日本語の「は」と「が」について。

象は鼻が長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
とりあえず「三上文法」を「批判」します。

(611)「述語論理の公理(の4分3)」は「命題論理の定理」である。

2020-05-12 14:12:59 | 論理

(01)
述語論理の公理系は次のように与えられる。ここにP,Q,Rは任意の論理式とする。
― 述語論理の公理系 ―
A1: P→(Q→P)
A2:(P→(Q→R))→((P→Q)→(P→R))
A3:(~P→~Q)→((~P→Q)→P)
A4:∀xP[x]→P[y]
  P[x]はPが論理変項xもつことを意味し、P[y]はP[x]のxをyにかえた論理式を意味する。
(長尾真・淵一博、論理と意味、1983年、59頁)
然るに、
(02)
A1:
1     (1)  P      A
1     (2) ~Q∨ P   A
 3    (3)  Q&~P   A
  4   (4) ~Q      A
 3    (5)  Q      3&E
 34   (6) ~Q&Q    45&I
  4   (7)~(Q&~P)  36RAA
   8  (8)     P   A
 3    (9)    ~P   3&E
 3 8  (ア)  P&~P   89&I
   8  (イ)~(Q&~P)  3アRAA
1     (ウ)~(Q&~P)  2478イ∨E
    エ (エ)  Q      A
     カ(カ)    ~P   A
    エカ(キ)  Q&~P   エカ&I
1   エカ(ク)~(Q&~P)&
          (Q&~P)  イキ&I
1   エ (ケ)   ~~P   カクRAA
1   エ (コ)     P   ケDN
1     (サ)   Q→P   エコCP
      (シ)P→(Q→P)  1サCP
A2:
1  (1) P→(Q→R)     A
 2 (2) P→ Q        A
  3(3) P           A
1 3(4)    Q→R      13MPP
 23(5)    Q        23MPP
123(6)           R      45MPP
12 (7)      P→R    36CP
1  (8)(P→Q)→(P→R)  27CP
   (9)(P→(Q→R))→
     ((P→Q)→(P→R)) 18CP
A3:
1  (1) ~P→~Q    A
 2 (2) ~P→ Q    A
  3(3) ~P       A
1 3(4)    ~Q    13MPP
 23(5)     Q    23MPP
123(6)  ~Q&Q    45&
12 (7)~~P       36RAA
12 (8)  P       7DN
1  (9)(~P→Q)→P
   (ア)(~P→~Q)→
     ((~P→Q)→P) 19CP
従って、
(02)により、
(03)
① ├  P→(Q→P)
② ├(P→(Q→R))→((P→Q)→(P→R))
③ ├(~P→~Q)→((~P→Q)→P)
といふ「連式」は、「妥当」である。
然るに、
(04)
定理とは仮定の数ゼロの証明可能な連式の結論である。― 中略 ―
興味のある定理の大ていのものは、事実上 CPを適用することによって導かれる。たとえば、
38 ├ P→P
 1(1)P A
  (2)P→P 1,1CP
(E.j.レモン 著、竹尾治一郎・楢英 訳、1973年、64頁)
従って、
(04)により、
(05)
④ ├ P→P(同一律)
がさうであるやうに、
① ├  P→(Q→P)
② ├(P→(Q→R))→((P→Q)→(P→R))
③ ├(~P→~Q)→((~P→Q)→P)
といふ「仮定の数ゼロの証明可能な連式の結論」は、「3つとも、定理(恒真式)」である。
従って、
(01)(05)により、
(06)
― 述語論理の公理系 ―
A1: P→(Q→P)
A2:(P→(Q→R))→((P→Q)→(P→R))
A3:(~P→~Q)→((~P→Q)→P)
A4:∀xP[x]→P[y]
といふ「述語論理の、4つの公理」の内の「3つ」は、「命題論理恒真式」である。


(610)「苛政猛於虎也」の「否定」の「述語論理」。

2020-05-12 12:16:21 | 漢文・述語論理

(01)
夫子曰「少子識之。苛政猛於虎也。」
夫子曰く「少子之を識せ。苛政は虎よりも猛なり。」と、
孔子は(門人たちにむかって)言った。「おまえたち、このことよく覚えておきなさい。きびしい政治は、(人間を食い殺す)虎よりも恐ろしものなのだ。」
(赤塚忠・遠藤哲夫、漢文の基礎、1973年、52頁)
(02)
 ―「含意の定義(公式)」と「ド・モルガンの法則(公式)」を用ひずに、わざと「複雑な計算」をします。―
(ⅰ)
1           (1)~∀x∀y{(苛政x&虎y)→ 猛xy}    A
1           (2)∃x~∀y{(苛政x&虎y)→ 猛xy}    1量化子の関係
1           (3)∃x∃y~{(苛政x&虎y)→ 猛xy}    2量化子の関係
 4          (4)  ∃y~{(苛政a&虎y)→ 猛ay}    A
  5         (5)    ~{(苛政a&虎b)→ 猛ab}    A
   6        (6)     ~(苛政a&虎b)∨ 猛ab     A
    7       (7)      (苛政a&虎b)&~猛ab     A
     8      (8)     ~(苛政a&虎b)          A
    7       (9)      (苛政a&虎b)          7&E
    78      (ア)     ~(苛政a&虎b)&(苛政a&虎b) 89&I
     8      (イ)    ~{(苛政a&虎b)&~猛ab}    7アRAA
      ウ     (ウ)                猛ab     A
    7       (エ)               ~猛ab     7&E
    7 ウ     (オ)           猛ab&~猛ab     ウエ&I
      ウ     (カ)    ~{(苛政a&虎b)&~猛ab}    7オRAA
   6        (キ)    ~{(苛政a&虎b)&~猛ab}    68イウカ∨E
       ク    (ク)      (苛政a&虎b)          A
        ケ   (ケ)               ~猛ab     A
       クケ   (コ)      (苛政a&虎b)&~猛ab     クケ&I
   6   クケ   (サ)    ~{(苛政a&虎b)&~猛ab}&
                    {(苛政a&虎b)&~猛ab}    キコ&I
   6   ク    (シ)              ~~猛ab     ケサRAA
   6   ク    (ス)                猛ab     クRAA
   6        (セ)      (苛政a&虎b)→ 猛ab     クスC(苛政a&虎b)
  56        (ソ)    ~{(苛政a&虎b)→ 猛ab}&
                    {(苛政a&虎b)→ 猛ab}    5セ&I
  5         (タ)   ~{~(苛政a&虎b)∨ 猛ab}    6ソRAA
         チ  (チ)    ~{(苛政a&虎b)&~猛ab}    A
          ツ (ツ)     ~(苛政a&虎b)          A
          ツ (テ)     ~(苛政a&虎b)∨ 猛ab     ツ∨I
  5       ツ (ト)    ~{(苛政a&虎b)∨ 猛ab}&
                    {(苛政a&虎b)∨ 猛ab}    タテ&I
  5         (ナ)    ~~(苛政a&虎b)          ツトRAA
  5         (ニ)      (苛政a&虎b)          ナDN
           ヌ(ヌ)                猛ab     A
           ヌ(ネ)     ~(苛政a&虎b)∨ 猛ab     ヌ∨I
  5        ヌ(ノ)    ~{(苛政a&虎b)∨ 猛ab}&
                    {(苛政a&虎b)∨ 猛ab}    タネ&I
  5         (ハ)               ~猛ab     ヌノRAA
  5         (ヒ)      (苛政a&虎b)&~猛ab     ニハ&I
  5      チ  (ヘ)    ~{(苛政a&虎b)&~猛ab}&
                    {(苛政a&虎b)&~猛ab}    チヒ&I
  5         (ホ)   ~~{(苛政a&虎b)&~猛ab}    チヘRAA
  5         (マ)      (苛政a&虎b)&~猛ab     ホDN
  5         (ミ)   ∃y{(苛政a&虎y)&~猛ay}    5EI
 4          (メ)   ∃y{(苛政a&虎y)&~猛ay}    45ミEE
 4          (モ) ∃x∃y{(苛政x&虎y)&~猛xy}    メEI
1           (ヤ) ∃x∃y{(苛政x&虎y)&~猛xy}    14モEE
(03)
 ―「普通」に「計算」します。―
(ⅱ)
1   (1) ∃x∃y{(苛政x&虎y)&~猛xy} A
 2  (2)   ∃y{(苛政a&虎y)&~猛ay} A
  3 (3)      (苛政a&虎b)&~猛ab  A
   4(4)      (苛政a&虎b)→ 猛ab  A
  3 (5)      (苛政a&虎b)       3&I
  34(6)                猛ab  45MPP
  3 (7)               ~猛ab  3&E 
  34(8)           猛ab&~猛ab  67&I
  3 (9)    ~{(苛政a&虎b)→ 猛ab} 48RAA
  3 (ア)  ∃y~{(苛政a&虎y)→ 猛ay} 9EI
 2  (イ)  ∃y~{(苛政a&虎y)→ 猛ay} 23アEE
 2  (ウ)∃x∃y~{(苛政x&虎y)→ 猛xy} イEI
1   (エ)∃x∃y~{(苛政x&虎y)→ 猛xy} 12ウEE
1   (オ)∃x~∀y{(苛政x&虎y)→ 猛xy} エ量化子の関係
1   (カ)~∀x∀y{(苛政x&虎y)→ 猛xy} オ量化子の関係
従って、
(02)(03)により、
(04)
① ~∀x∀y{(苛政x&虎y)→ 猛xy}
②   ∃x∃y{(苛政x&虎y)&~猛xy}
に於いて、すなはち、
① すべてのxとすべてのyについて{xが苛政であってyが虎であるならば、xはyよりも猛である。}といふことはない。
②   あるxと  あるyについて{xは苛政であってyは虎であって、  xはyよりも猛ではない。}
に於いて、
①=② である。
従って、
(01)~(04)により、
(05)
① ~(苛政は虎よりも猛なり。)
② (ある苛政は、必ずしも、虎よりも猛ではない。)
に於いて、
①=② である。
(06)
 ―「計算(02)」を、「含意の定義」と「ド・モルガンの法則」を用ゐて行ふと、次のやうに「簡単」になります。―
(ⅰ)
1  (1)~∀x∀y{ (苛政x&虎y)→ 猛xy} A
1  (2)∃x~∀y{ (苛政x&虎y)→ 猛xy} 1量化子の関係
1  (3)∃x∃y~{ (苛政x&虎y)→ 猛xy} 2量化子の関係
 4 (4)  ∃y~{ (苛政a&虎y)→ 猛ay} A
  5(5)    ~{ (苛政a&虎b)→ 猛ab} A
  5(6)    ~{~(苛政a&虎b)∨ 猛ab} 5含意の定義
  5(7)       (苛政a&虎b)&~猛ab  6ド・モルガンの法則
  5(8)    ∃y{(苛政a&虎y)&~猛ay} 7EI
 4 (9)    ∃y{(苛政a&虎y)&~猛ay} 458EE
 4 (ア)  ∃x∃y{(苛政x&虎y)&~猛xy} 9EI
1  (イ)  ∃x∃y{(苛政x&虎y)&~猛xy} 14アEE
(07)
(ⅰ)
1  (1)~∀x∀y{ (苛政x&虎y)→ 猛xy} A
1  (2)∃x~∀y{ (苛政x&虎y)→ 猛xy} 1量化子の関係
1  (3)∃x∃y~{ (苛政x&虎y)→ 猛xy} 2量化子の関係
 4 (4)  ∃y~{ (苛政a&虎y)→ 猛ay} A
  5(5)    ~{ (苛政a&虎b)→ 猛ab} A
  5(6)    ~{~(苛政a&虎b)∨ 猛ab} 5含意の定義
  5(7)       (苛政a&虎b)&~猛ab  6ド・モルガンの法則
  5(8)    ∃y{(苛政a&虎y)&~猛ay} 7EI
 4 (9)    ∃y{(苛政a&虎y)&~猛ay} 458EE
 4 (ア)  ∃x∃y{(苛政x&虎y)&~猛xy} 9EI
1  (イ)  ∃x∃y{(苛政x&虎y)&~猛xy} 14アEE
といふ「計算」の、
  5(5)    ~{ (苛政a&虎b)→ 猛ab} A
  5(6)    ~{~(苛政a&虎b)∨ 猛ab} 5含意の定義
  5(7)       (苛政a&虎b)&~猛ab  6ド・モルガンの法則
の「部分」は、
  5(5)    ~{ (P&Q)→ R} A
  5(6)    ~{~(P&Q)∨ R} 5含意の定義
  5(7)       (P&Q)&~R  6ド・モルガンの法則
と「同じ」であるため、実質的には、「述語計算」ではなく、「命題計算」である。
従って、
(07)により、
(08)
「述語計算の基礎」にあるのは、「命題計算」であって、そのため、「述語論理」は「命題論理の拡張」である。