荻野洋一 映画等覚書ブログ

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ムージカ・カタラン(カタルーニャの音楽)その1

2007-05-22 00:58:00 | 音楽・音響
 現在、フランス以外でカイエ派が残存するのは、日本とカタルーニャだけだと斎藤敦子は述べているようだが、『カイエ・デュ・シネマ・エスパーニャ』が創刊された背景にはそうした事情もあるのだろうか。もちろんカタルーニャは厳密には「エスパーニャ」ではないわけだが。

 『イブラ・ダミック』、1980年代を代表するバルセロナの詩人ジョアン・ビニョーリの詩に、やはりバルセロナ現代音楽界を代表する作曲家エルネスト・ボラースがメロディをつけたもので、ソプラノ、メゾソプラノ、バリトン、そしてピアノの3声組曲。『イブラ・ダミック』とは13世紀カタラン貴族で著述家・数学者ラモン・ユイ(Ramon Llull)が人間と神との関係をアレゴリカルに謳った詩『Llibre d'Amic e Amat 』に材をとったものらしい。
 ある意味、ゲルマン的とさえ言える絶対的な音を探求するストイックな、声による彫刻である。静かだがきわめて推進力の強い音楽。
 カタルーニャ芸術にのめり込んだアメリカ人ピアニスト、マック・マクルーアの伴奏も素晴らしく、3人のカタルーニャ人ソリストを、時に個別に、時にグループとしてリードする。

 カンプ・ノウからディアゴナル大通りを東に行ったショップで購入。

 われらは黄金を求め 炭坑奥深くへ下りた
 そして暗闇が ぱっと煌めきに満ちた
 故にわれらは二人 夜を拒み続ける
  ──ジョアン・ビニョーリ

『Llibre d'amic: Lieder』
http://www.columnamusica.com/


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