ガンジス・河の流れ

インド・ネパール。心の旅・追想

ジャンキーの旅             逮捕・・・6

2012-09-02 | 1部1章 逮捕
二人とも話すことが山ほどあって話の食い違いなど関係なく喋り合いながら身体をぶっつけ合うようにして暗い路地を歩いていった。入り組んだ路地の奥、インド人の子供の門番がいる家の前に着いた。鍵束をガチャ々させながら大きなドアーを開けてもらい暗い建物の中に入る、外で鍵を掛ける音。2階の一室にフレッドがいた。スタッフをやると筋肉が落ちる。5月に会ってから5ヶ月しか経っていないのにフレッドの強靭な肉体は削げ落ちていた。
「ハーィ・フレッド」
「ハーィ・トミー」
握りあった手を大きく振り大声で笑った。
「カトマンズに出した手紙を読んだか?」
ぼくはその手紙を手にしてなかった。
(在カトマンズ日本大使館にその手紙は届いていた。30・SEP・1994 の赤いスタンプ。もしその手紙をぼくが読んでいたら事情は少し変っていたかもしれない)
「スタッフを100g至急用意してくれ、何日くらい必要か?」
「3~4日だ」
ぼくはその時点でもフレッドが何故こんなにも厳重な見張りを立て、隠れるようにして生活をしているのかさえ疑問を持たなかった。久し振りに再会しトリップしたぼく達はボブ・マーレィに酔った。その日ぼくは50gを手にした。残り100gは印・パ国境近くまで行くので4日後になるだろうと言う、奴は信用できる、もう心配する事はない。フリップスは売人だが一切粉をやらない。その為、量と値段は信用できるが粉の質は自分で見分ける事は出来ない。フレッドはジャンキーの売人だ。量と値段を誤魔化すが質は自分で確かめているだけ信用できる。一長一短だ。
 デリー滞在はいつも長くなる。気長に良質で異なった粉を半々ぐらい買っていた。中卸しが異なるとタイプの違う粉が手に入る事もある。中卸し1g・200ルピー。小売値は質にもよるが300~400ルピーが相場だ。支払いはドルのブラック・マーケットの相場が高い時はドル紙幣、100ドル紙幣や1万円紙幣は少しレートが高い。インド・ルピーは日本円3円ぐらいに換算して取引をしていた。               

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ジャンキーの旅      ... | トップ | ジャンキーの旅      ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

1部1章 逮捕」カテゴリの最新記事