杉浦 ひとみの瞳

弁護士杉浦ひとみの視点から、出会った人やできごとについて、感じたままに。

・青少年福祉センターの成人式~長谷場夏雄さんのことば

2012-01-08 22:21:20 | こども
青少年福祉センターの権利擁護委員になって5年になります。
同センターは児童養護施設や自立援助ホーム、知的障がい者グループホームなどを擁する社会福祉法人で
1958年に長谷場夏雄さんが、豊島区の四畳半のアパートの一間でスタートさせた、社会的養護活動の草分け的存在です。

このセンターでは、毎年1月に成人式を催し、在園生、卒園生も含めた成人を、職員や保護者、関係者みんなで祝います。
新成人は、皆晴れの装いに身を包み、壇上で祝ってもらうというセレモニーを
経ることになります。
そして、ひとり一人が施設の職員に紹介をされて挨拶をします。

だれもが、施設の中で迷惑を掛けたことや、友だちとの摩擦、様々な葛藤
について振り返り、そして職員に親身にかかわってくれたことを思い起こすようにことばにしています。

「これからもお世話になるかも知れません、よろしくお願いします」と結ばれるそのことばは
大人として覚えた社交辞令かも知れませんが、現実にも、仕事を失って困ったとき、生活に行き詰まったときなど
職員に連絡をとったり、元いた施設に食事を食べに来たり、施設の近くに住まいを見つけたりしている事実を見ると
自然のうちに、本当に「帰れる家」になっていることが分かります。

自分が望んだわけではないのに親や家庭に恵まれない子たちがいて、その子たちを支える受け皿があることは
本当に大切なことで、ありがたいことだと思います。

この成人式にも参加されていた長谷場さんとお話をしました。
「耳が遠くなってね、あたまのまわりも悪くなってね」などと笑いながら
でも、「子どもはね、思い切りかわいがってあげることだよ。子どもたちは本当にいい子たちばかりなんだよ。」
と語ることばは、長い年月揺るがない信念に裏打ちされた力強さを感じました。

人、ひとり一人を生かすことは、その人にとっても社会にとっても大きな財産です。
社会の財産はこんな発想で作っていくものだと思います。



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