ちかさんの元気日記

辛いことを乗り越えて元気に生きている私“ちかさん”の
涙と怒りと笑いの介護記録。

いい人は去り、クソババアは居残る。

2016-05-25 00:12:40 | 日記
どうしていい人は行ってしまうのか。

ヨシエさんはそれは穏やかでかわいらしい認知症のおばあちゃま。
同じ話を繰り返すわけでもなく
妄想によってヒステリックになったり攻撃的になったりするわけでもなく
とぼけた発言で癒し系の笑いを誘う以外は
むしろウチでは数少ないまともな高齢者といえる。

とにかく、ヘルパーたちから愛された。
ヨシエさんのお世話だったら…と
誰もが喜んで彼女の介助を引き受けてくれた。

そんなヨシエさんが、退去するという。

これまで娘さんが毎日のようにやってきては
かいがいしく世話をしてきたのだが
「母さんの面倒はオレが見る」と
財布を握る兄が、強引に自分の家の近くの特養に転居させるよう
話を進めてしまったのだ。

いや、私が―。
いやいや、オレが―。

兄妹で母親の介護を取り合うなんぞ
ウチではお目にかかったことがない。
考えればヨシエさん、なんと幸せな母親だろう。

結局、お金を出している兄が
親の介護という、誰もが人任せにしたい権利を獲得した。

(親の奪い合いと聞いて、はは~ん、これは財産狙いか!?と
勘ぐる人も少なくないだろうが
言っておこう、この場合は断じて違う)

息子とその嫁が喜んで自宅の近くに母親を呼び寄せるのであるから
本来ならめでたし、めでたし!である。
しかし愛すべきヨシエさんがいなくなってしまったら
ウチはどんなに寂しくなることだろう。

退去反対の署名を集めるか!?
プラカードを持って退去を阻止するか!?
そんな冗談交じりの会話を交わすうちに
いよいよ退去の日が1週間後に迫ってしまった。

泣いちゃうよ。私だってきっと、お別れする日は泣いちゃうよ。
これまで入居者の誰が亡くなっても涙を流したことのない私だけれど
今回ばかりはきっと、去り行く姿を黙っては見ていられない。

え~~~ん、ヨシエさぁん!!!

さて、こんなほっこり話に水をさすようだが
ここで登場、性悪女・キワ。

ヨシエさんはキワと同じテーブルで食事をしているのだが
今日、娘さんが退去の話をして
これまでのお付き合いに対してお礼を言ったら
あの性悪女・キワは言ったそうだ。

「あらぁ、特養に行くの?
特養って、貧乏人が行くところなんでしょ?」

あのクソババア~~~!

あとで娘さんからその話を聞き
思わず、エアーで首を絞めるしぐさをしてしまった私。
大切な入居者様であることは百も承知だが
あのババア、勘弁ならねえ。