絵になるような写真が撮れない、もちろん乳牛はこれだけではない
牧場には草を食む牛たちがいてようやく絵になる。昨日予定通り、その牧の主役である牛たちが来た。取り敢えず乳牛を囲いの中に入れ、和牛は追い上げ坂に放した。これから10月まで、草の状態を見ながら牧区を移していくのだが、一日いちにちが気の抜けない日々となる。
ホルスタインの中には群れに入ろうとしない牛がいるし、」和牛の中にも神経質な牛がいて、群をかく乱する。
追い上げ坂の中断に張った電気牧柵は心配していた通りそういう牛に早くも切られ、夕暮れの迫る中、その対応に狼狽した。電気を止めれば電気牧柵の牛に対する抑止効果がなくなる。しかし通電していては切られた牧柵の修理のしようがないのだ。
面白いことに、放牧が始まると鹿も姿を現す。牛をどうして仲間のように思い、一緒に行動しようとするのか不思議だ。自分よりか体の大きな牛が守ってくれるとでも思っているのだろうか。昨日もいたし、今朝もいた。
そうそう、囲いの中に居残った1頭の鹿は今も乳牛と一緒にいる。
実は、昨日の段階では和牛の頭数確認ができていなかった。今朝明るくなるのを待って、追い上げ坂まで行って頭数を数えてみた。すると、どうしても8頭足りない。結構な数だ。
上部の実生から生えた落葉松林の中を好む牛がいたので、そこまで登っていってみると、他の群れから離れ、隠れるようにしてそこにいた。
大人しく数を数えさせたまでは良かったが、突如1頭が暴れ出し背後のちょっとした崖を登ろうとした。すると、他の牛もそれに追随しようとする。思ってもみなかった展開で、2日目にして早くも脱柵である。
後を追い、刺激しないように遠巻きに様子を伺っていると、牛たちも軽はずみな行動を反省でもしたのか、そんなことはあり得ないが、またバキバキと木だか枝だかを折る音を立てながら山を下り始めた。
入牧したばかりで不安であったのだろう。牛たちには、牧場内にいるのが一番安心安全であることを早く教えなければならない。それにはやはり餌付けだろう。
それにしても、まだ5時前。放牧料金を決める者や、それを支払う蓄主は、牧守のこういう苦労を知っているのかと、安過ぎる放牧料金のことが頭にチラついた。
雨が激しく降ってきた。遅ればせながら、どうやら梅雨の季節が始まったらしい。午前7時、気温10度、風も強まってきた。
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本日はこの辺で。