に入られたのです。もう、私的には、一挙にテンションアップ!!! 本公演での清十郎さん襲名披露の時にもこの場面があり、その時も感動しましたが、もう一度、この場面を見られるなんて、ああ、生きててよかった~。もう、そこからは、ドキドキしっぱなし。なんか、気迫が伝わってきて涙がでちゃう…。やっぱり、トランス状態が本当にトランスに見える人って限られているよなぁ…と改めて思いました。
ところで、奥庭狐火の段の出だしのあたり、若干、床が怪しかったような…。気のせいでしょうか? でも、演出的におどろおどろしい音ではなくて、誰かがズレていて気持ち悪い音だったような気がしました。
【文楽解説=幸助さん】
文楽の公演で、この方が舞台に登場するたびに「ああ、この人に似ているNHKのアナウンサーがいたよなぁ。なんて名前だっけ?」と思っていました。というわけで、勝手に「NHKの人」と心の中であだ名を付けていました。普段は無言の人形遣いさんだけに、お声を聞いたのは、今日が初めてでしたが、しゃべっても、やっぱり、「NHKの人」っぽかった!
幸助さん、祖父、父から続く3代目のわりに、イントネーションまで完璧な標準語。住師匠、さすがに人形遣いにまで大阪言葉を強要しないでしょうが、「訛っている」と嫌味ぐらいはいいそうだなぁ。
地方公演の文楽解説は、無言のうちに「ウケをとってなんぼ」というプレッシャーがかかっているそうです。幸助さんもNHKの人らしい折り目正しいお話の中に、笑いどころを織り交ぜて、名解説でした。
ただ、恐らく、「ここはドッと沸く」とお考えだったのに、不発だったところが1つ。人形遣いの仕事について「かつては、足10年、左10年などと申しましたが、今はそれどころではありません。足20年、左15年。なんで、そんなに頑張るんでしょうねぇ。忍耐強いんだか、Mなんだか微妙ですねぇ?」……。定期公演よりも、さらに、年齢層がグッとアップしている地方巡業、おばあちゃま、おじいちゃま方には、イマイチ、「M」が通じてませんでした。
【卅三間堂棟由来】
後白河上皇の頭痛の原因となっていた髑髏をまつるため、柳の大木を切って、棟木として三十三元堂を建立することになった。柳の木は、「お柳」という女に化身して、かつて伐り倒されそうになったところを助けてくれた平太郎と夫婦となり、子どもも設けていたが、今度こそ、伐られることは避けられず、永久の別れ…。
悲しいけれど、美しい物語。初めて見ましたが、とってもファンタジックでステキでした。しかし、「床はお年を召している人の方が楽しいですなぁ」と、実感。中は吉穂さん、奥は呂勢さんがそれぞれ一人語りだったのですが、「聞きとらなきゃ!」と必至になってしまい、ちょっと疲れました。(でも、清治さんの三味線には泣けました!)まぁ、会場が国立劇場より2倍か3倍ぐらいの広さで声が拡散してしまう分、一段と過酷だったとは思いますが…。
私、吉穂さんの声が、本当に、大好きなのですが、やはり、まだ、一人で語るにはキツいなぁという感じ(今回も、夜の部の日高川はすごく楽しかった!)。決済日30年後の先物で買っておきます。たぶん、その頃、「切り場は吉穂!」の時代になっていると信じてます。
【本朝廿四孝】
めちゃめちゃ楽しかった~! こういう素晴らしいものに出会えたことに、本当に感謝したくなります。
地方の人にも「口上」を見せようという企画で、廿四孝に先立って、今さらながら清十郎さんの襲名披露。呂勢さん、勘十郎さま、簑師匠、清十郎さんと、ごくごく小規模ではありましたが、おごそかな雰囲気でよかったです。
そして、清十郎・八重垣姫は、本当に可憐で、一途。昨年の本公演で遣われた時よりも、グッと可愛らしさが増した印象でした。簑助師匠の腰元濡衣、勘十郎さまの勝頼と、子弟トリオは息も合っていて素晴らしかったです。それに、床には嶋師匠が登場して、肩の力を抜いて、聴きいることができました。(我がままを言えば、簑師匠、もっと、出番いっぱいあってほしかった!)
でも、やっぱり、見どころは、最終盤、八重垣姫が狐憑きになる場面です。
勝頼を終えた勘十郎さまが、今度は、出遣いで清十郎さんの左に入られたのです。もう、私的には、一挙にテンションアップ!!! 本公演での清十郎さん襲名披露の時にもこの場面があり、その時も感動しましたが、もう一度、この場面を見られるなんて、ああ、生きててよかった~。もう、そこからは、ドキドキしっぱなし。なんか、気迫が伝わってきて涙がでちゃう…。やっぱり、トランス状態が本当にトランスに見える人って限られているよなぁ…と改めて思いました。
ところで、奥庭狐火の段の出だしのあたり、若干、床が怪しかったような…。気のせいでしょうか? でも、演出的におどろおどろしい音ではなくて、誰かがズレていて気持ち悪い音だったような気がしました。