入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’21年「秋」(26)

2021年10月04日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 文句のない快晴の昨日、夕焼けの写真でも撮ろうとして目星を付けていた場所へ行ってみた。いつもは雲の中に隠れていがちな御嶽山を始め、そこから北方の峰々にはどこも一片だの雲さえなく、太陽が権兵衛峠(こっちは正しい名前)の頭上に沈んでいくのを期待しながら待った。
 無風だった。視界の大半を占める空の色は山際に近付くほど青い空の色が薄れて、その白色に近い部分が少しづつ赤く染まり出した。太陽が山の向こうに見えなくなっていく束の間の時は、まさに地球の回転する速さを実感する時であり、枯草の上に腰を降して目を凝らしていると赤い火の玉は、見る見るうちに光を滲ませて峠の山陰に没していった。
 もの凄い夕焼けが始まるはずだった。ところが、空の色はもの足りない茜色をそれ以上濃くも、輝かせることもなく期待を裏切り、あまり時を措かずにそのまま空は溶暗されていった。いくら待っても現れない待ち人を諦めるような気分とでも言えばよいのか、理由もわからないまま帰ってきた。
 その夜は一人だけの観望会を開くつもりでいたが、望遠鏡を出す気も失せて、南東の夜空に見えていた木星と土星を訪ねていくことは中止した。

 3頭の暴れ牛をなだめ、調教し、囲い罠と外を自由に出入りできるようにした際、鹿が5頭入っていたことは既に呟いた。その後3頭は姿をくらましたが、2頭は牛がいなくなっても中にいた。好んでそうしていたのか、それとも自分たちで入ったゲートでも怖くて出れなかったのか、多分後者だったと思うが、昨日罠の金網を補修している際に開けっ放しにしておいた入り口から出たようで、牛と同じく見慣れた光景だったがこれで両者がともに消えてしまった。
 鹿は本当に害獣だと痛感することが多い。にもかかわらず、囲い罠の中に取り残され、牛に気を遣い、人間や車に怯えて逃げ惑う姿を見ていると、どうしても親近感が湧いてくる。
 あの2頭とそれより早くにズラカッた3頭は、仲間の群れに戻ってから自らの体験や学習したことをどんなふうに伝えるのだろうか。あるいは、伝えることができるのだろうか。まだ罠を仕掛けてはないがすでに誘引を始めたから、もうすぐその結果もある程度は推測することができるだろう。

 Ume氏が仙丈岳に向かったのは土曜日ではなく、きょうだった。今ごろ、好天に恵まれ藪沢を快適に登っているはずだ。きょうは小屋に海老名出丸さん夫妻、S崎さん夫妻が来る。covid-19に対する自粛要請が解除され行楽地には人が溢れたようだ。それでも、ここは変わらずに静か。
 Nagoya Kさん、紅葉は10月の下旬からのようです。折角来るなら1泊では勿体ないです。赤羽さんはいい秋を楽しめたことでせう。
 本日はこの辺で。

 
 

コメント
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