ちかさんの元気日記

辛いことを乗り越えて元気に生きている私“ちかさん”の
涙と怒りと笑いの介護記録。

ケイコ日記ーその24

2021-02-27 02:35:00 | 日記
ケイコの94年の人生で
いつ、そんな言葉を覚えたのだろうか。
果たして、そんな言葉を発したことがあったのだろうか。

「殺してやる!」

激すると、ケイコはその言葉を頻発するようになった。

8年前にウチに入居してきた頃は
穏やかで、慎み深くて、夫想いで
大きな宗教団体の幹部として
信者から多大なる信頼を寄せられていたはずのケイコ。

レビー小体型認知症という病気のせいだとは思うが
それにしても
暴力と、連発する「殺してやる!」という言葉は
彼女のどこから発せられるのか…
見当もつかない。

医師が血液検査をしようとしても
大暴れするものだからできない。
医師も看護師も、お手上げだ。

グーで殴られ、爪で引っ掻かれ
「殺してやる!」と牙を剥かれ
入浴援助も死に物狂い。
もうあの方のお世話は無理です!と
援助を拒むヘルパーも後をたたない。

実の娘ですら「怖くて会えない」と言うのだから、相当である。

ケアマネージャーは利用者のケアプランを立てるとき
その人のそれまでの人生を聞き取り
生活歴として記録する。

しかしケイコの場合
生活歴をどんなに読んでも
凶暴性や、「殺してやる!」といったキーワードは浮かんでこない。

娘も言う。
「母は真面目で、ひたすら宗教活動に邁進していた人だった」と。

ケイコよ
暴れ馬とかしたケイコよ
あなたの「殺してやる!」はいったいどこから生まれたのだろうか。