
対象を絞れないまま、アレやコレも
幾日も好天が続き、一番遅れていたダケカンバやミズナラもようやく若葉を茂らすようになった。コナシも少しづつ赤い外皮を脱ぎ、白い花に変わりつつある。3日ほど前には、初の沢の大曲でクリンソウの赤い花が咲いているのも目にした。
あの人たちの仕事も先週の土曜日には終わり、それを待っていたかのように、10頭ほどの鹿が囲い罠の中に入った。今朝6時前には下から猟師が2名来て、それらを殺処分することになっている。
牧場では、今年度初の有害駆除が済んだ。2頭ほどが囲いを破って逃げたという報告があり、確かに獲物は8頭だった。逃げた鹿はいずれも半矢(弾は当たっていても倒せなかった状態)だったそうだが、もしこの鹿たちが仲間の許に帰れたとしたなら、果たして彼らの体験をどう伝えるのだろうか。
日ごろの鹿たちの挙動からしても、また今回のことでも、明らかに危機を脱した鹿は、この罠の恐ろしさを充分に学習したと考えていいだろう。「この柵の中には塩があり、周囲と比べて草の生育もいいが、絶対に入ってはいけない。罠だ」と人間なら教えるだろう。しかし一体、言葉のない彼らがどのように恐怖の体験を仲間に伝えることができるのだろうか。
土曜日、突然、若い女のキャンパーがやって来た。管理棟の部屋の横を通り過ぎていこうとするので驚いて呼び止め、きょうは営業してないと断ろうとしたが相手にはこっちの言うことが通じない。顔や姿は日本人と変わらないが、どうやらそうではないようだ。
そうこうするうちに「香港」という言葉が聞き取れた。それで錆び付いたネジを無理して回すような思いで英語で尋ねたら、そうだと言う。ならば止むえないと、取り敢えず緊急的に受け入れることにした。
はっきりと言って、彼女の英語にも相当の難があった。それでも、最初に紹介した場所は小さな虫がいるから別の場所にしてくれとか、なんだかんだ相手の言うことは理解でき、こちらの事情も伝えることができた。
そればかりか夜は、手伝いに来てくれたもう一人の友人も交え、ビールを飲みながら親しく交歓もした。言葉があったからだ。
しかし、鹿たちにはない。それでも、あの罠を怖れていることはほぼ間違いない。
先日触れたクマにしても、何らかの方法で人間は怖しいということを学習している。それと比べて、むしろ人間の方が、野生動物に対する学習不足を認めるべきではないか、近頃そう思うようになった。
大変お待たせいたしました。今週から、営業を再開いたしました。どうかこれまで同様、「混雑させないキャンプ場」をよろしくお願いいたします。
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この呟きの題名も「夏」にしました。本日はこの辺で。