
昨日(4月2日)ここで呟いた通り、西山へカタクリの群生を見に行ってきた。
冬の眠りから覚めたばかりの山は芽吹きを控え、それまで溜めておいた活力を一気に発揮したくてじっと待ち構えているようだった。時々、身を小さくするように場違いな雪が目に付いたが、東に面した林道は乾いて暖かく、しかもよく整備されていた。思っていたよりも長く、だから却って良かったのだが、歩けばかなりの距離になったはずで、しかし、それでも良かったかもしれないと思ったほどだ。それくらい山全体が明るく、新鮮なその雰囲気は、入笠の西に面した日陰の多い林道とは大分違っていた。
10年以上も経っていたから林道の脇の斜面はすっかり灌木が茂り、記憶の中の暖かな日溜りは消えて、植生が変わればカタクリなど絶えてしまったかも知れないと、現地を見た時にまず感じたのはそんな不安だった。(4月3日記)
知らなければ見落としかねない踏み跡を左に少し登ると、茂みはさらに行く手を阻んだ。もう少し行けば記憶と一致する草叢がありそうだと、1本の朽ちかけた倒木を超えたばかりの所で、少し下からTDS君が「あった」と声を上げた。
言われてよく見れば、そこらここらにカタクリの葉が顔を覗かせている。しかも、これまた驚いたことに家の庭のカタクリと同じく、どれも片葉である。HALに踏みつけられておかしな癖がついたと勝手に決めていたのは、全くの思い違いだった。初めて目にした時には一斉に咲いた花にばかり気を取られ、そこまで注意が及ばなかったのだが、HALへの言い訳にはならないかも知れない。
このままでは灌木はさらに茂り、山は荒れ放題になってしまう。今はまるでタンポポのように群生している野草の群れも、やがては姿を消してしまうかも知れなかった。一株や二株を持ち帰って移し替えてみても、個人的な関心に過ぎないと分かっていたが、同時にまたそれで、山にどれほどの被害をもたらすわけでもないと、慎重に群生地の一画を10数センチ四方ほど掘って、幾株かをこいだ。
眠りから覚めた山の気に誘われ、引き返すのを止めてそのまま林道が連れていく先へと向かうことにした。何度か山腹を巻き、谷をえぐりながら山道は続き、いつしか緩やかな下降が始まると、やがて見覚えのある深い谷が見えてきた。
O里さん、久しぶり。2便とも拝読。恐らく何か言ってくるだろうと。ところで、本はどうなりましたか。あれ、「ヒドイ」ことはないでせう、聞き違いしてないと思うけど、クク。
本日もお粗末な独り言。明日は沈黙します。