
台風が去っても雨催いの重苦しい空は変わらず、山室川も増水したまま水量が落ちない。
昨日、祭り気分を味わうには魚は何がよいだろうかと書いたら、早速TDS君から当然、鯉の甘露煮だろうとコメントを貰った。思い出した。昔は、と言ってもつい3、40年前だが、伊那の地は山国信州の真ん中よりかやや南、新鮮な海の魚は入手が困難であった(50年前は、ここらの寿司屋は東京まで鈍行列車で片道6時間、魚の早朝仕入れのため二日がかりで通っていた)。そのため祭りのようなハレの場では川魚、それもその代表である鯉や小鮒が用意され、多数の親類縁者を呼んでの賑やかな宴にはかならず供された。
鯉の稚魚を田に放し、草取り役も兼ねた鯉はそこで大きくなり、秋になって田から水を落とす前に捕まえ、村祭りのご馳走にするのがこの地方の習いであった。期待するだけに育たなかった場合は、確か何匹かで大きな鯉と交換することができ、そのための専門の業者もいたような記憶がある。そのくらい当時鯉は、祭りや慶事に欠かせない魚だったというのに、 しかしそういう風習はいつの間にか廃れてしまった。
田の除草には薬品が使われ鯉は住めなくなり、生活が豊かになるに従い、祭りや正月に食べる物を日常生活の中でも口にするようになった。田舎でも核家族化が進み、こじんまりとした幸福を大切にして、特に若い女性の意見が通るようになると、祭りに人を招くような面倒なことは嫌われるようになった。だから「おもてなし」などという言葉は、あの人が言わなければ死語になっていたかも知れない。
―― 懐かしいことを書いていて思い付いた。そのうちここで入魂の鯉こくを作って、TDS君やSD君らを呼んでおもてなしの宴を張ろう。因みに評判の露天風呂は、SD君の会社が寄贈してくれたものだが、”入魂の鯉こく”なんぞで足りるだろうか。
まき牛牧区の牛が2頭脱柵してくれて、今日は雨の中を小入笠の頭まで3往復させられた。頂上では雄鹿が角を突き合わせ闘っていたが、あれは雌の取り合いだったろう。早くももう、そういう季節になった。
かんとさん、赤羽さん、O沢さん、タナカさん、ありがとうございました。了解しました。11月の大きな予約を喜んでいます。
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