ガンジス・河の流れ

インド・ネパール。心の旅・追想

ジャンキーの旅          No2 Ward・・・・・30

2013-11-10 | 3章 デリー中央第一刑務所No2Ward

昼アミーゴに半分粉を回したから明日の分の1パケを夜に吸ってしまった。またパケが小さくなっているのだ、パケが大きければ半分で済んだのに。昼にはもう1パケ買わなくてはならないだろう、今ではもう1日、最低でも2パケが必要な身体になっている。危険だしお金は掛かる、何より身体に悪い。良い事は何もないが溜まるストレスは吐き出さなくては頭が可笑しくなってしまう。ここにいる者は誰しも狂気の火種を持っている。インド人はよく喧嘩をするしアフリカンの殴り合いは激しい。
   12月29日(木曜日)
 午前中なんとなく風邪気味だった。昨夜、吸ったスタッフの効きが弱かったのだろうか寝る時すでに少し足の方に痛みがあった。眠っている時、寒さを感じたのは新入りのスリランカ人に毛布を一枚貸したからだと思っていた。風邪なのか禁断のシックなのか、スペイン語のクラスに出ていたが寒気で辛くなり監房に戻り毛布に包まって暫く眠っていた。
 ショッカンがスタッフを持って面会から戻って来た。昨夜は嫌々ながら奴にパケの半分を回していたので今日は気持ち良くスタッフを回してくれた。スタッフを身体に入れると寒気を感じなくなった、やはりシックだったのだ。今回奴が手に入れた粉は文句なく最上級だった。ぼくはこの粉が欲しい、奴と喧嘩しても粉は回ってこない、態度の変化を余儀なくされた。意地を張っても身体の方が良い粉を知っていてはしょうがない。5gくらいは確保しておきたい、こんなスタッフはちょっと手に入らない。
 スタッフの相場は外の仲卸しで1g-200Rsだ。プッシャーを通すと400になる。当時のレートはアバウトだが1ドル=120円=3500Rs、1Rs-3.5円弱ぐらいになる。仲卸しは信頼できるプッシャーとのみ取引きをする。彼はシンジケートのパイプを機能させ守らなければならない、最も重要なかなめだ。プッシャーを仲介すると値が上がる、が生きた仲卸しはいつでも必要量を供給してくれる。ジャンキー達はシンジケートなしには生きていけない。
塀の内の相場は1g-800Rsだ。5gで4000Rs右から左へ回せる金額ではない。1パケは塀の内で流通するクーポンだと70、現金では50、誰も紙屑を欲しがらない必要なのは現金だ。ショッカンは2000まで下げるかもしれない、次のスタッフ10gを入手するには最低でもその金額を準備しなければならない。大使館にはぼくのお金が保管されている、しかし申請する正当な理由がない。
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