靴下にはそっとオレンジを忍ばせて

南米出身の夫とアラスカで二男三女を育てる日々、書き留めておきたいこと。

妊娠の不思議

2011-12-11 01:07:02 | 子育てノート
子どもが大好きで子どもに囲まれて暮らす、というような人生設計を描いたことは実は一度もなかった。今は子どもがなんて面白いんだろうと思うけれど、若い頃は子どもの子の字も頭の中にはなく、だからといって嫌いでもなく取り立てて好きというわけでもなく。ただいつか子どもを1人くらいは産んでみたい、仕事を続けながらシングルマーザーかな、と漠然と考えていた。

それが縁あり結婚することになり、自分にとっては驚きのタイミングで1人目。2人くらいと考え始める前に2人目、よしこれで落ち着いたら仕事を本格的に始めて、というところに3人目、まあ「3人から社会」というし3人くらいいても・・・、ところがまさかの4人目、色々な意味で限界を超えたと感じつつ、三女が歩き始めた頃友人とビジネスを立ち上げようと動き始めていたところ驚きの5人目。

この「まさか」「驚き」というのは実際医療の力を使ってそうならないようにしていたけれど、医者もびっくりの確率で妊娠してしまったゆえ。

外でバリバリと仕事して、本読んだりリサーチもたくさんしやりたいことも色々あって一人の時間もゆっくりもちたい、と描いていたイメージとは正反対の方向へ進んでいく人生。

4人目、5人目、検査薬に浮かび上がる妊娠を知らせるラインを見とめたときの複雑な思い。決して最初から両手を挙げて喜ぶというものではなかった。あり得ない、どうやって育てるというの、どう考えたって無理、ますます息つく暇もないほど過酷な日々がやってくるのか、自分の時間は一体どこへ、だいたい今の世の中に育つ子どもは幸せなのか、このまま人口増大し続け資源はどうなるんだ、こんなに産むより孤児を引き取るべきなんじゃないか、ありとあらゆる声がぐるぐると渦巻く。それでもそんな声の渦の中心に、まるで台風の目のように静かな揺るぎの無い場所を感じる。心の奥の深いところでどうしたらいいのかがもう明らかになっている。激しく動揺する自分と静かに見つめる自分。

やがて嵐のように叫びうめき諭す声は静まっていく、心の奥の中心からふつふつと温もりが湧き上がり、身体中を駈け巡る。下腹部に手を当て、まだほんの小さな身体に宿る命を想う。

妊娠というのは不思議なものだと体験から思っている。多分妊娠しない身体なのだろう、と10代の頃からずっと思っていた(様々な体験から)。実際結婚してからも2年間妊娠することなく。それでもアラスカへ移住すると決めた後絶妙のタイミングで妊娠。

4人目5人目の妊娠で心に一番しっくりときた言葉が「surrender」。私はクリスチャンではないけれど、クリスチャンの友人の「あなたが色々思ったとしても、神には違う計画があるのよ」という言葉がすっと身体に入ってくる。

こうして今5人を育て、毎日目が回るほど駆け回り、若かりし頃の私が見たら卒倒するような生活をおくっていて、それでもこうあることが必要だったのだと、なぜかそんな静かな気持ちの自分がいる。

こうして授けられた命の不思議を想いつつ、感謝を込めて。


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6 コメント

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とりのさとZさんへ、コメントありがとうございます! (マチカ)
2011-12-16 00:21:14
お忙しい中読んでくださって本当にありがとうございます。そういったサイン、このプロバイダーにはないようです。こうして読んでくださる、それだけでもう本当に嬉しいです。

農場を建設されるころに、娘さんたちが産まれたんですね。次女さんが生まれる頃あの地に新たに建設されたと。現場作業お一人で!

私が物心ついたときにはもうあの農場はあり毎週車で何時間もかけて届けられる新鮮卵をいただいていました。子ども時代何度か訪ねた農場を思い出してます。学校の社会見学で見た定位置から動かないで卵を産み続けるふわふわの鳥たちがずらりと並んだ様子、とは全く違った光景、引き締まった鳥たちが賑やかに走り回っている様子、驚いたのを覚えてます。

そんな農場建設を一人でされていたら、それはもう子どもの世話なんて手が回りませんね。身の回りの世話は奥さんがされ、それでも娘さんたち、とりのさとzさんの日々暮らす姿をモデルとしてしっかりと目に胸に焼き付け育たれたんですね。長女さん、農場へ戻られたんですね。娘さんの描く漫画の視点面白さ、驚きました。次女さんは名古屋で。いつかお会いできる日を楽しみにしてます。

感謝を込めて。
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Unknown (とりのさとZ)
2011-12-14 06:47:37
こちらのブログには「見ました」のサイン(足跡、ペタ、nice! など)が無いのでしょうか。なかなかコメントする余裕がないんです。ごめんなさい。

 長女や次女が生まれた頃は、いずれも農場のスタートラインだったので、私は何もできずに、ただ農場建設ばかりの毎日(次女の時、現在の地であらたに建設)。現場作業は私ひとりだったし・・・、育児も出産もほとんど何もかもつれ合いまかせ。
 今、二人は大人になり、長女は農場へ帰ってきました。次女も名古屋で働いています。
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桜さんへ、コメントありがとうございます! (マチカ)
2011-12-13 09:08:30
久しぶり!年末だねえ。そちらもホリデイムードに溢れてるんだろうね。

こうして書くことで進んでいく力をもらっていてね。(笑) 読んでくれてありがとう。

欲しいと思っていたときにはできなかったという話、何度か聞いたことあります。桜さんは仕事が楽しくて調子に乗っていた時に長女ちゃんを妊娠したんだね。

長男君、そうだったね、すごいタイミングだったんだよね。こうしてスクスク育っていて、もう動き回って大変な時期でしょ。

5人、私はね母性とか愛情のようなものをどこかにおいてきちゃったようなところがあってね、こうして5人に囲まれとことんまで思い出させられてる、というようにも思ってるのよ。この生活を通して私に本当に必要だったことを学ばされている、というかね。

そんな風に言ってもらってありがとうね。桜さんの子どもちゃんたち、桜さんの愛情いっぱいで幸せだといつも思ってるよ。

本当だね、もう一人、はおまかせだね。桜さんに必要ならばやってくるね。そうでなくても、勉強ばりばりで今ある夢に向って進んでいけるね。

桜さんとは同じ年だけど、うんうん、「色々な事が色々なタイミングで運命になってるんだなぁ~!」というような委ねるような気持ち、私もここ数年だね、頭だけでなく身体でも少しずつ感じられるようになってきたの。お互いなかなか年とってきたよね。(笑) まだまだこれからも今見えないことも見えてくるのかもしれないね。

ありがとう。ホリデイ年末年始思いっきり楽しもうね。今日は大雪で急遽学校休み、賑やかです。(笑)
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uchinoharuhitoさんへ、コメントありがとうございます! (マチカ)
2011-12-13 06:53:49
神様は全ての一人一人を見込みその人に合った必要なものを与えているんでしょうね。誰一人もれることなく、苦しいことも悲しいことさえも見込まれて。そんな風に感じてます。

双子ちゃん11歳、夕食を作ってくれるんですね!赤ちゃんだった二人の姿が私の中には強く残っているので、今の姿とのギャップに驚かされます。

小さな子を育ててみたいと、そうなんですね。打ち止めなんですね。でもこればかりはどうなるか分かりませんから、ホントに。(笑)

赤ちゃんや幼児大変だけれど、家族の間にたくさんの笑顔を生み出してくれるという面もあります。小さな子がいることで上の子達もかなり癒されてるなあと感じてます。

娘ちゃんたちがますます頼もしく育っていく様子、楽しみにしてます!



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不思議。。。 ()
2011-12-13 04:57:41
お久しぶりです!
久々に来たらやはり凄い沢山の日記がアップされてて、まだ全部読みきれてないのですが(^^;

妊娠って不思議だよね~!
我が家はなかなか妊娠しなくてね~!
欲しい欲しいと思ってる時って本当に出来ないよね。笑
長女の時も欲しい欲しいと思ってる時はなかなかできず、仕事が楽しくて調子のった頃に妊娠。
長男もなかなか妊娠出来なくて。。。6年も頑張ったからね~!
旦那がアフガニスタンから帰ったら、体内受精やってみよう!っとシアトルの病院に予約してたら。。。旦那がアフガニスタンに経つ3日前に妊娠発覚!
もう自然妊娠は無理なのだろう。。。っと諦めてたのでビックリでした!

マチカさんが5人も授かれたのは、わかる気がする。。。私もマチカ家の子供になりたいもの~!笑 

我が家はもう一人出来ると良いな~!っと思ってるけど。。。さてさて。。。これも神様におまかせします。笑
出来れば嬉しいし、出来なければ勉学に励めるし!笑
欲しいけど、妊娠する度に旦那がDeployになって妊婦中いつも長期不在になっちゃうので。。。それもちょっと困るし(^^;

まっ!色々な事が色々なタイミングで運命になってるんだなぁ~!っとここ数年は良く感じてます。

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たぶん・・・ (uchinoharuhito)
2011-12-11 20:37:32
神様に見込まれて5人を預けられたのでしょう。

僕のところは下の双子がもうすぐ11歳。手がかからなくなっただけでなく、夕食を作れるまでになった。
楽は楽なんだけど、一方で、小さい子供を育ててみたい気もする。でもうちは打ち止めですね。まだ3歳の子がいるなんて、ちょっとうらやましい。
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