ガンジス・河の流れ

インド・ネパール。心の旅・追想

ジャンキーの旅             逮捕・・・1

2012-03-23 | 1部1章 逮捕
 メインバザールにある安宿の一軒、ウパハル・ゲストハウスのぼくの部屋のドアがノックされた。明朝10時のフライトでカトマンズへ戻るための仕度は終っていた。そろ々スタッフを一服して寝ようと思っていた夜11時過ぎだった。こんな時間にノックする奴は誰なのか思いつかなかった。ホテルの支払いは夕方、全て終わらせていた。今夜と明朝吸う分と空港のトイレで使うスタッフは小分けし他はフランス製のバックパックの背当てが二重になった奥に隠していた。誰とも分からないノックは少しの間をおいてしつこく続いていた。音を立てずドアーの外の気配を探っていたが我慢できず
「誰だ、何の用だ」
といった直後、ドアーは強い力で押し開けられた。何がどうなっているのか粉でキックしていたぼくの頭では理解できなかった。
 注意深く部屋の様子を見ながら二人の男が入ってきた。入口にはホテルのボーイがおろおろしていた。肩に星が二つ付いた制服のポリと、もう一人はセーターを着ているが私服だろう。私服は通りに面した窓側に立ち制服はドアー側、ぼくの右前の出口を塞ぐようにして立った。
「やばい」
いくらキックした頭でもこの非常にやばい状況を理解した。ここから逃れる有効な方法は・・・ぼくの脳の配線回路が回っていた。
「荷物を調べる」
制服は有無を言わせずぼくのバックパックを調べ始めた。奴は迷う風もなくスタッフの入った二つの袋を背当ての奥から掴み出し、ベッドの上に全ての荷物を曝け出した。スタッフ、チャラス、ガンジャ、それにオピュームとアルミホイール、小分け用パケ、スケール
「君はドラッグの売人か、このスケールで小売をしているのか?」
口の中が渇き擦れる声でぼくは
「ボス話がある、プリーズ・ヘルプミーお金はある十分な金だ」
と言った瞬間、ポリの平手が避けようとしたぼくの右頬を掠めた。
「ミリオンダラーか?」
そう言って奴はにやりとした。奴らは本気だ。これは情報提供者による密告に違いない。誰だ、先ず考えられるのはスリランカ人ショッカンだ。

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