桜が思わず「咲いちまおうか!」と思ったであろう
おとといと、その前の日。
偶然にもその2日間、おっさんと私は休みだった。
散歩でもしようか?
いいね。
昼過ぎから、私たちは近くの川のほとりを歩き始める。
空は広く、ひたすら青い。
途中でいったん土手を降り、コンビニで缶チューハイを買う。
一人ならちょっと恥ずかしい散歩飲みも
おっさんと二人なら全然平気だ。
土手に腰を下ろし、まずは乾杯。
前日に一緒に観た映画の話
それぞれの職場にいる変なヤツの話
昔しょっちゅう遊びにきていた、おっさんの、かっこいい友だちの話…
とりとめのない話で、時は静かに流れていく。
再び土手を歩き出し、心の中を甘酸っぱいものが満たす。
短足でオシャレとは無縁。
呆れるくらい本を読み漁り
趣味は折り紙とゴルフ。
時代に取り残された男かと思えば
スマホは私の10倍、使いこなす。
ボケてきたかと心配する一方
昨夜は年金について詳しく、熱く語る。
世間からしたら、恐らく、とんでもなく変なおっさんだろう。
しかし、この散歩で私の傍を歩くおっさんの横顔を見ていて
ふっと寂しさがよぎる。
ああ、私は一人残されちゃうんだね。
アナタが逝っちゃってから、私はこの土手を泣きながら歩くんだね。
なんだか無性に、心細くなる。
こんな変なおっさんんでも、長生きしてほしかったと。
そしてふと我に帰る。
どうして私は
おっさんが先に死ぬことを確信しているのだろうか。
女とは、かくも図々しいものよ。笑