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おんらく館~のこぎりものには福がある~

のんびり・ぼちぼち・気の向くままに・・・

自分だけのアクションドライバーをつくろう!

2018-02-12 | 調律
調律師協会の技術研修会

「自分だけのアクションドライバーをつくろう!」というタイトルどおり、ドライバーを作る、という内容でした。

会場はプロミティー厚木




アップライトピアノのハンマーを土台に固定している「バット」というパーツ、これの付け外しというのは案外多いのですが、手前にジャックというパーツが覆いかぶさっていていつも難儀します。

今回はこれに特化したドライバー(勿論他の用途にも対応します)を作りました。


昨年秋に新木場の合板資料館に見学に行った際に、一部メンバーが既にこのドライバーの柄の木材を買出しに行ってました。
僕はそのとき漫画家の荒川三喜夫さんと待ち合わせの約束をしていたので買出しには参加できませんでしたが。。

そう、この時から今回の準備は始まっていました。


講師は同じ会員で、ひびきピアノ工房を立ち上げ、チューニングハンマーなどを作成している北村さん。

今回のために買い込んだ木材を柄の形に加工して、ドライバーも用意して、資料を作成して、と大変な準備をなさってくださいました。



市販のドライバー、プラス、マイナスそれぞれをまず壊すところから始めます。
柄を壊して軸だけにして、加工してオリジナルの柄に取り付けます。


プラスのほうはプラスチックの柄で、壊すのも簡単、そして柄の中の出っ張りを軽く削ってあとは差し込むだけ。比較的簡単な作業です。


ところがマイナスは、まず柄の破壊が大変でした。
電気工作用の軟質素材表面にまいた丸い形の柄で、これを壊すので僕を含め全員が四苦八苦!
後半に慣れた人があっという間に外しているのを見て、先にこれを見ていれば・・・と思いつつ感心してしまいました。

そして次は軸の加工ですが、まず先端を少し短くした上で、厚さと角度をグラインダーで加工します。

固定式のグラインダーを使って削っていきますが、今回北関東のメンバーが数名グラインダーを始めとする工作機械を持参して参加してくれて、おかげで大勢で作業が出来て大変助かりました。



この写真はもう終盤になって、みんな余裕が出来た中でわいわいやっているところ。


そして軸の加工ですが、もともとの軸がかなり太いので先端の形も独特のヘラのような形に加工しつつ径が細くなるようにひたすら削っていきます。

これがまた時間のかかる作業でした。

そして出来上がった2本。



我ながらなかなか良い出来です。(^^)

今度の週末に修理で使う予定なのでじっくり効果を検証したいと思います。
今日もちょっとしたところで使いましたが、感触は良かったです。


作業終了後は近くの居酒屋で懇親会。

ほとんどのメンバーが参加して、2次会まで大変盛り上がりました。
(今回本当は1次会で帰るつもりだったんですが、誘惑には勝てませんね。。苦笑)



毎回参加するたびに思いますが、この自分がいる3班はベテランから若手まで皆さん気さくで仲良くてとても居心地が良いです。


今回も一緒に作業できたこと、飲んでおしゃべりできたこと、全てに感謝です。


ただちょっと飲みすぎたな。。(笑)











ダンパー修理

2018-02-06 | 調律
ダンパーって、右のペダル、つまり止音に関するパーツです。

簡単に言うと、ダンパーフェルトというものは常に一つ一つ全ての音を押さえて鳴らないようにしています。
そして叩いた鍵盤のみそのフェルトも弦から離れて音が出せるようになります。

右のペダルを踏むとダンパーフェルトが一斉に離れて全ての弦を響かせます。

そのフェルトが劣化したりずれたりすると止音がちゃんと出来なくなって音が残ったりして気になります。
これは音が狂うより気になります。実は。。。



という説明をした後ですが、今回の修理はそこではありません。(笑)


鍵盤を押すと、打弦ハンマーが動くのと同時にダンパーの方も動かします。

その連動部分にフェルトが使われていますが、そこが磨り減ってしまっていてタッチがおかしくなっていたのでそのフェルトの交換でした。



中央の穴が開いたりしてるのが古いフェルト。

穴が開いてしまっているので、一瞬そこで部品が引っかかってゴツッという違和感がありました。


思ったより時間がかかってしまいましたが、張替え後調整をして弾いてみたら思った以上に滑らかなタッチに改善されました。



些細なことでもずい分変わりますね。













材木・合板博物館見学会

2017-10-26 | 調律
あいにくの天気でしたが、昨日新木場にある「材木・合板博物館」というところに行ってきました。

これは自分が入っている調律師協会の会合の一つ、レクリエーションとして企画されたものです。

日ピの会合、通常の研修会は会員対象ですが、今回はレクリエーションということで、一般参加も無料でOKだったので山、樹木に興味のある妻にも声をかけまして、更に漫画家の荒川三喜夫さんにも声をかけました。

荒川さんは調律師を主人公にした「ピアノのムシ」の作者です。

この漫画が調律ウンチクものとしても大変優れておりまして、僕も「ほぉ~」と感心しながら読ませてもらってます。

折角なので気になっていたことをいろいろずけずけと質問させていただきましたが、みな丁寧にお答えいただきました。
製作の裏側はこんなだったのかー!!というのがいろいろ聴けて大変有意義でした。


材木会館は、入場無料の施設ですが、団体予約をしていたからでしょう、スライド上映による木材の説明


ヒノキのかつらムキの実演見学(剥いたものはいただいてきました(^^))


などのオプション付き♪


興味深いところもいろいろあったのですが、昨日の中では音につながるところがあまり見出せず、荒川さんにいろいろ聴きたい!が先走っていたので見学会としてはちょっと中途半端に終わってしまった感もありました。

ただ周囲に材木屋さんがたくさんあって、お店めぐりも面白かろうと思うので、いずれ(今度は天気の良い日に)また出かけてみたいという気はあります。


展示室入り口のさまざまな木の断面。


ジオラマ


そしてお楽しみの飲み会。

外の調律師さんのいろんな話を聞く、というのがそもそも楽しみなんですが、漫画家先生がいる!ということで更に面白い体験談を聞けました。
いずれ漫画で何らかの形で採用されてたら嬉しいですね。(笑)











戦前のピアノ

2017-07-05 | 調律
今日うかがったお宅のピアノ



申し込みの中に「戦前のピアノです」とありましたが、製造番号から検索したら昭和14年製。本当に戦前ものでした!78年前!!

聞くと10年くらい倉庫に仕舞ってあって、その前はいつ調律したか分からないとのこと。

鳴らしてみると既に音階になってない・・・(^^;)

低音弦が何本か張り替えてあり、現在半音くらい下がっている。
調律の最中に弦が切れるかもしれません。とお断りさせていただいてから作業開始。


驚くことにピンズル(チューニングピンのトルクが足りなくて音が止まらない状態)が1本もなく、またダンパーフェルトもしっかり止音している。

幸い弦が切れることもなかった。
ちなみに最高音はラの音で85鍵。

アクションと鍵盤を外していつものように掃除をする。



パンチングフェルトは虫食いがひどかったけどあいにく持ち合わせがなかったし別料金になるので、次回の交換をお勧めだけしておきました。

左のソフトペダルの突き上げ部分。



この構造は初めて見ました!


アクションも特に問題なく、昔のヤマハの技術力と確かさに改めて敬服です。
更に昔のピアノは内部まで丁寧に加工して仕上げてあるので見ていて気持ちいいです。

調律終わって、我ながらここまで普通に弾けるようになるとは思いませんでした。(笑)
まだ20~30年くらい使えるんじゃないかしら。

ヤマハのピアノ、おそるべし!!











ユニゾン

2017-06-22 | 調律
日曜日のお話

サンリオの翌日は、調律師協会の研修会でした。
今回はユニゾンがテーマ。

まずその「ユニゾン」とは?ということで検索してみました。

大辞林 第三版の解説
ユニゾン【unison】
〘音〙
①同じ高さの音。広義には、一オクターブ異なる音もさす。
②同じ高さの二音が形成する音程。一度。同度。
③斉唱。斉奏。

これが一番一般的に分かりやすいかな、と思いまして。。。

で、これをピアノ調律に当てはめて考えますと、
ピアノの中音部以上は一つの音に対して3本弦が張ってあります。低音は1~2本が多いです。
この3本の弦が同じ高さでないと唸りというものが生じ、「この音狂ってるね」ということになります。

で、一般的に調律は、この「唸り」を0にして「キレイな音にしましょう」という感じになります。

今回の研修はデジタルチューナーを使って、その「唸り」(つまりズレですね)を視覚化しましょう。というものでした。
これはこれで面白いし、なんと言っても現在の科学技術力には本当に脱帽です。。。

一応お断りしておきますが、デジタルチューナーで調律をしましょう。という方向の話ではありません。

会場にあったグランドピアノを使用して中音2オクターブを使い、現在のユニゾン状態を参加者に良い悪いをを判定してもらい、ベストワーストの測定値のズレ(セントで測定)を数値化して間隔と数値をすり合わせる。
そのようなことをしました。


ただ、良い音というのはそれだけじゃないんですよね。

僕もまだまだ勉強中ではありますが、ただ唸りをなくすだけじゃ「つまらない」音になってしまいます。これは経験上の意見です。

研修自体ももちろん得るところがいろいろあって面白いのですが、それ以上に参加している調律師さんたちに実際のところどう思っているのか尋ねてみる方に興味があります。
そんな中にこそヒントが隠されていると思っています。

そんなわけで、もちろん研修会後の懇親会(という名の飲み会)には参加!

自分が入った班は年配のベテラン調律師さんが元気で参加率が高いのが幸運でした!


懇親会の前の班会議にも初めて参加しましたが、今後やりたいテーマというのをいくつか提案されたのですが、どれも面白そうで、今後の研修もますます楽しみです。(^^)