杉浦 ひとみの瞳

弁護士杉浦ひとみの視点から、出会った人やできごとについて、感じたままに。

・広島少年院での虐待事件~怒ったのは他の少年院関係者

2009-05-24 14:42:11 | 虐待
この5月16日に、驚いた報道がありました。

「広島少年院暴行を地検捜査、教官4人関与か…オムツ強制も」というタイトルの見出しをみて、何事か想像もできないくらいでした。
その内容は、
 広島少年院(広島県東広島市)で複数の法務教官が、収容されている少年らに暴行を加えていたということが発覚し、広島地検が特別公務員暴行陵虐容疑で捜査を始めたことなのですが

 捜査関係者によれば、内部告発があり、法務省矯正局が4月下旬、教官4人が暴行に関与したと、地検に報告したということです。

 その内容たるや、同少年院で、2008年度、主にこの4人が約50人の少年に対して100件前後の暴行を加えていたことが判明。
顔を殴るなどの肉体的な暴行や、トイレに行かせず失禁させるなどの虐待とみられる行為が、同省の調査で確認されている。
 また、うち1人の少年(17)に強制的にオムツをはかせたことも明らかになった。少年の家族によると、少年は昨年9月に収容された後、トイレを汚したことを教官から指摘され、風呂場でオムツをはくよう命じられた。少年が拒むと腹部を数回けられたうえ、シャワーで水をかけられ、無理やりはかされた

というのです。


このニュースが流れて、私もその事実に驚きましたが、私の周りでもっとも激しい怒りをあらわにしていたのは、現・元少年院関係者の方たちでした。
存じ上げている方は、皆、一様に慚愧に耐えない悔しさを文字にしていらっしゃるのを見ています(その関係のMLにおいてです)。特にオムツを使ったという子どもの尊厳性を根底から覆すような行為には、文字を読むだけでも拳を握りしめていらっしゃる関係者の様子が伝わってくるようでした。

その方たちが、どのような思いで少年院で子どもたちと関わってきたか、子どもたちが立ち直ることを考え労も時間も惜しまずに少年院での仕事に打ち込んでこられたかが、よく分かりましえた。

今回の広島少年院の事件は本当に少年司法にあってはならないことですが、少年院がすべて
「ま、こんなこと」
でないことだけは、私の知っている限りで弁明したいと思いました。




(2009年5月16日15時06分 読売新

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2 コメント

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Unknown (あんのん)
2009-07-20 20:55:54
事件の背景には、4年前にあの少年院に導入された教育体制、プログラムにあります。欧米の最新プログラムというふれこみで、中身は異常な行動規制を行ったり、グランドを何百周も走らせたり・・・。都合のいいデータだけを取り上げて再犯率0パーセントと言うまやかしを社会に吹聴したりもしていました。それは、その時転勤してきたある幹部の仕業です。
このような教育体制、プログラムを称賛し、マスコミに紹介した外国かぶれのジャーナリストもいました。そのジャーナリストは暴行、虐待が行われていたはずの昨年の広島少年院の少年の顔つきを見て「やはり外国のプログラムを導入している施設の少年の顔つきは生き生きしている。」と感激したそうです。何が生き生きしているものですか!「教育」ジャーナリストのレベルはそんなものです。

この事件は、異常なプログラムが導入されたことをきっかけに、だんだん指導がエスカレートしていったことが背景にあります。また、そのエスカレートは、外国かぶれジャーナリストの安直な称賛によって強化されたとも言えます。

この事件で、どれだけの職員が傷つき、日々真面目に勤務している多くの職員がどれだけ迷惑しているか!
刑事責任はないにせよ、その背景を作った人物の道義的責任は重いと考えます。

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真偽を知りたいです ()
2009-07-21 07:17:37
聞き捨てならないお話しですね。
どのようなお立場の、どのような趣旨からのお話しか、こういったブログで匿名のご意見では何とも判断しようがないのですが、そのようなことがあったとすれば大きな問題ですね。

もし、この件で何かご存じの方があれば、この「あんのん」さんのコメントに続けていただけると助かります。
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